第33話 刀剣新調し 自宅へ

ゴムド

「ユウキ殿 色々とご迷惑をおかけした さらに ご迷惑かと思いますが その木剣 ぜひ お使い下され なに その木剣は 木で出来ているとはいえ そこらの剣より十分優れております」

ユウキ

「でも 凄く貴重なものなんでしょう…それに 俺…持ち合わせが…」

ヒデオ

「安心しろ 俺が買ってやるさ 代金は 心配するな ユウキ」

ゴムド

「ハッハハハ!代金などいらんよ 正直 手放せて こちらが感謝したいぐらいじゃ」

ユウキ

「本当に いいのですか?」

ゴムド

「もちろんじゃ 使って下され おっと そうじゃ この木剣用に 鞘を作っておいたんじゃ 持っててくれ」

ゴムドは そう言うと奥から 装飾の施した とても木剣を納めるとは思えない立派な鞘を ユウキに手渡した

ユウキ

「うわ……か…かっこいい…い…いいんですか!?」

ユウキは満面の笑みで 受け取る

ゴムド

「ぜひ 腰に巻いて 使ってみて下され」

ユウキ

「あ はい!」

ゴムド

「鞘は 根本は 同じ素材で出来ておるが それでは 少し味気なくてな…宝飾をつけてみたんじゃ 時間によって色が変化する鉱石に 魔力を増幅する鉱石もついておる わしの自慢の1品じゃ」

ゴムドが 自信満々に語り ユウキは鞘を見て 納得する

ユウキが 鞘に木剣をしまい ポーズをとる

ユウキ

「どうかな?父さん」

ヒデオ

「おお!木剣とは わからんぞ その鞘の装飾は本当にすばら…ん?」

ユウキ

「ん?どうしたの?父さん?」

鞘に木剣を入れて数秒経った後 鞘に付いている宝飾の数々が ボロボロ落ちていく…

そして 最後まで抗い なんとか付いていた最後の鉱石が 落ちる

ユウキ

「ええー!!な…なんで…」

ゴムド

「むぅ…もしや 拒絶反応か…」

ユウキは 落ちてしまった装飾品を拾い ゴムドに手渡す

ユウキ

「なんか…ごめんなさい…」

ゴムド

「いやいや ユウキ殿は なにも悪くありませんぞ …この木剣に対して 失礼な行為じゃったかもしれんなぁ…しかし 鞘自体は 問題なさそうじゃ 少々無骨じゃが 致し方あるまい…」

ヒデオ

「まあまあ 良いではないか まあ…少々…おもちゃっぽいがな!ハッハハハ!」

ユウキ

「くっ…ふん 軽くて使いやすそうだから べ…別に気にしてないさ…で 父さんは どうするの?剣を買うの?」

ヒデオ

「うむ 俺には ここにある剣は分不相応だ さっきの部屋の入口にあった 大剣を買おうと思っている」

バール

「そうか では さっきの部屋に戻ろう わしは ここにいるだけで 重圧がきつくてかなわん」

全員で 元の部屋に戻り ヒデオは 目をつけていた 入口にある大剣を取る

ヒデオ

「……うむ 俺の実力では なんとか背伸びをして ようやくこの剣を持てる…どうか この剣を譲って頂きたいのだが…」

ゴムド

「と 申しておるが アルマ?良いか?」

アルマ

「…………」

ゴムド

「アルマ?聞こえておるか?」

アルマ

「………え!?ああ もちろんええよ 青白硬貨3枚で どうや?」

ヒデオ

「うむ ありがたい では3枚渡そう…そして やはり我が息子の木剣の分 これでは足りないかもしれんが 5枚 計8枚 お渡しします」

アルマ

「お!おっさん 太っ腹やなぁ…へへへ…まいど!」

ゴムド

「こりゃ やめんかアルマ! ヒデオ殿 こんなに頂けませぬぞ…それに アルマが作った剣で 3枚は いくらなんでも高すぎじゃ…アルマ!吹っかけるでない!!」

ヒデオ

「いや ゴムド殿 俺がその値段で納得しているのだ 息子の手前 俺にも かっこつけさせて頂きたい」

ゴムド

「……うむ…そうか…では 遠慮なく頂く事にしないと いけないようじゃな…これ!アルマもちゃんと 礼を言いなさい」

アルマ

「おう!おっさん ありがとうなぁ!」

バール

「なんだか 良く分からなくなったが 両者とも 良き出会いだったようだな ここに案内した甲斐があったというもの では ヒデオ殿 ユウキ殿 帰るとしましょうか?随分と時間がかかってしまった 心配をしていると思いますぞ…」

ゴムド

「うむ また お時間があれば 来て下され アルマ共々お待ちしておりますぞ」

ユウキ

「はい 色々ありがとうございました」

バールを先頭に 家路へ向かう…

ゴムド

「…………バール!」

バール

「どうした?ゴムド?」

ゴムド

「……… お主……いや…わしは何もいいまい…」

バール

「………」

ユウキは 2人のやり取りに少し疑問を感じたが 長い付き合いがある2人だ 色々あるのだろうと 深く考えなかった

ゴムド

「…………」

アルマ

「どうかしたん?…まあ ええけど ほんま わけわからん奴らやったな…」

ゴムド

「…なんとも 気持ちの良い人たちじゃ…しかし あのユウキ殿は…一体…」

アルマ

「……なあ じいちゃん…あのユウキってやつ あの剣の呪いを 受けたんじゃないんか…」

ゴムド

「…無論 かかっておる わしらぐらいの者がかかれば 一瞬で廃人になってしまう呪いをな…しかし あの方には 無意味なんじゃよ …なにもかもな…」

アルマ

「…どんなもんでも無意味?それは無効とかそういうんやなくて?」

ゴムド

「うむ そういうもんじゃない そうじゃな…例えば アルマ 火を消すには何じゃと思う?」

アルマ

「は?そんなん水かけりゃええやろ?」

ゴムド

「そのとおりじゃ…しかし 燃えたぎるマグマをスプーン一杯の水をかけて 燃えたぎるマグマを消せるか?」

アルマ

「そんなん無理に決まってるやろ…あ…そんなに次元がちゃうってこと?」

ゴムド

「………わしにもわからんのじゃ…思い返しただけで 震えてくるわい…」

アルマ

『……もしかしたら あいつなら…』

ゴムド

「ふぅ…なにやら やる気がみなぎってきたわい…アルマ!手伝え!1本剣を作るぞ!」

アルマ

「!!!ほ…ほんまか…うちも…手伝ってええんか!?」

ゴムド

「わしの真髄みせてやるわい!火入れは 出来ておるか!!」

アルマ

「当たり前や!火入れだけは 毎日かかしとらんわー!!」

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