第9話 真理の眼

アモンは門を開くと お構いなしに進んでいく

サヤカ

「ねぇ…勝手に入っちゃていいの?」

アモン

「ああ かまわないさ いいから早く来い」

ユウキ

「だそうだ では お邪魔します」

サヤカ

「…うわ…す…すごい…」

サヤカが部屋を見渡すと カラフルな机や椅子 所々にある可愛い小物 定期的に入れ替えていることが想像できる花瓶 まさしくこれぞ女子部屋と思わせる部屋つくりだった

サヤカ

「わ!この小物入れ か…可愛い!」

どうもサヤカの感性に ピッタリだったようで サヤカは目をキラキラさせていた

アモン

「おい なに立ち止まってるんだ?こっちこっち」

アモンは その部屋の奥に向かう 慌てて2人は 後を追う

通路を歩いている途中も 所々にある窓には 小さな可愛いらしい小物が置いていて サヤカはずっとキョロキョロしていた

サヤカ

「…わ!これも可愛い ねぇ ここにいる方ってどんな方なんだろうね」

ユウキ

「さあ?まあ こだわりがすごいな サヤカ こういうの好きだもんな」

アモン

「さあ ここだ おーい 入るぞ」

アモンが門を開くと ドスのきいた世にも恐ろしい声が 聞こえてきた

???

「………どなた?」

アモン

「アモンだ 久しぶりだな ベル」

ベル

「!!!あらぁ アモンちゃんじゃない!?んもう! 全然来てくれないんだから!」

ドスのきいた猫なで声で話していたが その見た目に2人は驚愕した 大きさは2メートルを超え 身体のあちこちに鱗が見え 顔は まるで半魚人のよう 開いた口は 鋭利な歯がズラリと並んでいた

アモン

「色々 忙しくてさ」

ベル

「で 今日は何しに来たの?……待って……そっか…そうなのね…アモンちゃん 寂しくて 会いに来たのね…いいわ…さあ 私の胸に飛び込んできなさい!慰めてあげる…」

ベルは 両手を広げ 目を瞑る

アモン

「……ベル 今日は 仕事で来たんだ 真理の眼を この2人につけてもらいたくってね」

ベル

「あら?お仕事なの?なーんだ…つれないわね…で どのふた……」

ベルはじっとユウキを見て 駆け足で寄ってくる

ベル

「あらぁ かわいい坊やね いいわ 私が手取り足取り教えてあげる…大丈夫よ…心配ないわ…さあ こっちへいらっしゃい」

ベルは 強制的に右手を掴み 引っ張っていく

サヤカ

「!!あの!ベルさん あんまりうちの旦那を 強く引っ張らないでいただけません?」

サヤカも 負けじとユウキの左手を持ち 引っ張り戻す

ベル

「なに?あんたどこのメスブタ??」

サヤカ

「ハアァ??だ…誰がメスブタだって!?」

ベル

「キャハハハ あんたに決まってんじゃない?メスブタでも もう少し賢いわよ?」

サヤカとベルは ユウキを引っ張り合いながら 睨み合っている

アモン

「だああぁぁー ベル 頼むよ あんまりふざけないでくれ…」

ベル

「ごめん ごめん 冗談よ冗談 そんな怒っちゃだーめ ちゃんと仕事するわよ さあ 坊や こっちへいらっしゃい…」

ユウキは こわばりながらアモンを見ると アモンは頷いた 仕方なく恐る恐るベルに近づく

ベルは ユウキを手招きして ベッド前まで誘導する

ベル

「…さあ このベッドに横になって…」

ユウキは 言われるがまま ベッドに 横になろうとすると…

ベル

「あん ダメよ…ちゃんと 服は脱がないと…」

ユウキは 慌てて 上の服を脱ごうとする…

アモン

「……ベル…いい加減にしなよ… ユウキ 服なんて脱ぐ必要なんてないぞ それからベッドに横たわる必要もねぇよ」

ユウキは その言葉を聞いて 慌てて服を着直す

サヤカ

「…ねぇ…アモンさん 大丈夫なの?」

アモン

「……多分…」

ベルは 無駄に ベタベタとユウキを触り なかなか進んでいるように見えない…アモンは じっとこらえていたが 我慢出来ず ベルに注意をする直前にようやく ベルは 真理の眼 を取り出す

ベル

「さて 右手で右目側の髪の毛を 掻き上げてくれる?出来る?お姉さんに手伝ってほしい?」

ユウキは 何度も首を振る

ベル

「じゃあ いくわよ 少し違和感があると思うけど 少しの間だけだから 我慢するのよ?…でも どうしても我慢できなくなったら ちゃんと言うのよ? お姉さんさんが 優しく抱きしめて あ げ る」

ユウキは 身を膠着させながら 何が何でも我慢することを 誓った

ベルは ユウキの右目の前に 指を近づけると そのまま右目に指を突き刺す

その様子を見ていたサヤカは 思わず 声を出してしまう

サヤカ

「キャッ!」

ベルは ゆっくりとサヤカの方に振り返り 睨みながら 小さく舌打ちをする その後 ユウキの方に向き直り 猫撫で声で

ベル

「すぐに 終わるからね 我慢するのよぅ」

ユウキは 何度も 頷く素振りをする

ベルは ゆっくり突き刺した指を抜き 淡く光る目と 真理の眼 を合わせ そっと右目に戻す

ベル

「はい おしまい どう?問題なく見えてる?」

ユウキは 何度かまばたきをした後 周りを見渡す

ユウキ

「えっと…はい 問題なく見えています!」

ベル

「!!!あら!声まで可愛いじゃない!」

ベルは もともとユウキに近かったが さらに一歩前に来て ユウキはのけぞる

アモン

「……ベル こっちも お願いできるか…」

ベルは アモンを一度見た後 サヤカの方をめんどくさそうに見て また舌打ちをする

そして 邪魔くさそうに もう1つの 真理の眼 を取り出し サヤカの方を見向きもせず サヤカ側に飛ばす フワフワ浮いた 真理の眼 は そのままサヤカの右目に入っていった

ユウキ

「え?…あ…あの いえ…何でもないです…」

アモン

「んじゃ ここの用事は終わった お前たち 戻るぞ 世話になったな ベル」

ベル

「アモンちゃん また来てよ きっとよ そこの坊や 今度は1人でおいで お姉さんが色々教えてあげる」

3人一行は ベルのいた家を後にし アモンを先頭に歩き出した

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