第11話 白い剣士と少女の正体

2人が驚いたのは 無理もなかった 柱を越えた先に広がっていたのは 自分たちが住んでいた人間界の家々そのものだったからだ 所々に生えている木 草などは 人間界のものとは違ったが ほとんど違和感がなかった

アモン

「どうだ?すごいだろ?」

得意げに アモンは語る

サヤカ

「こんなの どうやって作ったの?」

アモン

「オレ達 地獄にいる連中は 人間界に行けるって言ったろ?人間界で学んだに決まってるじゃないか?」

ユウキ

「え…えーっ!人間界には 今も い…いるのか…知らなかった…」

アモン

「普通のやつには 全く見えないがな あー… でもたまに 見えるやつもいるけどな ごく少数だけどな」

ユウキ

「怪奇現象の類いなんて 嘘っぱちだと思ってたけど ああいうのは もしかして お前たちの仕業だったのか…」

アモン

「イタズラ好きもいるからな…人間を ビックリさせたりして 楽しんでるやつも 中にはいるからなぁ しょうがない奴らだ」

サヤカ

「へー…そうなんだ で アモンさん 私たちの家はどこにあるの?」

アモン

「あの角を 曲がって ちょっと行った所だ」

サヤカは そう聞くと 先頭のアモンより前に出て 目当ての曲がり角に向かい そっと見て見る

サヤカ

「!!!ええーっ こ…これって…」

ユウキ

「どうしたんだ?そんな大きい声を出して?」

サヤカ

「ほら 見て あの家…し…信じられない…」

ユウキはサヤカに引っ張られ サヤカの指さす方向を見る

ユウキ

「お…おい…嘘だろ…俺たちが住んでいた家のそのまんまだ…」

アモン

「そらそうだ そのまんま 似せて作ったんだからよ」


そして家の前に着くと 玄関付近に長い剣を持った 白いフルアーマーの剣士が立っていた


ユウキ

「え…ア…アモン? なんだか すんごいのいるんですけど…」

アモン

「ん?……お!おおーっ さっきは助かったぜ あれは さすがにやばかったからな」

サヤカ

「お知り合い?」

アモン

「知り合いもなにも サヤカは気を失ってたから知らないだろうけど 荒地を抜ける直前に襲い掛かられ ユウキはもう少しで 消滅させられるとこだったんだぜ」

ユウキ

「おお あの時か!さっきは 本当に危ない所 ありがとうございました」

剣士

「べ…べつにかまわん」

サヤカ

「ん?…いえ…そうだったんですか ありがとうございました」

アモン

「あれ?えっと…」

剣士

「中で 掃除をしている…呼んでくる」

アモン

「そっか んじゃ頼む」

ユウキ

「なんだか すごいなぁ なあ サヤカ」

サヤカ

「……んー…この声は…え!?なんか言った?」

ユウキ

「だから なんだかすごいなぁって……どうかした?」

サヤカ

「ううん ちょっとね」

ユウキ

「そっか」


そして 少し時間が経った後 剣士は 1人の少女と一緒に現れた


アモン

「やあ さっきは助かった ありがとな」

ユウキ

「え!?この女の子も あの時いたの!?」

アモン

「こう見えて かなり強いんだぜ ここでは 見た目で判断しちゃダメだ」

サヤカは ジッと少女を見つめ 少し考えた後 ハッとし 深々とお辞儀をした

ユウキ

「え!?な…なに?サヤカ? もしかして知り合い?」

少女

「はぁ…サヤカちゃんはすぐ気付いたのに……あんた まだわからないの?」

ユウキ

「そ…その声は…ま…まさか…母さんか!?」

少女

「…やっと気付いたの ちなみに あと 私の隣にいるのが あんたのパパよ」

ユウキ

「ええーっ! 父さんも母さんも 変わりすぎてわかんないよ…ってか 母さんいくつの時の姿なんだよ…」

少女

「12歳ね!見た目は こんなんだけど あんたのママであることは 変わらないんだからね」

アモン

「家の中まで そっくりってわけじゃないから 自分たちで好きなように改造でも何でもしてくれ オレは城に戻るから 黄色の膜が消えたら連絡してくれ」

そう言うと 黒い渦がアモンの後ろに現れ アモンは片手を上げ 黒い渦の中に消えていった

ユウキ

「あ!ちょっと…まだ 聞きたいことが…あーぁ…」

少女

「聞きたいことが あるなら教えるわよ?わたしが分かることならね!」

少女はウインクをし それを見たユウキは 苦笑いを浮かべるしかなかった…


サヤカ

「ヒトミお義母さま お久しぶりです」

ヒトミ

「サヤカさんは 随分大人なのね 羨ましいわ」

サヤカ

「いいじゃないですか アモンさんは その人の全盛期の身体になるって言ってましたから お義母さまは その年齢が1番ってことなんでしょう」

ヒトミ

「…そうねえ…確かに 身体は動かしやすいし まぁ 問題ないかしら」

剣士

「…まあ…立ち話もなんだ…家に入らないか?」

ヒトミ

「あ!わたしったら…家の中に入りましょ」

そう言うと 玄関を開け 4人で入っていく


ユウキは いつものように靴を脱ごうとする

ヒトミ

「あんた 何してるの」

ユウキ

「は?靴を脱いでるに決まってるだろ? 何いってんの?」

ヒトミ

「ハァ…靴も あんたの魂の一部なのよ 脱いでどうすんの?」

ユウキ

「あ…そうか でも…なんだろ…土足で家の中に入るのはなぁ」

サヤカ

「あら?みて ユウキ!頭でスリッパにしたいなぁ…って思ったら ちゃんとスリッパになったよ」

ユウキ

「え?ほんとか!んじゃ 俺も…えっと…こういうイメージで…」

しかし ユウキの足元は スリッパには程遠いものが形成された

ヒトミ

「もっと ちゃんとイメージしなきゃ」

ユウキ

「分かってるよ えっと…お!出来た ほんと 便利だなぁ…」

ヒトミ

「とりあえず 中には ソファーがあるから そこで 聞きたいことを聞くわ こちらも 話したい事があるしね」

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