第2話 パチンコ必勝法への一考察

 さて、その後、パチンコ必勝法が、一大ブームになる。




 特に、『俺は、パチンコでベンツを買った』と自称する、「ベンツ小林」が出現して来た事だ。写真週刊誌『フライデー』に、ベンツに乗っている写真が載っていたのを見た事があったと記憶している。




 しかし、最も、驚いたのは、パチプロ軍団の「梁山泊(りょうざんぱく)」が、全国のパチンコ店の制覇に動き出した事だ。これは、日本中で大問題になり、テレビや、新聞、週刊誌は勿論、Vシネマでの映画にまでなったのである。




 このパチプロ軍団の「梁山泊」が狙ったのは、「春一番」(西陣)と言う機種で、パチンコ台のランプ等が、独特なサインを出すため、それに合わせて、パチンコを打つと言うものであったが、「パチンコ攻略雑誌」にも、それらしき記事は載っていたものの、素人ではその攻略法は、非常に難解で簡単には使えなかった筈だ。




 さて、「春一番」とは、大当り確率1/235、大当り出玉約2300個の、液晶を搭載した現金機デジパチだった。




 4つのモードが存在していたと言う。大当り確率は、3つの通常モードでは1/235、1つの天国モードでは1/8となっていたと言う。




 ネット上でも、今では存在しない「春一番」の攻略法が、数多く載っている。ユーチューブの動画で見る事も可能だ。




 さて、この「春一番」は、パチンコをしている人間には、知らない者はいなかった筈だが、攻略法を使いこなすために、Vシネマ上では、「梁山泊」の仲間連中が、ホテルの一室を借り切って、猛練習をしていたのを見て、中々これは素人では不可能に近いものだなあ……と、思ったものだ。




 その他にも、攻略法があったのは、3回権利確定物の「キューティ・ハニー」、超爆裂機の「ソルジャー」等等があった。




 しかし、この両機とも、攻略法が知られるや、店側では、即、撤去。その攻略法の恩恵に預かれた人は、多分少ないであろう。




 で、ここで、次のような、疑問が生じるだろう?




 何故、かような攻略法が存在するパチンコ台が、市場に多く流通したかである。




 結論、大手のパチンコ台メーカーは、下請けや孫請けの、ソフト会社にパチンコ台のソフトを作ってもらうのだが、一番末端のプログラマーには、それほどの給与は貰えない。

 そこで、そのプログラマーが、ワザと攻略できる仕組みを、パチンコ台のロムに仕込んで置くのだと書いてあった。

 このように、バグ(虫食い)を仕込んで置き、「パチンコ攻略雑誌」「パチプロ軍団」に、高額で売りつけるのだと、その内情が書いてあったのだ。




 しかし、ハッキリ言わせてもらえば、雑誌や本になって、攻略法が一般人の耳に入る頃には、既に、店側で対策が取られてしまっていたのだ。つまり、一般人には、どうしようも出来なかったのだ。




 しかし、間違い無く、「パチプロ軍団」や「パチンコ攻略法」は存在するのは、この私が、実際に、体験しているのである。




 職場の近くに、極普通のパチンコ店があった。




 たまたま、その日は、残業が無く、家に帰るのも手持ち無沙汰なので、その店に立ち寄った時だ。




 当時、SANKYOの台には、保留玉連チャン(保留玉4個が消滅するまでに、次の大当たりが確定する台)で爆発的にヒットした、「フィーバー・パワフル・Ⅲ」と、ドラム回転式の「フィーバー・クイーンⅡ」が、その店に置いてあった。




 しかも私の部下に、最初は自動車のセールスマンをしていたが、車が売れないので、パチンコで飯を喰っていたと自称する者がおり、特に、フィーバー機は、いかに良く盤面のデジタルを回せるかが勝負であると言い、釘の開き具合を、手取り足取り教えてくれたものである。




 で、問題は、ある日、見た事も無い(常連では無いと言う事)3~4人の、いかにもプロらしき人物らが、その店に、夜の6時頃入ってきた。


 そして、絶対に攻略法が無いと言われていた、ドラム回転式の「フィーバー・クイーンⅡ」に座ると、いつもはドル箱2~3箱しか出ないのに、皆あっと言う間に、10箱以上、玉を叩き出した。




 腰を抜かしたのは、店長である。


「今日は、都合により、夜7時で閉店です!」と言って、急遽、店を閉めたのだ、




 その店は、常時、閉店は夜11時であったから、これは異常事態である。


 プロの凄さと、攻略法の実力を、まざまざと見せつけられたのだ。




 

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