第12話 地獄の新居

ユウキとサヤカは そっとリビングを覗くと また驚愕した

サヤカ

「……ほんとに すごいね…台所もあるんだ…」


ヒトミは 3人を座らせた後 台所に行き 紅茶を4つ持ってきた

ヒトミ

「まぁまぁ とりあえず紅茶でも飲んで落ち着いたら?」

ユウキ

「!!え!お茶なんか飲めるの!?そういえば お腹が空くっていうのもないような?」

ヒトミ

「ええ 飲む必要も食べる必要もないわ でも 飲み物も飲めるし 食べ物も食べれるのよ しかも トイレに行く必要もないから 生きてた頃より便利ね」

ユウキ

「食事も出来るのか…でも…飲食したものはどこに行くんだ?」

ヒトミ

「さあ?どこ行くんだろうね?そんなこと考えたこともなかったわ」

ユウキ

「…相変わらず 母さん… その辺は いい加減だな…」

剣士

「……一応 ステータスに影響はあるみたいだ まあ…微々たるものだが…」

サヤカ

「あ!挨拶遅れてごめんなさい ヒデオお義父様 お久しぶりです」

ヒデオ

「あ!こちらこそ… サヤカさんお久しぶり」

ヒトミ

「あ!そうだ 食事で思い出したわ 今日は オムライスを作ってあげるんだったわ」

ユウキ

「え?誰に?」

ユウキの問いかける すると 部屋全体に響き渡るように声が聞こえてくる


???

「……そうよ…あんたたちの利用価値なんて オムライスを作ることしか無いんだから さっさと わたしにオムライスを作りなさい…」


ユウキ

「い!?え…だ…誰?」

ヒトミ

「あら?レモンちゃんじゃない?待ちきれずこっちに来ちゃったの?」

ヒトミは 天井を見つめながら言うと 黒い霧のようなものが集合し 1人の少女が現れた


そして レモンと言われた少女は 大きく頷く

レモンと言われたこの少女は 推定年齢約10歳程の見た目で あのアモンの妹にあたる

レモンは 人間界から来た者を 毛嫌いしているが 一度ヒトミにオムライスを 食べさせてもらってから オムライスにハマり 定期的に 何かと理由をつけて食べに来ている


ヒトミ

「せっかくだから みんなの分作ってあげるわ ユウキも久しぶりに ママの手料理食べたいでしょ?」

ヒトミは ユウキに向かって可愛いポーズをする

どうみても 年下しか見えない母親の可愛いポージングを見せられても 困惑するしかなかった…


サヤカ

「ということは 卵とかあるんですか?」

ヒトミは 得意げに 台所にある 箱を指差す

サヤカ

「これって もしかして冷蔵庫ですか?」

サヤカは 興味津々に そっと冷蔵庫のような箱を開ける…

サヤカ

「…あれ?なんにもないわ…どういう…」

ヒトミ

「ふふーん まぁ 見てて」

ヒトミは 箱に向かって魔法をかけ オムライスに必要な具材を出現させた

サヤカ

「これって…魔法の力で出したんですか?凄いですね!」

ヒトミ

「わたしの魔法の力では 流石に 食材の具現化は出来ないわ ただ わたしの家にあるものを 転移させただけなの」

ユウキ

「だったら 食材はどうやって 手に入れたんだ?」

ヒデオ

「はぁ? 買ったに決まってるだろ?」

ユウキ

「え!?売ってんの?ってか 地獄でも通貨あんの?」

ヒトミ

「そうよね…私たちが想像してた場所とは全然違うから…もちろん 私たちもビックリしたわ でも 考えて見たら 当たり前よね 地獄側から人間界に行けるんですもの 人間界のマネごとをするようになって 需要と供給のシステムが確立すれば おのずと 通貨だって出来てくるのは 必然よね …知らないけど」

ユウキ

「なんだよ!結局 母さんの想像かよ!」

ヒデオ

「食事も睡眠も 全く必要ないが ここでは 寿命がないらしいからな 娯楽感覚なんだろう…」

レモン

「オ ム ラ イ ス!!」

レモンは 椅子に腰かけながら 待ちきれず大声を出した

ヒトミ

「レモンちゃんは もう待ちきれないみたいだし 先にオムライス作っちゃいましょ」

サヤカ

「あ!私も手伝います」

ヒトミ

「あら そう ありがと じゃあ手伝ってくれる?」

台所が慌ただしく 食事の準備をしている中 ユウキは聞きたい事を 父親に聞くことにした


ユウキ

「えーっと…一体なにから聞いたらいいか…とりあえず 父さん達は どこに住んでんの?」

ヒデオ

「ちょうど 向かいの家があるだろ?その右隣だ」

ユウキ

「近っ!………ところで……父さん…なんでそんな恰好してんの?」

ヒデオ

「ん?どうだ?かっこいいだろ!誰もが思い描いたヒーローそのものだろ」

ユウキ

「…………」

自分の父親が まさか厨二病を拗らせていた事を 初めて知ることとなる

ユウキ

「……うん…まぁ…いいや…で 父さん達は何してるの?」

ヒデオ

「それで この剣の名前はな 初めは聖剣って言ってたんだけど 流石に母さんが 聖剣はないだろ?って言われてさ だよなぁ…地獄側なのに 聖剣っておかしいよな…だから とっさに 思いついた名前にしたんだけど どうも しっくりこないんだよな…なんか こう ビビッとくる名前ない?え?なんか言ったか?」

ユウキ

「………で…父さんは 何をしてるんだ?」

ヒデオ

「ん?ああ…そうだな…俺と母さんは アモン君の直属の遊撃隊みたいなもんだな かなり優遇してもらってる」

ユウキ

「だ…大丈夫なのか?危なくないのか?」

ヒデオ

「俺と母さんは かなり強いんだぞ 俺よりランクの低いやつの動きなんて コマ送りみたいなもんさ ハッハハハ! で ユウキとサヤカさんは 一体どんな能力だったんだ?」

ユウキ

「能力?いや 黄色のモヤが かかってて まだ わからないらしい」

ヒデオ

「黄色のモヤ?ああ あれか…俺も母さんもものの数分で なくなったが お前たちはまだ膜が かかっているのか?」

ユウキ

「……うん…ってか 黄色のモヤがだんだん色濃くなってるんだが…」

ヒデオ

「そうなのか?うーん…」

ヒトミ

「はーい お話はまた後で さあ 冷めないうちに 食べましょう」

ヒトミは 話を遮り 5人分のオムライスを 目の前に並べた

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