第15話 商店街デビュー戦

そして その日の夕方は サヤカが慣れない台所で奮闘し ご飯 味噌汁といった定番のメニューを作った

ユウキ

「このお米みたいなの 少し赤みがかってるけど ほのかな甘みが あって美味しいね」

サヤカ

「お義母様に 教えてもらったんだけど これが1番ご飯に近いんだって」

ユウキとサヤカは 他愛のない会話をしながら 夜が更けていく

ユウキ

「へー…ここも 夜というものもあるんだな…」

サヤカ

「元々 夜というか 暗いのが当たり前みたいだったそうよ 昼間みたいに明るい方が 後付けみたい でも かなり昔の出来事みたいだし なんでそうなったか よくわかってないみたいね」

ユウキ

「へー…明るいのは 魔法かなんかなのか…」

サヤカ

「……ねぇ…明日 近くを散歩でもしない?気分転換も必要よ」

ユウキ

「……そうだな… すまないな 心配かけちゃって…サヤカだって この先不安なのに…」

サヤカ

「……あ!そうそう みてみて これ」

ユウキ

「ん?それは…弁当箱か?へー そんなものもあるんだ」

サヤカ

「お弁当箱として 作ったかどうか わからないけど これに おにぎりと ちょっとしたおかず入れて 外で食べよう ね!」

ユウキ

「ああ うん そうしよう そうだ せっかくだから お隣の方にも 挨拶した方がいいよな」

サヤカ

「あ でも 右隣の家は 今は遠征中で留守なんだって 左隣は 今は誰も住んでないから 挨拶行くなら 向かいの家ね その方も 最近 引っ越ししてきたばかりだから 仲良く出来るなら したいよね」

ユウキ

「そうなんだ なら 向かいの家に挨拶だけでも 明日しよう じゃあ 俺は二階で休んでるよ」

サヤカ

「ええ わかったわ …あんまり 深く考えちゃダメよ…」

ユウキ

「ああ わかってる ありがとう…サヤカ…」


ユウキはサヤカに 感謝しつつ 夜が更けていった

 

そして次の日 向かいの家に挨拶に行く

玄関をノックすると 2メートルを超える いかにも地獄から出てきた見た目をした 大柄な人物が 出てきた

ユウキ達は その見た目に 後ずさりしたが 話してみると 意外と気さくな方で 挨拶を問題なく進め 現在 人間界でいう 商店街の通りを歩いている


サヤカ

「あ!ここ見て なんだろ?これって 陶器かな?ちょっと寄ってみよ」

ユウキ

「ん?ああ いいよ」

サヤカ

「ごめんください ちょっと 見せてもらっていいですか?」

陶器屋の主人

「はいはーい どうぞどうぞ 好きに見てってくださいな」

ユウキには 値段が適正か よく分からなかったが どうやら ヒトミに 色々聞いていたらしく ユウキが見てて 引くほど サヤカが値段交渉をしていた

陶器屋の主人

「ふうー…わかりました 流石にヒトミ様の名前を出されちゃ仕方ない…その値段でいいですよ」

サヤカ

「ほんと!?やった!ありがと」

陶器屋の主人

「でも また来てくださいよ そして出来れば 次は 正規の値段で購入してくださいね」

サヤカ

「はい また 来ますよ でも 次も割引してくださいね」

陶器屋の主人

「ハハハッ…こりゃ かなわないな またのご来店お待ちしています」

サヤカ

「はい!じゃ ユウキ行こう」

ユウキは 陶器屋の主人の主人に小さく礼をし 店を後にした

サヤカ

「ウフフ…得しちゃった」

ユウキ

「一体 いくら値引きしてくれたんだ?」

サヤカ

「そうね…だいたい半額くらいかしら なかなか折れてくれないから ヒトミお義母様の名前を出したら やっと折れてくれたわ」

ユウキ

「……母さん…ここでも 同じことしてんのか…」

ユウキの母親は 人間界でも 値引き交渉の達人で 密かに 値引きの女帝と 恐れられていた

サヤカ

「でも まだまだね…お義母様なら もう一声出来たはず…まあ 今日は初日! なんとか合格ってとこかしら…あ!そうそう ここから もう少し行った所に 大きな広場があるの そこに 行ってみない?」

ユウキ

「あ…ああ うん わかった」

ユウキは 母親の値引き交渉術を受け継いでいるサヤカに 若干引きつつ サヤカに言われるがまま 広場に向かう


ユウキ

「へー…ここは 公園みたいなところかな?」

ユウキは 辺りを見渡すと 組み手らしき事をしている者 横になって寝転がっている者 様々な事をしている者が たくさんいた

ユウキ

「…お!あの人は もしかして バーベキューかな?」

サヤカ

「ホントだ ねぇ ここで お弁当食べない?」

ユウキ

「そうだな ここで 弁当食べても 問題なさそうだ そうしようか」


ユウキとサヤカは 近くにベンチを見つけ そこでお弁当を食べることにした

そうして お弁当を食べながら 他愛のない会話をしていたが…


ユウキ

「そうだよな また今度でも 母さん達の家にでも 遊びにい…うっ!」

サヤカ

「え!?ど…どうしたの?だいじ…ぁ!」

ユウキとサヤカは その場でうずくまる

ユウキ

「な…なんなんだ…急に…目の前が…真っ暗に…サ…サヤカ…大丈夫…か?」

サヤカ

「…わ…わたしも…目が…見えな…いわ…」


2人とも 目が見えなくなっただけでなく 息苦しくもなっていた…その状態が数秒経った後…


ユウキ

「…くっ…う…うん?見えるようになった!息苦しさもなくなったな…あ! サ…サヤカ!大丈夫か!?」

サヤカ

「……ふぁ!あ!見えるようになった…うん…もう大丈夫…あれ?ユウキ!黄色のモヤがなくなってる!」

ユウキ

「え?……あ!本当だ!なんだよ…無くなる瞬間 こんなことになるなんて 聞いてないぞ…」

サヤカ

「お義父様もお義母様も こんなこと聞いた事なかったわ…どういうことかしら?」

ユウキ

「…そうだ これで アモンに聞いてみるよ どっちにしろ アモンに報告しなきゃならないし」

ユウキは ブレスレットから 黒い球を取り出した

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