第30話 アルマの師 ゴムド

ヒデオ

「……!!な…なんと これは 素晴らしい…」

ヒデオは 入口に入った途端 目をキラキラさせる

ユウキが見た感想は 店頭にあった刀剣より 随分シンプルで 無骨なありきたりな剣だったが 刀身はユウキでもわかる 妖艶で 人を惹きつける不気味な鈍いひかり…

ユウキ

「……なんとなく 分かった気がする……剣が 人を選ぶか…うん…これは 使いこなせないな…」

バールは この部屋に入った途端 回りをキョロキョロし

バール

「……して ゴムドは 何処におるのだ?ここにおるとばかり……」

アルマ

「クッククク… ゴムドのじじぃは 昨日から 黄鉱石の在庫が あんまないから とりにいってるんや…あのじじぃの足じゃ 帰ってこれても 明日になるわ…バールのおっさん 残念やったな 今日中には 帰ってこうへんで ハッハハハ!」

バール

「…そういうことか…店先でまたお客に 暴言を吐いて 追い返したことが ゴムドにバレたら また 貼り付けにされるぞ…今度は もう わしは 助けんぞ…」

アルマ

「ハッハハハ!あの耄碌じじぃが いくら地獄耳でも 流石にわからへんて! じじぃが いない間は うちが 天下やからな!ハッハハハ!」

その瞬間 アルマの頭に大きな手が現れ アルマの頭を包み込む

???

「ほぅ……じじぃがいない間は アルマ おまえが天下か…随分と 偉くなったもんだのう…」

バール

「お?ゴムド 久しいのう 邪魔しているぞ」

ゴムド

「おう バール お前が客人を連れて来るとは珍しいのう まあ 積もる話は後じゃ さて アルマよ…なにか 言うことはあるか?」

アルマ

「べ…別に 何もなかったよ お爺様 それより ず…随分と 早いお帰りだね…」

ゴムド

「途中で 黄鉱石を取りに行っていた 友人におうてな 分けてもらったんじゃよ しかし お前 もう…粗暴な振る舞いを しないんじゃなかったかのう…」

アルマ

「ひっ!ち…ちゃうねん…そ…そう あれは ちょっとした冗談なんや 場の雰囲気 和ませようと 思うてな…な…なあ バールさん?」

バール

「………ふぅ…まぁ 今日は わしの友人もいるんだ…ゴムド 少し大目に見てやってくれ」

ゴムド

「……そうじゃな すまんな お客人 見苦しいところを 見せてしまった」

ヒデオ

「いや 急の来店をしてしまったのは こちらだ して ここに置いてある見事な刀剣は 貴公が 作られた剣なのか?」

ゴムド

「いや ここに置いてあるのは このアルマが作った剣じゃ」

ヒデオ

「おお!そうなのか ここにあるもの すべて 実に 素晴らしい剣だ」

ゴムド

「うむ こいつは 喋り方 態度 その他諸々に難あり なんじゃが 見ての通り 刀剣作りの技術は 素晴らしいものをもっておる センスもいい 今はまだ粗削りじゃが わしを超える日が来るやもしれんのう…」

アルマ

「けっ!すぐに じじぃなんて すぐに抜いて さっさと隠居させたるわ」

ゴムド

「…壁にぶつかり スランプになり 周りに当たり散らして 良く言うのぅ…さて せっかくじゃ わしが作った剣 見てみるか?」

ヒデオ

「い…いいのか? ぜ…ぜひ 見せて頂けるとありがたい」

バール

「お…おい まさか あの剣に 案内するのか?」

ゴムド

「もちろんじゃ そこの…ヒデオ殿と申したな 主のランクは…うむ Aランクか…なら 少々影響はあるじゃろうが なんとかなるじゃろうて しかし……そこの坊やは 難しそうじゃのう…」

ヒデオ

「??何故 わしの息子が 駄目なのだ?わしより 強いぞ?」

ユウキ

「え!?父さんAランクなのか?…本当に強いんだな…ちなみに 母さんは?」

ヒデオ

「ん?もちろん 俺と同じAランクだ」

ユウキ

「か…母さんもかよ…」

ゴムド

「……して そちらの坊やのが強いと? うーむ……わしには さっぱりわから…!!!」

ゴムドは ユウキをまじまじ見た後 急に 大きく距離をとり 誰が見ても ゴムドは戦闘態勢をとった

ユウキ

「え!?な…なに……えっと…ゴ…ゴムドさん?」

ゴムド

「……お主…な…なにものじゃ…」

ゴムドは 全身に闘気を纏い 今にも ユウキに襲いかかりそうだった が よく見ると 全身から粟立ち 小刻みに震えている

ゴムド

『な…なんじゃこいつは…わしは得体のしれない者など 何度も見てきた……だが…こ…こやつは…次元が違う!大地そのものを相手しているような………いや!違う!そんな 生易しいものではない…』

ユウキ

「ご…ごめんなさい 何か 気に障る事してしまいましたか?本当に ごめんなさい」

ユウキは 明らかに敵意を向けられ 謝る事しかできなかった

バール

「……ゴムドは 相手の能力を見破る事が出来る…ユウキ殿の 潜在的な能力を見ての反応であろう…ゴムド 心配せんでもよい この者は 我々に危害を加える事などないぞ ゴムド!正気を取り戻せ!」

ゴムド

「!!!はっ…わ…わしとしたことが 取り乱してしまったわい…お客人 申し訳なかった…」

ゴムドは バールに身体を揺すられ ようやく正気を取り戻し 戦闘態勢を解いた しかし ゴムドは 未だ 身体の震えは止まる様子はなかった…

ゴムド

「す…すまんな…そ…そうじゃった…わ…わしの作った剣を見に行くんじゃったな…もちろん あなた様なら 大丈夫じゃ し…しかし すまぬが 少し わしから 距離を取って頂けぬか…」

ユウキ

「あ!は…はい!すぐに 距離を取ります!」

ゴムドを先頭に その隣にアルマ そしてヒデオとバールが続く そして 1人 ポツンと離れたユウキが続く

奥の部屋に入り ゴムドとアルマが部屋の奥に行ったのを 確認した後 申し訳なさそうに ユウキは 部屋に入るのだった…

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