第8話 4年ぶりだ
登場人物
性別:男
年齢:22
身長:176
髪型:黒のショート。
そう、このチケットは
そのチケットを見つめながら太希はふと思い出すとスマホを取り出してフォトファイルを開く。
その中の動画の1つを再生する。
《太希君なら、大丈夫。
だから頑張れ!!頑張れ!!》
動画の中の水樹は最後に優しく微笑む。
「・・・オレなら大丈夫…か。」
そう太希は小さく呟く。
🥁
次の日。太希は気持ちを整理するために
水樹のお墓へと向かった。
そこには先客が居た。
それは水樹の父親だった。
太希が水樹の父親と会うのはあの病院以来である。
父親の方も太希の存在に気がつく。
「…太希君。久しぶりだね。」
そう父親が優しい笑みを作って声をかける。
「…はい。…水樹の
そう太希はばつが悪そうに目線を
「いや。いいんだよ。
水樹の死で…君が苦しんでる事を。」
そう父親は答える。
「・・・今日…おばさんは?」
そう太希が尋ねると父親は苦笑いを作る。
「恥ずかしい話。まだ立ち直れてないんだ。4年も経つのにと君は思うかもしれないが、私達には4年は短いんだ。」
そう父親は遠くの空を見つめながら話す。
「・・・長くないですよ…。
オレにとっても…4年は。」
そう太希が声のトーンを落として言葉を返す。
そんな太希を見つめると父親は軽く微笑む。
「でも、前に進みたくてここに来たんだろ?」
「え?」
「大丈夫だよ。水樹は応援してくれる。
どこに居ても、誰よりも強く君を応援してくれる。君を応援してる時の水樹が1番輝いていたから。」
その父親の言葉を聞いて太希は目線を水樹の
そんな太希の眼に水樹の姿が映る。
「頑張れ。」
そう幻の水樹は優しく微笑みながら太希にエールを贈る。
太希の中で覚悟が決まる。
🥁
家に帰った太希は押し入れの中からバケツとドラムスティックを取り出す。
ドラムスティックには小さなハートが2つ書かれたままだ。
そのハートを合わせて太希は大きな
そしてバケツを叩き始める。
ドンドンバンバンドンドンバン。
「おっ。久しぶりに聞いたな。
頑張れ、太希。」
そうリビングのソファーに座りながら母親は微笑む。
太希のドラムは最高潮へと向かっている。
その太希の瞳にもうあの日の景色は映らない。
(いける。)
そう強く確信しながら太希は最高潮へと到達する。
(4年ぶりだ…4年ぶりだ…4年ぶりだ!!こんなに…気持ちよく…叩けたのは。)
そう太希は嬉しそうに微笑むと叩くのやめる。
「…待っててくれ。水樹。
届けに行くから。あの日…届けられなかった。音も…想いも全部。
だから、もう少しだけ。
オレを応援してくれ。
お前の応援があればオレは何でもできる気がするんだ。」
そう太希は息を切らせながら水樹に伝える。
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