第5話 地獄の王子の実力

アモン

「……こいつは…従三位クレイムか…面倒くさい奴がきたな…仕方ないな…」

そういうと アモンは 外で並走している魔物に テレパシーを送る

アモン

『おい あいつの遠距離攻撃は厄介だ 上空にいるピクシー連中に 上手くこっちに誘導するように 決してヤツの攻撃は受けるな』


クレイム

「………ガイアスの命令で 来てみたが 大した奴はおらんな……ん?馬車か…ご丁寧にこちらにも馬車を走らせていたか…どうせまた…空馬車だろう…仕方ない 念の為つぶしておくか…」

クレイムは 周りの様子を見る 近くで飛んでいるピクシー連中を見て 面倒くさそうに呟く


クレイム

「ちっ!随分ばらけているな…こいつらは 本気で馬車を守る気があるのか?まあ いい…しかし これ程ばらけていては 一気に全滅させることは出来んか…仕方ない 直接潰してやる さっさと潰してガイアスの所に戻らなくては…」


クレイムは 完全に油断していた……

アモンは 今日この日が来る前に空馬車を走らせていた それも4度も同じ規模である

クレイムは またどうせ空馬車であると 思い込んでいた クレイムは ピクシーの間を難なく通り 馬車の近くに来る 前回も前々回も 全く同じシチュエーション…

クレイムは 面倒くさそうに右手を上げ 魔法を詠唱する

しかし 馬車に乗っているのは 地獄の王子アモンだ

アモンは 完全に気配を消し 息を潜め 射程圏内に入るのをじっと待ち クレイムの体力を一撃で仕留める為 右手に力を溜める

仕留めそこなう訳にはいかない もし逃げられるでもしたら 応援を呼ばれてしまうからだ

アモンは 射程圏内に無造作に入った瞬間を見逃さなかった アモンは右手を大きく前に突き出したと同時に クレイムを 禍々しい大きな手が覆いかぶさった

クレイム

「??え!?」


数刻前………


クレイム

「ガイアス様 此度もまた 出陣なさるおつもりですか!」

ガイアス

「ああ 人間界からまた 地獄の連中が連れてくると シリウス様より通達が来ている」

クレイム

「しかし 前回も前々回も 結局何もなかったではありませんか?」

ガイアス

「我々は 以前失敗しているのだ 次失敗すれば シリウス様に顔向けできん」

クレイム

「くっ…しかし ガイアス様…もう少し規模を小さくしても 良くないですか?…10万以上の軍勢を何度も出陣させ 成果なしでは…」

ガイアス

「ならん 人間界から走らせてくる馬車は ひとつ残らず全て壊滅せよ」

クレイム

「……はっ……」

クレイム参謀

「……クレイム様…正五位の3人が 此度の出陣を見合わせたいとの通達が…」

クレイム

「ちっ…なんの成果もなしの出陣など 誰も行きたくもあるまい …まぁ いい…数さえいれば文句なかろう…正規軍を出さなくてもよいが 数だけは出せと通達せよ」

クレイム参謀

「はっ…かしこまりました…」

クレイム

『…こんなことなら…北の軍勢に加わった方がマシだったな…オレとしたことが ガイアスについたのが そもそも間違いだったか…くそ…』


クレイム

「こ…これは…うぐっ…ま…まさか…」

クレイムは消滅する寸前に 目を見開き この技を出した者を探す…消えゆく意識の中で アモンの姿を確認する

クレイム

「ア…アモン!!ど…どうして…こんな…とこに…ま…まさか あ…ガイア…ガイアスさ…」

クレイムの声は誰にも届かず クレイムは完全に消滅した

ユウキ

「うお!す…すげぇ…アモンってこんなに強かったんだ…」

アモンはそんな言葉に全く反応せず

アモン

「行くぞ これで感づかれたはずだ 後は 全力で飛んでいく!」

そう言うとアモンは ユウキとサヤカに 魔法を唱え 2人を宙に浮かせる

サヤカ

「キャッ!」

ユウキ

「うお!わわ…」

アモンは そのままユウキとサヤカを連れて 馬車から飛び立つ

サヤカ

「ね…ねぇ…アモンさん?あの馬車は どうするの?」

アモン

「………捨てていく…標的はオレたちだ なんとか逃げ切れるだろ…とにかく 今は 前を見ていろ」

馬車よりも 凄まじい速度で 地獄の帝都に一直線に向かって行った

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