第8話 帝都 到達

一方その頃……


ユウキ

「うわーーっ!!地面に…ぶ…ぶつかるぅー!」

しかし 地面にぶつかる手前で減速し ゆっくりと地面についた

ユウキは 未だ白目をむいたままのサヤカを 揺り起こす

ユウキ

「おい!サヤカ 大丈夫か!?」

サヤカ

「………ん……ハッ! えぇ! ここどこ?」

ユウキとサヤカは 辺りをキョロキョロ見渡したが さっきの荒地のような場所ではなく 辺り一面草原で 所々に木らしきものが 生えているくらいだった…


そうこうしているうちに アモンがやってくる

アモン

「無事みたいだな いやー 最後はさすがに焦ったぜ んじゃ 行くか」

アモンは 2人の先頭に立ち 歩いていく

ユウキ

「お…おい…どこまで行くんだ?先に何かあるように見えないんだけど…」

ユウキは 遠くを見渡したが ずっと遠くまで 草原が続いているようにしか見えなかった

アモン

「安心しな もう少ししたら 見えてくるさ」

サヤカ

「ね…ねぇ…さっき襲ってきた連中は…」

アモン

「大丈夫だ ここまでは さすがに追ってこないし 追って来ても 絶対入ってこれないからな」

ユウキ

「そうなのか?なにか結界みたいなものが あるってことか?」

アモン

「ああ…そんなとこだ この地獄の大地には 14本の塔があるんだが それら全てを停止されない限り ここには 入ってこれない」

サヤカ

「ちょっと待って…ということは この地獄の大地を 天使からの侵入を防いでる…そんなことする必要がある…もしかして この地獄の大地は 天上界から 攻められてるってこと?」

アモン

「ああ そうだ」

サヤカ

「なんで そんなことに…」

ユウキ

「どうせ 天上界から恨まれることでもしたんじゃないか?」

アモン

「そんなことしても オレ達にはなんの得もないし 意味もないしな なんせ オレ達地獄側は 天上界には行けない」

ユウキ

「え?そうなのか?なんで?」

アモン

「いけないってのは ちょっと違うか…地獄側の者が天上界のエリアに入ると 強烈なスリップダメージを食らう 並の奴じゃ1歩も進めず消滅しちまう」

サヤカ

「…じゃあ 一方的に 攻められているって事?どうして?」

アモン

「さあな?わかんねぇ あまりにも昔過ぎだからな… 何か きっかけがあったかもしれないがな」

ユウキ

「…んー…地獄の連中は 天上界に行けない でも 人間界には行けるって事で合ってるか?」

アモン

「ああ そうだ 天上界のやつらは地獄には来れるが 人間界には行けない 人間界も同じように 天上界には行けるが 地獄には行けない」

サヤカ

「でも 契約者なら人間でも地獄に行けるんだよね?私たちがそうだし…」

ユウキ

「だよなぁ…天上界側にも そういうのあれば 地獄側から天上界に行けそうだけど?」

アモン

「ああ そういう抜け道みたいなもんがあるかもしれないな ただ お前たちに使った契約書は 簡単に言えば 強力な魔力の塊みたいなもんで 使えば それなりの能力者ならすぐに気付かれる」

サヤカ

「そっか…だから 私たちが執拗に追いかけられたんだね」

ユウキ

「契約書の使用って リスクが高いってことか…俺とサヤカって そこまでして連れて来る価値があったってこと?……アモン 1ついいか? 正直 俺にそこまでするほど 価値があると思えないんだが…」

サヤカ

「そうだよね…普通のごく一般人だし…」

アモン

「そうそう なんでなんだろうな…オレはある程度 そいつの魂の価値が分かる なのに お前らの能力はわからねぇ…そうそう サヤカのランクは初め Ⅾランクぐらいだったんだ なのに ユウキと干渉してランクが分からなくなっちまった…」

ユウキ

「……わからない者に…そこまでする価値があるのか?」

アモン

「ランクが 分からないことなんて 今まで一度もなかったんだぜ とんでもない能力を秘めているかもしれないしな まあ 逆にとんでもないクズすぎて わからなかっただけかもしれない まあ もう少ししたら分かるさ」

サヤカ

「……その…とんでもないクズだったら……私たちどうなるの?」

アモン

「……ん?お!見えてきたぞ ほら あれだ」

サヤカ

「ね…ねぇ…」

アモンは 口を開きそうになったが 躊躇し 発言をやめた 2人が使い物にならなくても 保護する気でいたが 今回の大規模な作戦で 成果なし となれば この件で アモン側についた王は なんらかの責任をとらされるだろう アモン自身も発言力は失墜する 2人を保護しようにも 他の王が黙ってはいない 2人を助けれる保証はなかった


そして 歩いていると 急に 2本の柱が現れる

ユウキ

「ん?こ…これって…さっき…」

アモンは なんの躊躇なく 足を踏み入れる すると アモンはその場から あとかたもなく消えてしまった

サヤカ

「え!?ア…アモンさんが 消えた?」

ユウキ

「なるほど…あの柱がゲートの役割ってことか…サヤカは さっき気を失ってたから知らないだろうけど さっきも こんな感じの柱の間を通ったんだ そしたら いきなり 草原に変わったから そういうことなんだろう」

サヤカ

「そうなの?」

ユウキとサヤカは 一緒に柱と柱の間に 歩を進めた


ユウキ

「うお!す…すげぇ……ここが…アモンの城…」

ユウキの前に広がる巨大な城は まさに中世の城そのものだった…

サヤカ

「うわ…正直 半信半疑だったんだけど…ホントだったんだ…」

アモン

「ようこそ 我が城へ」

茶目っ気たっぷりに お辞儀をする


ユウキが城の階段を 登ろうとすると

アモン

「こっちこっち」

城から離れる小道へ 誘導する

ユウキ

「ええ……城に行かないのか?」

少し残念そうに アモンに尋ねる

アモン

「先に行くとこあるんだよ この地獄で暮らしていくのに 必要不可欠なもんだ」

アモンは どんどん歩いていき 立派な大きな家の前で止まる


アモン

「ここだ んじゃ行くぜ」

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