第7話 印刷するわ!

「お、お嬢様。その材料をどうなさるのですか?」


「印刷機もないから手刷りになるけど、印刷をするわ。」


「(何のことだか一切分からん・・・)」


 さて、早速お金を作っていくわよ!


 ・・・単位はどうしましょう。


 キャンドル家のお金・・・

 キャンドル家のお金・・・


 ドルでいいか。(気にしない。気にしない。)


 まずは1ドル札からね!

 というわけで木を魔法で削っていく。やっぱり魔法って便利ね。


「あ、あわわ・・・」


「どうしたの、セバスチャン。そんなに慌てちゃって。」


「お嬢様が神の御技を使われた…」


「はぁ? なわけないでしょうが!」


「一体、何がどうなって…」


「いいから紙を持ってきなさい!」


 はあ。セバスチャンは大げさなのよ。


 ちなみに、ちょっと前に税収が減ったという話をしたと思う。

 あれは本当である。


 ただ、この世界では小麦がお金の代わりだ。重さによって価値を決めている。

 それはよくない。


 そして、私が紙幣を作る理由はもう一つある。

 お金を増やすためだ。


 この紙は、いわば私が小麦と交換することを約束した紙だ。

 つまり、市民に小麦とこの紙を交換してもらえるのだ。


 この紙を発行するのは、私。

 よって、私はただの紙切れと小麦を交換してもらえるのだ。


 ・・・まあ、紙代って結構馬鹿にできないんだけどね。


 市民にとってはいつもより計算がしやすい紙になってラッキー。

 私は、変わりに小麦の貯蔵が増えてラッキー。


 つまり、Win-Winである。

 このまま銀行を作って、商人になろうとする領民を手助けすればだんだん領地が発展していくはず。


 そして、紙代なんて気にならないほどの税金を払ってくれるはず!


 頼む。頼むわよ・・・。

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