第34話 サヤカとヒトミのお買い物

一方 その頃 女子2人

サヤカ

「あ!そうそうお義母様 わたし欲しいものがあるんです でも どこに売っているのか…見当もつかないんですよ…」

ヒトミ

「え?何が欲しいの?」

サヤカ

「えっとですね…バールさんから頂いた ジャクの実ってあったじゃないですか?あの リンゴのような味をした果実です」

ヒトミ

「あの貴重な果実ね!それがどうしたの?」

サヤカ

「あの果実を使って アップルパイを作りたいなって思いまして どこかにオーブンみたいな調理器具って どこかに売ってたりしないですか?」

ヒトミ

「うーん…オーブンかぁ…ピザ窯みたいなやつなら あったと思うわ…オーブンの代用にはなりそうだけど 火加減難しそうね…」

サヤカ

「ピザ窯か…あ!でも ピザも作ってみたいですね ピザ窯って高いですか?」

ヒトミ

「結構高かった気がする…金硬貨50枚ってとこかな?多分…」

サヤカ

「……わたし いまいち通貨の価値っていうのが 良く分からないんですよね…」

ヒトミ

「そう?あんまり深く考えなくても 日本円に置き換えればいいのよ?例えば この金硬貨は1万円で 銀硬貨が千円 そしてこの鈍く光っているのが百円 この褐色の硬貨が十円 この見た目がしょぼいのが1円って覚えたらいいわ」

サヤカ

「で この青白く光っている硬貨が 金硬貨100枚分…百万円ってことですね 最初 お義母様に これじゃ買い物出来ないって言われて 両替所に行ったんですよね その時 この硬貨1枚渡して 金硬貨100枚渡された時 ビックリしましたよ」

ヒトミ

「まあ アモンちゃんは王子様だし その辺は太っ腹よね!でも国庫みたいなもんでしょ?大丈夫なのかしら?で 結局何枚入ってたの?」

サヤカ

「全部で32枚入ってましたよ…ってことは 日本円に直すと…でも 借りてるものですから 無駄遣いは出来ませんけどね」

ヒトミ

「また 適当な数だね 私たちも初め来た時 もらったのよ 袋に入った青白硬貨をね で 中には 29枚入ってたんだけど 29枚よ? そんな中途半端な数字だと思わないじゃない?1枚どこかに落としたかもって…すごく 焦っちゃったのよ…そしたら アモンちゃんなんて言ったと思う? 適当に手で掴んで袋に入れただけだから 枚数は分からない だって…」

サヤカ

「アモンさんらしいですね…」

ヒトミ

「お金の管理は どうなってるのかしら? この辺はアモンちゃんにキチッとしなさいって言わなきゃね!ところで どうする?ピザ窯っぽいのしかないと思うけど 見に行く?」

サヤカ

「はい 買うかどうかわからないけど 見に行きたいです!」

ヒトミとサヤカは 家に帰らず そのまま商店が並ぶ通りに向かった

ヒトミ

「えっと……たしか ここの通りの…あったわ!」

サヤカ

「ここですか?へー…色々売ってますね…って 全部高っ!!」

店員

「いらっしゃいませ どうぞ見て行ってください」

ヒトミ

「あ はい じゃあ見せてもらいましょ」

サヤカ

「このお皿 きれいなデザインですね どれどれ…え!?金硬貨5枚!?このお皿1枚で大体5万円!?」

店員

「そちらは レヴァン作のお皿です 金硬貨5枚でも安いくらいですよ」

ヒトミ

「えっと…たしか…あったあった!サヤカちゃんあったよ ピザ窯!」

サヤカ

「え!?あ 店員さん ごめんなさいね お義母様今行きます」

ヒトミ

「あんなのに いちいち引っかかってたら キリがないわ ここでは 目的の物だけ見ましょ」

サヤカ

「そうですね これか…うわ…高いですね…金硬貨80枚…さすがに 高いですね」

ヒトミ

「店員さん これなんだけど いくらまけてくれる?」

サヤカ

「うわ…直球…やっぱりヒトミお義母様は 凄いわ…」

店員

「いやいや こちらの商品は かの名工 ランドヘル の作品ですよ!?値段は下げられませんよ…」

ヒトミ

「ランドヘルだがランドセルだが知らないけど 私たちは 定価じゃ買わないわよ?それに こんだけ目立たない場所に 置いているって事は 買い手がつかないってことでしょ?違う?…そうね 金硬貨…30枚ってとこかしら?どう?それでいい?」

店員

「30!?さ…さすがに無理ですよ!…うーん では 70でいかがでしょ?」

ヒトミ

「サヤカちゃん 帰りましょ これに似た物ぐらい 他のお店でもあるでしょ」

サヤカ

「え…はい わかりました」

店員

「あ…待って下さい わかりました…60…いえ 50!これでなんとか…」

ヒトミ

「…………残念だわ…さあ!サヤカちゃん行きましょ!」

店員

「くぅ…40!!もう 無理です…」

ヒトミは その言葉を聞こえると 出口に向かっていた足を止め 大きくため息をつく

ヒトミ

「うーん……しょうがないわね…32で手を打ってあげるわ…32いいわね」

サヤカ

『!!!40で妥協すると見せかけて…こ…これが…交渉術……す…すごい…』

店員

「あ…ありがとうございます…って…え?そんなぁ…勘弁してください…だったら間をとって35にしましょう…お願いします」

ヒトミ

「うーん…33!これでいきましょう!」

店員

「そんな…切りが悪いじゃないですか…ね…35にしましょうよ…」

ヒトミは その言葉を聞いて 店員の見えない所で ほくそ笑む…

サヤカ

『え!?な…なんなの…ヒトミお義母様の 勝ち確みたいな顔は…も…もしかして 今の店員の言葉に 何か過ちがあったの!?…わからない…わからないわ!』

ヒトミ

「だったら34!もう これ以上やいのやいの言うなら 交渉決裂ね」

店員

「……う…うぅ…わかりました…わかりましたよ…34で…いいです…」

ヒトミ

「わ!ありがとね!……でも…」

店員

「え…ま…まだ なにか?」

ヒトミ

「…確か…店員さん…切りの悪い数字は 嫌っていってたわね……店員さんの意向も取り入れなくっちゃね!フェアじゃないわ…35なら交渉決裂…なら考えられる数字はいくつかしら?」

店員

「そ…そんな…あなた…は…一体…」

ヒトミ

「そんな言葉聞いてないわ!さあ数字はいくつ?」

店員

「…さ…さん…30です……」

ヒトミ

「そう?ありがと!サヤカちゃん これ30だって これにしましょう」

サヤカ

「はい じゃあ30枚です 確かめて下さい」

店員

「は…はい ありがとうございました…」

ヒトミ

「あ…そうそう 店員さん?」

店員

「ひっ!?な…なんでしょう…」

ヒトミ

「せっかく 即決でしかもサクッとこっちは支払ったんだから 何か サービスしてよ?あ!この大きなお皿おまけして?いいでしょ?」

店員

「え!?ど…どこが…即決だったんだ…う…でも…」

ヒトミ

「……ふぅ…なんでこんなこと 私が言ったか分かってるの? これは…あなたの度量を見ているのよ!あなたの!さあ…あなたの度量を私にみせてちょうだい!!」

店員

「!!!わ…わたしの 度量…わ…わかりました!!ええい!わたしもここでずっとやってきているんだ!この大皿2枚つけます!それと この大皿と同じデザインの小皿4枚もつけます!これで…どうですか!?」

ヒトミ

「…ふっ…負けたわ…あなたの度量に完敗だわ…この勝負…あなたの勝ちよ…」

店員

「……勝った…勝ったんだ…」

サヤカ

『な…何言ってるの…あなたの負けよ…それもボロ負けよ…誰もが引くぐらい負けなのよ…』

サヤカは 心底ヒトミが味方で良かったと思うのであった…

そして 荷物の全てに ユウキとサヤカの印を入れてもらい ブレスレットに収納し 店を出た

サヤカは 店を出た後 ヒトミが発した小さく呟いた言葉に 寒気を感じる…

ヒトミ

「…………チョロいわ…」

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