第6話 6人の王

獣覇王シャース

「フハハッ その程度か!天使どもよ!」

ガイアス

「………ここまで 防御を固められては…しかし…2台の馬車は破壊した…あと1台…あれが…本命か…なんとしても あの1台を破壊せよ」

シャース

「なんとしても死守せよ 全軍防御体制を維持を保て」

シャースの持ち場にある3台の馬車は 全て空馬車 

見事にガイアスは陽動に はまっていた

ガイアス

「……右に回り込んで 右側から潰し……な…なんだ…今の爆発的な力は…ま…まさか…」

ガイアスは クレイムを配属させた方向を睨む

シャース

「どこを見ている ガイアス お前の相手は このわしだ!」

ガイアス

「お…おのれ…シャース…お前は…本隊の足止…め? ま…まさか…陽動か!!」

シャース

「お!?さすがに気付いたか ハハハッ 見事に引っかかったなぁ 今更もう遅い」

ガイアス

「くそ!クレイムは何していた…くっ!」

ガイアスは 大慌てで 本隊に何も指示せず 爆発的なエネルギーがあった場所へ飛び立っていった


シャース参謀

「……シャース様 追いかけなくてよろしいのですか?」

シャース

「よい もはやアモンに追いついた所で どうにもならん 部隊も率いていかず たった1人で何が出来る サシでアモンに勝てるやつなどいない」

シャース参謀

「…シャース様 しかし一部の部隊はガイアスを追いかけております あと 敵方の部隊の波状攻撃は 現在止まり 後方から撤退を始めております」

シャース

「お?そうか まぁ アモンならもうなんとかするだろう ハハハッ 全部隊引き上げるぞ 殿は わしが務める」

シャースは全部隊に撤退の指示を出し 天上界側も全部隊引き上げ始めた

シャースは ただ1人 ガイアスが飛んで行った方向を見ていた

シャース

『……うむ 入口あたりで 追いつかれるかもしれんが…由縁のある者だ…どうにかなるだろう…もともと…大きな賭けなのだ…この程度 切り抜かねばな…』


約70年前……


ここ 地獄と呼ばれている大地は 獄帝を中心として 6つの王がそれぞれ治めている

そして アモンは獄帝の息子である

アモンは6人の王を呼び 緊急軍議を呼びかけた

甲這王

「おお これはこれは 獣覇王殿ではありませんか?あなたが1番乗りですかな?」

シャースは チラッと見た後 再び前を向き 何も話さなかった…

???

「ふぅ…僕の席はどこかな?えーっと…」

シャース

「遅いぞ!カイ!緊急会議は 早めに来い」

カイ

「そんなこと言わないでよ…一番遠いんだよ 僕は…」

シャース

「だったら 早めに出ればよい」

アモン

「まあまあ 急に呼び出してすまなかった 龍鬼王は 今こちらに向かえる状況ではないと 連絡があった 今いる5人で決議を取りたい」

カイ

「黒影王は まだ来てないみたいだけど?」

シャース

「……誰よりも 先に来ておる どこを見ておるのだ」

シャースは 顎で一番奥の方に向ける

よく見て見ると 奥の席には 異様な影がうっすらと存在した

カイ

「ん?ありゃ ホントだ これは失礼しました ってことは…もう一人も…」

???

「……シシシッ……」

カイ

「…はいはい すみませんね 僕が一番遅くて」

アモン

「では 決議案を伝える 今から約40年程後に 人間界から2人 その30年後2人連れてくる」

黒影王

「…人間界から?…そうですか…アモン様が そうなさりたいなら お好きにすればよいでしょう…」

アモン

「…ああ しかし 今度ばかりは必ずこちらへ連れてきたい 特に後半の2人は 絶対に失敗出来ない よって 各王には 5千程の戦力を出してもらいたい」

甲這王

「5千!?人間界からたった4人の為に出せる訳ないでしょう!第3の塔奪還の為に 私は動いているのです!そんな余力などない!」

カイ

「………塔をとられたのは あんたが 天上界の連中に出し抜かれただろうが……」

甲這王

「な…なんだと!新参者が誰に向かって言っている!」

シャース

「いい加減にしろ 軍議中だ して アモン それほどの規模を動かすということは 相当な能力者ということか?」

アモン

「………わからない…」

シャース

「わからないだと?」

アモン

「ああ…わからない とんでもない奴かもしれないし 凡愚かもしれない」

甲這王

「ハハハッ そんな曖昧な情報では 貴重な戦力を出せませんな 私は多忙ゆえ 帰らせていただく」

黒影王

「……人間界から 連れて来るとなれば 戦場は森を抜けた先の 夕刻の荒地…私の部隊では 戦力になりませんね… 私は 賛成も反対も致しませんが 此度の戦場では 私の部隊を出してもあまり意味がありませんね 申し訳ありませんが 軍勢は出せません…」

そう言うと 黒影王は 音もなく消えた

アモン

「…………」

シャース

「…奴の軍勢は闇の部隊 荒地では致し方あるまい で アモン どちらだと思うのか?」

アモン

「…………十中八九………凡愚だ………」

シャース

「……ククッ……ハハハッ!面白いな!この 獣覇王 シャース その負け馬に乗らせてもらおうか」

カイ

「!!ほ…本気かい!?旦那!それで 凡愚だったら 責任問題に発展し 下手すりゃ 旦那の力の献上しなきゃならないよ? アモン様は 獄帝の息子だから お咎めなんてないかもしれないけど 発言力は 全く無くなっちまうよ!?」

シャース

「ふん そんなこと どうでもよいわ しかし アモンよ 流石に5千もの軍勢は出せぬ 出せて精々4千が限界 して カイ お前はどうするのだ?ん?」

カイ

「ええぇ…はいはい わかりましたよ ただ アモン様 第4の塔の保守で かなりきつい状況です 出せて…そうだな 3千程度しか出せませんよ?」

アモン

「…すまない 助かる ただ オレの考えでは 第4の塔は 最悪 捨てても構わないと 思ってる」

カイ

「え!?本気かい!?第4の塔を囮にしてもかまわないってことかい?こりゃ…リスキーだねぇ…」

アモン

「第3の塔を 守れなかった時点で 第4の塔は時間の問題だろう なら 利用した方がいい」

カイ

「で アモン様 天上界からどれくらい出てくると 思ってるんだい?」

アモン

「……あくまで 予想だが5万以上かな?」

カイ

「ご…5万!?ま…まさか…もう契約者にしたのかい!?」

アモン

「ああ…全員契約者にもうしている…」

カイ

「……うわ…ねぇ…降りていいか…な…」

カイは そーっとシャースを見る シャースと目が合うと 鋭い眼光で睨まれる

カイ

「ハァ…わかってますよ!ただし!作戦は 僕が考えますよ!いいですね!」

アモン

「ああ もとよりそのつもりだ カイ 頼む」

シャース

「問題ない お前の陰気な作戦期待しているぞ ガハハハッ」

カイ

「ったく…とんでもないことになった…ハァ…」

トボトボ歩き出し 大きな窓を開け バルコニーから飛び出す準備をする

シャース

「ブツブツ言うな 事がうまくいったら 頭をなでてやるぞ?」

カイ

「ふ…ふざけるな!!シャースの旦那には きっついとこ回すから 覚悟しな!」

カイは 顔を真っ赤にして 光の如く瞬く間に空へきえていった

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