第45話 ハデス王 謁見

ハデス

「ええ まず世界樹が見えてくるまで 南に向かいます ここまでは 誰でも行けます ドラゴンにでも乗れば数刻で着くでしょう しかし 空から向かえるのはここまで ここから先 強力な結界により 地上から行かなくてはなりません しかし そこに広がるのは 辺り一面 毒の沼地が広がっています」

グミ

「毒?別に毒ぐらいなら なんてことないだろ?」

ハデス

「ええ その通りです 毒だけなら大体の者なら踏破出来るでしょう ただ そこには マッドヒルが大量に発生していまして まずここで ほとんどの者が引き返す事になります」

ユウキ

「マッドヒル?」

ハデス

「マッドヒルとは 攻撃手段は皆無なのですが 気が付くと体中に引っ付いており 体力を吸収してしまう厄介な魔物です 数匹程度なら問題ないのですが 数千数万となると 並の者ならそれだけで消滅してしまいます」

ユウキ

「そ…そうなんですか…」

ハデス

「マッドヒルの生息地は 毒一帯に広がっています そこを強引に抜けても 毒のランクが上がり 猛毒エリアになり さらに進むと 極毒エリアがあると言われています」

グミ

「!!極毒だと!?」

ハデス

「ここからの情報源は 獄帝からの情報です 極毒エリアを抜けると そこはマグマが広がり サラマンダーがそこら中に沸いていたそうです ようやくそこを抜けたが 世界樹を囲むように湖があり 触れると 今までの比にならないほど 体力を削られたと…」

ユウキ

「うーん…聞くだけでも 恐ろしいところだな…あ…それで ハデス王は 俺の体力が多いから行って帰ってくることが出来るかもって言ったんだ あ!言ったのですね…」

ハデス

「お気になさらず 普段通りでお話しください そちらの方が 私も気楽ですので」

ユウキ

「ありがとうございます 慣れない言葉遣いは難しくって…で 確か…世界樹の実まで たどり着けたんですよね?なんで 持って帰って来なかったんだろう?」

ハデス

「はい 獄帝は その湖を歩いて行くことは不可能だったと報告しています なんらかの方法で世界樹の実のもとまでたどり着けたらしいのですが ここらの情報は曖昧な表現で報告していますね 世界樹の幹のそばまで着いた頃には 帰還の魔法分以外全ての魔力を使い果たしてしまったそうです 獄帝は 世界樹の実を取った後 帰還の魔法でかえるつもりだったのでしょうね」

サヤカ

「なんで そうしなかったのですか?」

ハデス

「世界樹の実を持った瞬間 全ての魔法を封じられたそうです ただ それは あくまで 世界樹の実を持ったときに表れた現象だったそうで 元に戻すと 魔法は使えたそうです」

ユウキ

「なるほど…それで 世界樹の実を元に戻し 帰還したと…」

ハデス

「どうです? ここまで聞いて…ユウキ殿 やはり無謀に感じますか?」

ユウキ

「………ハデス王 これは ただ単純に秘宝取れて凄い!って 話じゃないでしょ?」

ハデス

「はい もちろん 秘宝 世界樹の実 は地獄に住む者なら誰もが知っている秘宝 まして 王族 部族長なら 誰でもその偉業は称賛されます……例えば ユウキ殿が 世界樹の実を片手に 獄帝を名乗っても ほとんどの者が あなたを獄帝と認めるでしょう…無論 私も…」

その言葉を聞いたユウキは 机を両手で叩き 立ち上がる

ユウキ

「ハデス王!あなたは 何を言っているんだ! 俺がそんな事するわけないだろ!」

ハデス

「そうですか…残念ですね…ただ ユウキ殿 勘違いしてほしくないのですが 私を含め各王 部族長も 絶対的な忠誠を誓っているわけではないのですよ…今は かろうじて獄帝側に付いているということ これ以上劣勢になれば 遅かれ早かれ 天上界側に付く者達が増えるでしょう」

ユウキ

「くっ…お…俺が 必ず 天上界を押し返す…」

ハデス

「ハハッ…たった1人の力がいくら強力でも 多方面から攻められ 仲間と思っていた方からも攻められ どのように防ぐというのです?数は力です」

ユウキ

「それでも 俺は!!」

ハデス

「ならば あなたは アモン王子に絶対の忠誠を 誓えるというのですか?」

ユウキ

「は?当たり前だ 俺がここで何不自由なく暮らしていけるのは アモンのおかげだからな 忠誠ぐらい いくらでも誓ってやるさ!」

ハデス

「そうですか…ならば…秘宝 世界樹の実を持ち帰り その秘宝を 帝都でアモン王子に献上し 臣下の儀をすれば アモン王子の威厳が取り戻せるでしょう さすれば 天秤にかけていた連中も アモン王子側に傾きますよ」

ユウキ

「……ハデス王…あんたも 天秤にかけていた側か?」

ハデス

「ええ…もちろん わたしの場合はあなたが獄帝を名乗って頂きたかったのですが 残念ながらそれは 叶わなかったようですので 私は 現在 天上界側ですね」

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