第37話 男子チーム合流する

バール

「む!?な…なんだ!あの煙は…そ…そして この匂い…いい匂いのような…腐った匂いのような…異臭は……ま…まさか!?何か 魔道具でも精製しているのか!!」

バールは 周りをキョロキョロしだし 警戒する

ヒデオ

「ん?……この匂いは…間違いない チーズの焦げた匂いだな!」

ユウキ

「え?くんくん…あ!本当だ 間違いないよ」

ヒデオとユウキは 匂いが発している方向を確認すると ユウキとサヤカの家の方向からが 匂いの発生源のようだ

バール

「ヒデオ殿!ユウキ殿!お気を付け下され!魔道具関係を精製してるやもしれませぬぞ!不用意に近づき 爆発などに巻き込まれでもしたら 大変です!」

ヒデオ

「安心いたせ バール殿 多分ヒトミあたりが ユウキの家で 何か料理でもしているのだろう そうだな…予想では…グラタンか…ピザか…」

バール

「愚羅丹!?飛座?な…なんだ そんな魔道具聞いた事ないですぞ…」

ユウキ

「ひざ じゃなくてピザです 食べ物ですよ」

ヒデオ

「せっかくだから バール殿もぜひ」

そうこうしているうちに ユウキの家につく

ユウキ

「ただいま」

ヒトミ

「あら?おかえり タイミングいいわね 今 ちょうど ピザ祭りしているのよ」

ヒデオ

「おー!ピザか!ん?これは ピザ窯か?本格的だな!」

ヒトミ

「実際 ピザ窯かどうかわからないけどね でもそれっぽいでしょ」

バール

「…では わしはこれにて…」

サヤカ

「そんなこと言わず バールさんも 良かったら食べてみてください」

バール

「し…しかし…この匂いは…正直…なんとも…」

バールは この得体の知れない物を 口にしたくなかった…明らかに ベトベトしていて レモン同様 スライムにしか見えていなかったからだ そんな中 すでに ユウキは1枚目を食べ終わろうとしている

ユウキ

「いやぁー 久しぶりに食べたー やっぱり美味いね!バールさんも 騙されたと思って 食べてみてくださいよ!」

サヤカ

「たくさん作りましたから 遠慮なさらず どうぞ」

半分強制的に 皿に乗せた大きめのピザを バールに渡す

バール

「……あ…う…で…では…ありがたく…」

バールは すぐに逃げたかったが これだけの人数に注目を浴びている状態で 逃げる事は不可能と判断 バールは 覚悟を決め 大きな巨体に似合わない小さな口で 先を少しだけ口に入れる

バール

「……うぐっ……ん?…お!?」

その後 ようやく 身体にあった口を開き ピザの半分を 豪快に口に入れる

バール

「うおお!こ…これは 素晴らしい!こんなもの口に入れたことがない!!」

サヤカ

「良かった!まだまだ たくさんありますから どんどん食べてくださいね」

バール

「ありがたい このような 貴重なも…ん?あちらにおられるのは…もしや レモン様か?」

サヤカはそう聞くと レモンの方に向く レモンは口にピザを食べ終わっていないのに すでに 両手にピザを1つずつ持ち 目の前には 新しく焼き上がったピザを置いてある

サヤカ

「ええ そうです なんでも 巡回しているとか?」

ユウキ

「あー!レモン!ちゃんと 全部食べてから 新しいの取れよ!」

レモン

「うるさい!こういうのは とったもん勝ちなのよ!ゴミには そこの燃えカスみたいなやつが お似合いよ!」

ヒトミ

「レモンちゃん そんな言い方したら ダメでしょ そんなこと言うと もうオムライス作ってあげないわよ ちゃんと 名前で呼びなさい わかった?」

レモン

「………うん…わかった…ごめんなさい ゴミユウキ…」

ヒトミ

「はい 良く出来ました」

ユウキ

「………いや…よくねぇよ…ゴミユウキだぞ…それでいいのか…」

ヒトミ

「まあ…いいじゃない!そんなことより あそこで ピザをむさぼり食べてる 赤い球は何?……もしかして また 勝手に動物拾ってきたの…」

ユウキ

「は?…ま…まさか?」

そっと ヒトミが見ている方向を見てみると グミが ピザを器用に食べている姿だった

グミ

「美味え!!なんだこれ!美味え!」

ユウキ

「…お前…何 勝手にしてんの?」

グミ

「ん?むぐ…まあまあ いいじゃねぇか!俺とお前の仲じゃねーか!!」

ユウキ

「…いや 俺とお前の仲なら なおさら お前の行動はおかしいだろ?」

グミ

「そんな硬い事 言いっこなしだぜ!な!しっかし これ美味いな!これ作ったやつ ホント 天才だな!!」

ヒトミ

「あ…あら?そう?もう1枚食べる?」

グミ

「これ作ったのって…もしかして…」

ヒトミ

「そうよ わたしとサヤカちゃ…」

言い切る前に グミは被らせて話す

グミ

「ええ!!!あ…あなたが作ったの!?うわ…顔が綺麗だけじゃなくて こういうものも出来るんだ!す…凄い!!」

ユウキ

『くっ!こ…こいつ もしかして この中で 1番権力があるやつが 分かるのか…いや…ま…まさかな…』

ヒトミ

「あら やだ!綺麗なんて!もう 口が上手いんだから!!」

グミ

「ええ!ぼくは ホントのことしか言わないよ!」

ユウキ

「お…お前…いい加減に………」

ヒトミ

「こら!ユウキ そんな言い方ダメでしょ! ね?えっと…名前は何て言うの?」

グミ

「ぼく?ぼくの名前は グミって言うんだ よろしくね!お姉さん!」

ユウキ

「こ…こいつ 喋り方も変えやがった……おい!」

グミ

「ひっ!ご…ごめんなさい…」

ヒトミ

「ユウキ!こんな小さい体の子に なんて言い方なの!いい加減にしなさい!!」

グミは ヒトミの影に隠れて ユウキを見ながら ほくそ笑む…

ユウキ

「ぐっ!…お…お前…」

ヒトミ

「グミちゃん 大丈夫?もし ユウキになにかされたら ちゃんとわたしに言うのよ…わかった?」

グミ

「うん でも大丈夫だよ ユウキはとっても優しいから!」

ヒトミ

「な…なんて…健気な子なの!!困ったら ちゃんと言うのよ」

グミ

『……フッフフフ…間違いない…この生命体が…ユウキ…お前には 逆らえない存在だな クッククク…』

ユウキ

「くっ……」

グミ

「うん!ありがとう!」

グミは 見事な洞察力で ヒトミを自分の陣営に取り入れることに成功 ユウキはグミの機転の速さに付いていけず 見事にしてやられた形となった

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