第39話 ハデス王の使者 来訪

それから 数日後…


サヤカ

「ねぇ ねぇ これ食べて見てくれる?」

サヤカは ユウキに向かって 話しかける

なんとも 微笑ましいやりとりだが…あくまで ユウキの方向に向かって 話しかけているのだ 決して ユウキに話しかけていない

グミ

「ん?どれどれ…」

サヤカは グミに話しかけているのだ それはなぜか…

グミ

「お!さっきより 大分美味いな!…んー……ただ もう少し塩分が欲しいかな…それに もう少し ピリッとした方が いいかもな!ほら…前使った…」


なんと グミの舌は 恐ろしいほど繊細で 味覚を立体的にとらえる そして 褒めながらも 改善点を指摘し サヤカの料理の腕を 格段に上げるきっかけを つくったのだった


サヤカ

「あ!あれね!なるほど…たしかに 言われてみれば ちょっとパンチが足りないかなぁって 思ってたのよ ホント グミちゃんがいて助かるわ 誰かさんみたいに 美味い しか 言うだけじゃないしね!」

ユウキ

「…………」

ユウキは このままではいけない このままではなんにも出来ない主人の烙印を 押されてしまうと 焦っていた… だから ユウキは願っていた…ハデスの使者の来訪を…

そして ユウキが望んだとおり ついにその時が来る


ユウキ

「……ふーっ……ん?」

突然 家全体が 急に真っ暗になる

サヤカ

「キャッ!な…なに…なんで…急に!?」

グミ

「ん?これは 魔法陣の類だな…別に 大したことないぞ」


ユウキは椅子から立ち上がり 周りを見渡す


コンコン…


玄関を叩く音がする…


サヤカは完全にビビり グミを思いっきり抱きしめる

グミ

「だ…大丈夫だ…から…は…離してくれ…しぼむ…しぼんじゃうから!」

ユウキ

「サヤカ 大丈夫だよ 多分 ハデス王の使者だろうと思うよ」


玄関にユウキは向かい ようやく 居心地の悪い状態に 終止符をうってくれた来訪者に感謝しつつ 一応 警戒をしたまま 玄関に返答する

ユウキ

「はい どちら様でしょう?」

???

「突然の訪問 失礼します ユウキ殿 サヤカ殿のご自宅でしょうか?わたくし 黒影王の使者 エイガ と申すものです」

ユウキ

「あ はい ハデス王の使者ですね 今 開けます」


玄関を開けると 20代程の男性と それより少し若い女性が立っていた 両方とも綺麗な顔立ちで 2人とも薄い紫色の美しい髪が 印象的だった


エイガ

「あ ここでかまいませんので…こちらは エイシャ と申します 以後 お見知りおきを…そして 今回 魔法陣を勝手に使用した事 大変ご迷惑だと思いましたが…いかんせん 我々は 影の存在…光あるところでは 行動制限がかかってしまうのです…」

ユウキ

「なるほど そういうことだったんですか なら 仕方がないですね それで ご用件は?」

エイガ

「はい 本日より 3日後 我が王ハデスの城へ ご足労願いたいとの 通達に参った所存です」

ユウキ

「!!き…今日じゃないのか…」

エイガ

「申し訳ございません 何分 こちらにも 用意がありますので…3日後に 迎えに参ってよろしいでしょうか? それから 今回の様に 魔法陣の展開をすることになってしまいます…申し訳ございません…」

ユウキ

「はい それは構いません わかりました では3日後 お待ちしています」

頭を下げ 後ろに一歩下がると同時に 真っ黒な影になり 音も無く エイガとエイシャは消えていった…


ユウキ

「ふぅ…3日後か…てっきり 今日だと思ってたのになぁ…」

それから間もなく 魔法陣は消え 家の明るさは 元に戻る

サヤカ

「………あ!戻った…ユウキ 何だったの?もしかして ハデスさんが言ってたこと?……って 

キャ!グ…グミちゃん…ど…どうしたの?」

グミ

「ど…どうしたの?じゃねぇよ…あんまり 強く握られると 空気が抜けちゃうみたいだから もう少し 優しく扱ってくれ…」

サヤカ

「ごめんね…急に暗くなるから 怖くて」

グミは 大きく息を吸って 元に戻る

グミ

「で ユウキ?ありゃなんだ?…敵…ってわけじゃないよな?」

ユウキ

「ああ 敵じゃないよ 味方だよ」

グミ

「味方?はっ!ユウキ…甘い事言ってんじゃねぇよ そういう概念はここじゃ変えた方がいいぜ 今は敵じゃない ただ それだけさ 次 会うときは 敵かもしれないって 常に警戒しときなよ!」

ユウキ

「はあ?そんなことある訳ないだろ? お前に比べりゃ 全然信頼出来るさ」

グミ

「嘘だろ…俺はお前に 存在全て握られてるんだぜ…俺以上に信頼出来るやついないだろ?」

ユウキ

「……だったら もうちょい敬えよ…」

グミの言葉に ユウキは不安を覚えるが すぐに頭を振り そんなはずないと 自分に言い聞かせてた

サヤカ

「…ねぇ あなた……その…行くって決めてるの?」

ユウキ

「え?流石に 迎えに来てくれるのに 行かないわけには いかないだろ?」

サヤカ

「違う…そうじゃない…」

ユウキ

「うーん…とりあえず 話を聞いてからじゃないと なんとも 返答しにくいな…」

サヤカ

「………そう ところで グミちゃんは えっと…世界樹だっけ?って 知ってる?」

グミ

「ん?世界樹?ああ 知ってるぜ それがどうかしたか?」

サヤカ

「どんなとこか 知ってる?」

グミ

「お?なんだ?世界樹を見に行くのか?………たしかに サヤカなら 気に入りそうだな ははーん…なるほど…観光でも行くんだな?」

サヤカとユウキ

「か…観光!?」

グミのこの発言に サヤカとユウキは驚きを隠せなかった……

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