第7話 白い剣士と少女

ユウキ

「わわっ!ア…アモン は…速すぎる…もうちょっと…スピードを落とし…」

アモン

「これでも 全速力じゃないんだ!我慢しろ」

ユウキはサヤカに 大丈夫か と 声をかけようとしたが サヤカは 半分白目を剝いていた…

ユウキ

「ア…アモン!サ…サヤカが 意識が半分…いや 完全に意識飛んでるぞ!」

アモン

「意識なんて飛ばしてけ!……ん?こっちに向かって来てるヤツがいるな…シャースなら 足止めぐらい出来るはずなのに…ギリギリを楽しんでるな…ったく…」

そう言うと アモンは ユウキとサヤカを自分の進んでいる方向へ飛ばす

ユウキ

「お…おい…な…なにやって!!」

アモンは ユウキとサヤカを背に大声で叫ぶ

アモン

「めんどくせぇヤツが 追いかけてきている!もう少しいけば 前方に2本の柱が見えてくる!そこを超えれば ゴールだ!オレはここでヤツを止める!」


アモンは 大きく目を開き 追いかけてくる者の確認をする

アモン

「………!!ちっ!ガイアスか………」

ガイアスは 目の前にいるアモンを見向きもせず 一気にユウキの真後ろまで迫る

アモン

「な!?し…しまった!!!」

ガイアスは 顔色1つ変えず 大きな長剣を振りかざした

アモンは 一瞬のスキをとられ 猛スピードで追いかけるが 間に合いそうにない

ガイアスが長剣を振り下ろし ユウキに当たる直前 鈍い金属音が鳴り響き 辺り一面砂埃が舞う

ユウキ

「おおぉ!なんだなんだ?ああぁぁ………」

ユウキが 飛んで行きながら 砂埃の方を見たが 何が起きたか分からないまま ユウキとサヤカは 2つの柱のある方に 飛んで行った


アモンが追いつき ガイアスの長剣を受け止めたのは 真っ白なフルアーマーを身に纏った剣士と 人間の年齢で言うと12~3と思われる少女だった


剣士

「ハッハハハ!残念だったな!」

ガイアスは長剣を戻し 後ろに大きく後退する

アモン

「おお!助かった!じゃあ 後は頼んだ!やばかったら逃げろよ!じゃあな!」

アモンは そう言い残し ユウキとサヤカの後を追いかけて行った

剣士

「逃げろだと?ハッハハハ この俺に逃げろと言ったのか…!?この俺の辞書に 逃げるという言葉はない!安心しろ アモン!お前は先に行っていろ」

少女

「………何言ってんの?もうアモンちゃん行っちゃってるよ……」

少女は 呆れた顔で 剣士を見る

剣士

「え?……フフッ…いちいち言葉は交わさなくても 通じるか…良し さあ!そこの天使!そこになおれぃ!!」

ガイアス

「………なんだ…お前は…」

剣士

「フッ…ここで 消滅してしまうお前に 名を名乗っても仕方あるまい……」

剣士は そう言うと 真上に剣をかざし そのままゆっくりと下段の構えをとる

剣士

「…我が聖剣 エクスカリバー改 零式 の威力…しかと 受け止めて見よ!!」

少女

「………それ…ただの鉄の剣でしょ…そもそも私たち 地獄側なのよ…聖剣って…」

少女は また呆れた顔で 剣士を見る

剣士

「あ………フッ…い…行くぞ…えーっと…んー……お!聖剣エクスカリバーよ!お前の正体を 見せる時がきたようだ!!」

剣士が その後ブツブツ あーでもない こーでもないと 考えていると…

天使

「ガイアス様!」

この言葉を筆頭に 続々と天使が集まってくる

ガイアス

「仕留めそこねた…帰るぞ…」

ガイアスは くるりと体を反転させ 飛び立とうとするが

部下の1人

「ガイアス様 このまま帰るより あいつらぐらい消滅させましょう」

ガイアス

「よい 捨て置け 帰るぞ…」


しかし ガイアスの言葉を聞く前に 3人の天使が剣士に 1人の天使が少女に 向かって行った

3人の天使は 連携して3方向から槍を構え 突っ込んで行く

そんな状況の中にもかかわらず 剣士は上の空で 剣も構えず 腕を組みながら うーんと考えていた…かっこいい名前を…

3人の天使は 躊躇せずそのまま3方向から攻撃をするが 剣士に当たる瞬間 剣士は目の前から消えていた

3人の天使は 辺りを見渡したが どこにもいない ただ…自分たちの身体に異変に気付いた時には 3人の身体は真っ二つに切られていた…

少女に 襲いかかった1人の天使は 少女の身体には似合わない大きな槌で はるか上空に吹っ飛ばされ 白く輝き消滅した


天使

「こ…これは…」

ガイアス

「…ふざけた連中だが 相当な使い手だ…目標を失った今 ここで 無駄に時間を費やす意味などない…行くぞ」

天使

「くっ…はっ…」

ガイアスは そう言うと その場から立ち去っていった


剣士

「クッククク…ヒーローのセリフを遮る行為は 絶対にしてはならない事も知らぬとは…」

剣士は 顔をうつむいたまま 右手に持っていた剣を 左手に持ち替え そして 右手で自分の顔を覆い被せる そして人差し指と中指の間から目を光らせ ゆっくりとガイアスがいた方向に向く

剣士

「切り刻んでくれる……この…ダーククレイモア ザ ジャッジメント でな!!………あ…あれ?」

少女

「………何いってんの…? もう行っちゃったよ……」

少女は またまた呆れた顔で 剣士を見る

剣士

「………フッ…敵ながら 見事な引き際だ…」

少女

「私たちも 帰るよ…」

剣士

「あ…うん…帰ろっか…」

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