第28話 帰ろう我が家へ そして寄り道へ…

アモン

「…………」

アモンは 少し複雑な心境で見ていた…

ヒトミ

「……モンちゃん!アモンちゃん!聞いてる?」

アモン

「…あ!ああ…な…なんだ?」

ヒトミ

「だ か ら!私たちは帰っていいよね!ユウキもサヤカちゃんも 連れて帰るわよ…」

アモン

「ああ ユウキ サヤカ 今日はご苦労だった それから ちょっとだけ すまないがサヤカ こっちにいいかな?」

アモンは サヤカを手招きする

サヤカ

「え?どうしたの?」

近づいてきたサヤカに アモンはそっと身体に触れ サヤカに話しかける

アモン

『…悪いな サヤカ あまりユウキに聞かせたくなくってな ユウキの行動は 常に見ててやってくれ…あいつ あんなに 猪突猛進な性格だったか? 悪いがユウキが無茶しないように 見ててやってくれ…』

サヤカ

『…わかったわ でも アモンさんも 無茶したら駄目ですよ…』

アモン

『……ああ そうか…これが 人間界でいう 疲れた ってやつか!なるほど…』

アモンは サヤカに微笑み 王宮に戻っていった

そして 4人は城の入口まで 戻って行った ヒデオは城の門で大きく背伸びをする

ヒデオ

「ふぅ さて!戻るとするか!」

ヒデオは とても上機嫌だった 自分の息子が この世界で 権力の象徴である各王に 認められただけでなく 驚愕される程の逸材に ヒデオは鼻が高かった

ヒトミ

「あら? ヒデオさん いつになく上機嫌ね」

ヒデオ

「そうか?そんなことないぞ!いつもどおりだ ハッハハハ!」

サヤカ

「ユウキ じゃあ かえろっか」

ユウキ

「ん?ああ そうだな 帰ろうか」

家路に向かう道の途中 奥から大きな巨体が 走って向かってきた

4人は 一瞬警戒したが よく見ると 向かいの家のバールだった

サヤカ

「あ!バールさん どうしたんですか?そんなに慌てて?」

バール

「おお!無事だったのか いや人伝いに聞いてな なんでもアモン王子と一戦交えたと聞いてな まあ アモン王子のことだ 相手を消滅させるほどの事は しないと思っていたが 万が一ってこともあるからな その顔を見ると 無事のようだな…良かった良かった…」

ヒデオ

「ハッハハハ!アモンは手加減などしなかったぞ! しかし 見事 うちの息子が そう うちの息子が 打ち消してしまったぞ!ハッハハハ!」

バール

「おお!!まことか!すばらしいのう!!」

ヒデオ

「ハッハハハ!それだけではないぞ!!さらに!!」

ユウキ

「父さん!過剰な発言はやめてくれ バールさん そんなんじゃないんだ」

ヒデオ

「ハッハハハ!いいではな…え?…」

ヒデオは 恐ろしく冷徹な視線を感じ 急に寒気を感じた…そう…例えば…すぐに消滅させられそうな悪寒…そっと 視線を感じた場所を見る……

ヒトミ

「……あ……な……た……いい加減に…しなさいよ…」

ヒデオ

「ひっ!ご…ごめんなさい…」

ユウキ

『……ここにきても 母さんには 頭が上がらないんだ……』

父親と母親の関係は 生前と同じ主従関係で 少し微笑ましく思えた

サヤカ

「それで バールさん わざわざこんなところまで?ご心配おかけしました みな このとおり 元気です」

バール

「いやぁ…別にわしが行った所で どうにもならんのになぁ ソワソワして 居ても立っても居られなくなってなぁ…申し訳ない…」

ヒトミ

「いえいえ バールさん ホントに心強いです ありがとうございます ね あなた」

ヒデオ

「はい 全く持ってそのとおり」

ユウキ

「はは… では バールさん 一緒に帰りましょう」

帰り道は5人で ちょっとした会話が弾む しかし 途中でバールとヒデオのふたりが 白熱した会話が始まり ヒトミとサヤカも ふたりで話し込んでいた そして ユウキが ふと 気付くと 完全にポッチになっていることに気づく…

ユウキ

『……あ…あれ? なんだか俺……除け者になってる…べ…別に いいけどさ……』

ユウキがすねる中 5人が帰路に 着く途中の交差点で

ヒデオ

「すまん ここで 俺とバールは寄り道させてもらっていいか?」

ヒトミ

「え?何か用事でも出来たの?」

ヒデオ

「いやー…この近くに 腕のいい刀剣を作っている職人が いるんだそうだ なんでも バールの知り合いだそうだから 一度 挨拶がてら見に行こうと 思ってな」

ヒトミ

「またぁ?そんなに刀剣ばっかりどうすんの…」

ヒデオ

「刀剣は 男子のロマンなのだ 腕のいい職人と聞いたなら なおの事 挨拶は しとかねば!」

ユウキ

「へぇ…刀剣か…だったら 俺も見て見たいなぁ…」

ヒデオ

「だよな やっぱり刀剣は 胸踊るよな! さすがは我が息子!男子のロマンを分かっているな!」

ヒトミ

「はぁ…男って いくつになっても 子供ね…でも バールさんに迷惑かけちゃだめよ」

サヤカ

「ですね…バールさん ご迷惑じゃないですか?」

バール

「いえいえ わしが 話を持ち掛けてしまって…申し訳ない…」

ヒデオ

「決まりだな では 参ろうか バール殿!よし!ついてこい 我が息子よ!ハッハハハ!」

バールは 小さくサヤカとヒトミに お辞儀をし 先に行っていたヒデオとユウキを 追いかけて行った

バール

「お二方!待たれよー!そっちの道ではないぞー!!」

ヒトミとサヤカ

「「…………」」

サヤカ

「……では 私たちは 帰りましょうか…」

ヒトミ

「…そうね あ!男たちは 好き勝手やってるんだし 私たちも寄り道しない?」

サヤカ

「それいいですね!そうしましょう!」

こうして 男子チーム 女子チーム となって 別行動することとなった

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