第25話 13回目の十字架

ドーン…

アモン

「これで…12回目か…次で 終わりかな?」

サヤカ

「ユウキ…大丈夫かな?」

レミュ

「十字架が出ているって事は 消滅していないってことだから まぁ…大丈夫だろ…もはや あたいの想像をはるかに超えてしまっていて わけわかんないけどさ…」

レミュは お手上げポーズを出していた

そうこうしているうちに 盛大にまた ドーンと大きな音とともに 13回目の十字架が出る

アモン

「お!ついに13回目か さて ユウキのマヌケ面でも 拝見しますか」

サヤカ

「あ!アモンさんひどいですよ! ユウキはマヌケ面ではありませんよ!…ただ ちょっと抜けてるとこはあるけれど…」

アモン

「じゃあ ちょっと抜けてる顔を拝見しますか」

アモンが サヤカに意地悪く言っていると また ドーンと 十字架が現れた

レミュ

「ま…まさか あの子は 状態異常3倍ってなってたね…ということは…13の3倍!?39回の即死魔法を喰らうって事かい!?…ま…まさかね…」

レミュは ガムラと協議をしていた際でも お構いなく 定期的にドーンと大きな音を鳴らしながら 十字架が盛大に現れている

ガムラ

「……うむ こんなことになるなら ソウルイーターを 限界まで出すんじゃなかったわい…しかし…これほど 胸踊る出来事は 初めてじゃ…シシシッ…」

アモン

「おーい カイ」

カイ

「はいはーい なんでしょ?アモン様?」

上空に 陣取っていたカイが アモンに近づく

アモン

「あ…カイ いいよ 近付かなくて それより上空にいて 十字架が何回出たか数えててくれ」

カイ

「ええーっ…なんか…ぼく…こんな役ばっかりな気がするんだけど…ぼくも 一応 王の位もってんだけどな…分かりましたよ 数えますよ 数えりゃいいんでしょ…ハァー…」

サヤカは その場で動かず ユウキを見守っていたが ヒデオとヒトミが近づき ユウキは大丈夫と 声を掛けられ 励まされている内に ちょっとした談笑まで始まってしまい 全く緊張感が無くなっていく…

レミュとガムラは 即死魔法が何故こんなことになったのか 持論をお互いもち 話し合っていたが

途中で どんどん路線が変わっていき こちらも緊張感が無くなっていく…

アモンも 各王がいる場所まで行ってしまい 今後の事の話し合いが始まっていた

もはや ユウキを見守っているのは カイ一人になっていた

カイ

「……36…………37 はーい 皆さん そろそろ39回目ですよぅ 全く…

一応 ずっと 即死魔法受けているのにさぁ…もうちょい 心配したら?」

サヤカ達がいる方向に向けて言葉を 投げかける

ヒトミ

「いいの いいの 実は この角度なら うっすら人影が見えるのよ 最初は ちゃんと立ってたけど 途中で座ったり 屈伸したり ラジオ体操してたわ 今は 完全に横になってるわね…」

カイ

「……即死魔法受けている者とは 思えないね…」

そうこうしているうちに 39回目の十字架が 盛大に打ち上がる

ヒデオ

「お!なんだか 祭りの花火を思い出すな たーまやー なんちゃって」

ヒトミ

「それは いくらなんでも 不謹慎ですよ さぁ そろそろ 煙が消えていきそうね」

徐々に 煙が消え あぐらをかいたままの ユウキが現れる

ユウキ

「なにが たまや だ!父さん! 俺は花火の砲台じゃないんだ…ったく…」

アモン

「ハッハハハ!よお!随分暇そうだったな 聞くだけ無駄だろうが 無事か?」

ユウキ

「ああ 問題ない いや…ひとつあった…」

アモン

「!?な…なんだ…なにか 身体に異変でもあったのか!?」

ユウキ

「……あの ソウルイーターってやつ?ありゃ なんかの生命体か?……妙に 懐かれた……」

アモン

「!!ソウルイーターに懐かれた!?はあ?何言ってんの?お前…」

ユウキ

「ホントなんだよ…名残惜しそうに去っていくやつ まとわりついて 頬ずりするやつ そういえば お辞儀して去っていくやつもいたな…最後の方なんて 去っていく時 ちょっと 愛着が沸いて 寂しかったよ…」

ガムラ

「……ソウルイーターが 感情を出したと…シシシッ…なるほどのう…面白い…実に面白い…

シシシッ…」

レミュ

「ホント実に面白いね…あんたの身体 ぜーんぶひん剥いて 調べ尽くしたいねぇ…」

レミュは 物欲しそうに 指をくわえ ユウキを見つめながら ユウキに近づく

ユウキ

「ひ…ひん剥くって…」

後退りしながらも 少し満更でもない表情をしていると 後ろから 威圧的な目線を感じる

サヤカ

「……あなた…一体何を考えていたのかな?」

ユウキ

「や…やだな べ…別に 何も考えてないよ…そんな 怖い顔で 見ないでおくれよ…」

アモン

「ハッハハハ!たまには 貸してやればいいじゃないか さて これで 各王達も 納得出来ただろう」

アモンが 各王がいる方向へ向き直りながら 問いかけた

その中で 終始無言であった シャースが立ち上がり 手を叩きながら 絶賛する

シャース

「まことに 不可思議な者よ 我が軍を 出兵した甲斐があった」

各王も部族長も 全員うんうんと頷き 誰も意義を言う者は いなかった

全て上手くまとまり お開きムードが 高まる

だが ある一人の発言によって その場にいるもの全てに 疑問を浮かべることとなる

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