第4話 地獄の中心部 帝都へ

ユウキ

「お…おい…道外れているぞ!うわーっ木にぶつかる!」

身を屈め 衝撃に備えたが 木にぶつかった感じがしない…


サヤカ

「うわーっ…す…すごい!見て見て!ユウキ!…木を避けてるよ …??あ…あれ?違うわ…木が避けてるんだわ!!」

アモン

「驚いたか?こいつは 緑馬竜といって 森の中を走らせたら 随一だ」

スピードは どんどん加速していき 森の中を走り抜けて行く


アモン

「やっぱりここは 奴らも流石に配備してないようだな」

サヤカ

「ねぇ?アモンさん?今どこに向かってるの?」

アモン

「ん?もちろん地獄の中心部 オレの帝都だ」

サヤカ

「帝都!?じゃあ お城あるの!?」

サヤカは目を輝かせながら アモンに問いかけた

アモン

「ああ あるぜ 別に大したもんじゃないさ だだっ広いだけの退屈なところさ それはそうと そろそろ森を抜ける その後 荒地になるんだが そこを抜ければ もう安心だ」

ユウキ

「や…やめろよ…それ…完全にフラグじゃないか…」

アモン

「フラグ!?なんじゃそりゃ?」

ユウキ

「そういうこと言うと 荒地に敵がいるってこと」

アモン

「なるほど ハハハッ…面白い言い方だな 安心しろ まず間違いなく荒地に天上界の天使どもが 待ち構えているさ」

ユウキ

「!?いるのかよ!一瞬わかんなかったわ でも さっき陽動とか言ってたけど 陽動作戦は失敗なのか?」

アモン

「部隊の絶対数が違いすぎるからな…配置はされていると思うが 配置されている部隊の質だな 陽動に成功しているかしてないか わかるのは まあ 上位天使がいなけりゃなんとかなるさ」

森を抜ける直前 大きな爆発音が 所々で聞こえてきた

アモン

「お!やってるやってる さて 戦力はどれくらいかな」

森を抜けた荒地には 絵に描いたような悪魔っぽいのもいれば 見た目は人と変わらない者 獣のような姿をしているもの 多種多様にいた

ユウキ

「す…すごい数だ…もしかして 味方なのか?」

その情景に 圧倒されていた2人だったが ふと サヤカが上空を見た瞬間 両手で口を塞ぐ

サヤカ

「な…なに…あ…あれ」

サヤカが見つめる先を 遅れてユウキは見る

そこには 真っ白な羽をもつ天使が 空を埋め尽くしていた

ユウキ

「お…おい…これ…やばくね?」

地上にいるのは 味方なのだろうが 頑張れば数えられる程度だが 空を覆いつくす天使は もはや数は数えきれない…素人が見ても 戦力差は歴然 それほど圧倒している光景だった

アモン

「んーっ…どれどれ…あいつか…ここの指揮者は…ん?誰だ?…知らんな?って事は…喜べ ユウキ あんなやつオレしらね 大したこと事ないやつだ」

ユウキ

「そ…そうなのか アモンが知らないだけで とんでもない奴なんじ…う…うわーっ!」

この馬車に数人の天使が気付き 真っ白に輝く槍を投げてきた

しかし 馬車に当たる瞬間 熊のような大きな魔物が馬車の前に現れ 身を挺して 全ての槍を受け止めた

サヤカ

「!!!あ!ひ…ひどい…」

サヤカは目を瞑りそうになったが 必死に目を開く よく見ると 馬車の周りには 先ほど槍を受け止めた 熊のような魔物に似ている魔物が 数頭 並走して走っている

ユウキ

「お…おい…この周りにいるのって…ま…まさか」

アモン

「ああ…その通り…この馬車を敵の攻撃から 守るためだけについてきている」

よく見てみると 先程槍を受けた魔物もついてきている

サヤカ

「ねぇ…さっき 槍を受け止めた方も ついてきているよ…」

アモン

「…だな…まあ…もう体力限界だし もう一度受けたら 消滅だな…」

サヤカ

「そ…そんな…」

サヤカのそんな感情をよそに 天使たちは 無慈悲にスキあれば 上空から馬車にめがけて投げてきていた

その1本がまた 馬車に向かってきたが 先程 槍を数本受け止めた魔物が 躊躇なく 身を挺して槍を受け止めると その場で 真っ白に輝き消滅した

サヤカ

「な…なんで…」

アモン

「それが あいつらの任務だからな よし 半分超えた! シャースが上手く陽動してくれてる」

ユウキ

「こ…これは…俺たちを…送り届けるためだけに 犠牲になっているのか?」

アモン

「ああ そうだ オレが命令した」

サヤカ

「私達のために?」

アモン

「ああ…前にも言ったが それだけお前たちは 天上界にとって いや 天上界だけじゃない 地獄側にとっても 要注意人物だってこ……ん?」

話が終わる前に 馬車の中で急にアモンは立ち上がり 空を見上げた

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