第19話 真理の大眼

アモンを先頭に 城の内部に入っていく 所々にいる兵士らしき者の威圧感を感じながら ユウキとサヤカは アモンについて行く

大きな扉の前にアモンが立つと 自然と重々しく扉が開く

その部屋の中央に まるで大きな目玉が 不気味な光を放ち 浮いていた…


ユウキ

「な…なんだ あれは…」

アモン

「あれが 真理の眼の統括 真理の大眼だ」

ユウキ

「大眼…なんだか 凄そうだな…で ここには何の用事で?」

アモン

「あの下に行けば 真理の眼からの情報を得て 数値化され 自分の能力 特性 使える魔法等 全て可視化される」

アモンがユウキに 大まかな流れと 内容を説明していると 突然声をかける人物が現れる

???

「へぇー あんたたちが 噂の人物だね ……どれどれ…ふぅん…別にこれといって特別な感じはしないね…むしろ…ぼん…おっと これ以上は言わないでおくよ どうせすぐに結果は出るんだし」

アモン

「老師か…書簡室から出て来るなんて 珍しいな」

レミュ老師

「こんな面白そうなこと 滅多におこんないからね 見学させてもらうよ」

近くで 椅子に座っていた者から 悪気もなく乱暴に椅子を取り上げ ドカッと座り 足を組む

ユウキは レミュ老師に目を奪われていた時 後ろから不気味な笑い声が聞こえてきた

???

「シシシッ…その通りじゃ さて あれだけの軍勢を動かしてまで 呼び寄せた者たちじゃ わしも 一部始終見させてもらうぞ… シシシッ…」

ユウキは 慌てて周りを 見渡したが 姿がどこにあるのか 分からなかった

アモン

「閻恐王か…あんたが 声を出したのは 何年ぶりかな…」

閻恐王

「シシシッ…そう嫌味を申すな このガムラが動く理由は只一つ…わしが 興味を持つか持たないか それだけじゃ…シシシッ…」

アモン

「そうかい…まぁ 好きにしてくれ で カイはまだか…ったく…お!やっと来たか…」

アモンが 扉の方を見ると 扉が開き 大きな黒い塊が入ってきた 黒い塊はよく見ると 黒い羽根で出来ており 入口でその黒い翼を広げた

カイ

「飛鳥王 カイ 見参! なーんちゃって」

アモン

「こんな狭い部屋で翼を広げるな…」

カイ

「はーい わかりましたよ そうそう シャースの旦那やら他の王は あそこで待ってるよ」

アモン

「そうか わかった」

カイ

「…それと ふーん…」

カイは 両足を数センチ浮かせながら ユウキのもとにやって来る

カイ

「君が ユウキ君で それとこっちの娘が サヤカちゃんだね 聞いてるよ 僕の名前は カイ って言うんだ よろしくね!」

ユウキは 目のやり場に困っていた それもそのはず ボディラインは はっきりしていて 正しく美しい女性そのものだった 綺麗な黒髪は 腰あたりまであり 顔は どこか中性的な 少し幼さが残る顔立ちだった

サヤカ

「…あなた 一体ど う し た の…」

サヤカの冷たい声に ユウキは我に返ったのだった…

ユウキ

「あ!!…はい こちらこそ よろしくお願いします」

カイ

「なんか 君も大変だね 今日は特にかな? 僕も応援してるから 頑張ってね じゃ また」

カイはそう言うと ユウキにウインクをして アモンの元へ向かって行った


サヤカ

『……ま…まさかの…僕っ娘属性…しかも…スリーサイズも…負けてる…さらに…顔は大人な綺麗な女性と思わせといて 若干のロリっぽさも出てる…世の男を虜にする属性全持ちが こんなとこにいるなんて…』


完全に精気を吸い取られ 口が半開きで ぽーっと しているユウキ…


ユウキ

「………はっ!!違う!違うんだ!これは!」

サヤカ

「は?わたしは 何も言ってませんけど どうしたんですか?ユウキさん?」

ユウキ

『うう…なんで こういう時 女性って敬語になるの…』

アモン

「よし 準備出来たか? なら もういいな おーい ユウキ サヤカこっちへ」

サヤカ

「アモンさん そっちに行けばいいんですね」

サヤカは ユウキを尻目にサクサクと向かって行く

ユウキ

「お…おい ちょっと 待ってくれよ ……こうなると…長いんだよな…昔っから…ハァ…」

サヤカは急に振り返り ニコッとして

サヤカ

「何か 言いましたか?ユウキさん?」

ユウキ

「い…いえ 何も 言ってません…ごめんなさい」

アモン

「ん?なんかあったのか?緊張でもしてんのか? 安心しなよ 別に取って食おうってわけじゃないからな さて どっちからがいい?」


ユウキは 一歩前に出る

ユウキ

「もちろん 俺からだ」

アモン

「じゃあ あの大眼の下に台座があるだろ? その上に立っててくれ」

ユウキ

「あ…ああ…」


ユウキが ゆっくり台座に近づくと 大きな眼と目が合う 少々ビビりながらも 台座に上がる

台座に上がった後 そーっと上を見ると 完全にこちらを見つめる大眼…

ユウキは 見なかったことにして ゆっくりと正面に向き直す


ユウキ

「…で…俺は ど…どうしたら…いい?」

アモン

「そのまま何もしなくていいぞ ただし その台座から外に出ないでくれ ……よし!真理の大眼始動してくれ」

アモンが指示を出すと 真理の大眼がある場所より少し離れた モニターのような機械仕掛けの装置があり その操作をしている者たちが 一斉に慌ただしく動き出す

すると 大眼から 淡い黄色の光が発生し ユウキをつつみこんでいった…


アモン

「………さて…と…どうなるかな…」


少し時間が経った後 淡い黄色の光の降り注ぐ量が 徐々に増えだし ついには ユウキの姿が見えなくなっていった…

それでも 降り注ぐ光は 収まりそうにない ユウキの姿が見えなくなってから さらに 数分が経つ…


カイ

「………ね…ねぇ…ア…アモン様…な…長くね?」

アモン

「……あ…ああ…分かってる…」

レミュ

「…ハハッ…こりゃ 面白くなってきたね」

レミュが 前のめりになりワクワクしながら見ていると 真理の大眼がさらに 大きく照らす

レミュ

「まだ あがるのかい!?ハハッ!」 

そして ようやく徐々に光が弱まっていき ユウキの姿が現れていく…


サヤカ

「ユ…ユウキ!だ…大丈夫?」

ユウキ

「ん?別に何ともないよ? で アモン?もういいのか?」

アモン

「ま…まさか ユウキ…お前…」

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