システム

 うわーーーー!ひゃーーーー!ひえーーーー!と叫びまくり、30分。心臓がドキドキして、手のひらは汗でじっとりとしている。急に浮遊感が消え、虚無感が広がる。何が起こったのか、頭が追いつかない。だが、落ち着くことは重要だ。落ち着こう。落ち着け、俺。


 よく見ると、そこは真っ白な空間だった。周囲には何もなく、自分だけがぽつんと立っている。ここが、アニメでよく見る転生者用の空間なのか。いや待てよ?よく考えてみれば、まだ死んだわけではない。じゃあ何か別のものか。


 そんなことを思っていると、急に声が聞こえて来る。


 【初めまして。システムです。これよりチュートリアルを開始します。チュートリアル開始のため、説明をさせて頂きます。】


 その声は冷静で無機質だったが、俺は思わず怖くなる。何この感じ?現実のものではないような、そう、AIのような合成音声。存在が格上のような、抵抗すら出来ないような感じ。


 【このチュートリアルは、宇宙ヴァース167の統合の第一プロセスです。】


 【さて、私は知能を持っていますが、機能でもあります。『システム』と頭の中で唱えて見てください。】


 うーん?一瞬戸惑う。まあ良いか、どうせ相手は格上、そう、鳥肌が立つ様な、遥か格上なのだから、俺を殺そうとしているなら簡単なはずだ。一回唱えてみよう。


『システム』


【時雨 栗持

 種族 人間-Gランク レベル1

 クラス 空 レベル1

 プロフェッション 空 レベル1

 ヒットポイント 35/35

 マジックパワー 105/105

 スタミナ 45/45

 力 6

 生命力 7

 体力 9

 身の守り 7

 魔力 21

 賢さ 17

 神聖力 19

 素早さ 15

 器用さ 17

 魅力 7 

 フリー 0

 高速装備1 空

 高速装備2 空

 スキル  空

 クエスト 空

 称号   空】


 なにこれ、まるでゲームのキャラクターみたいだ。少し興奮を感じる。


 【これらについて、何か質問はありますか?】


 あります。大アリです。これは現実ですか?


 【この空間は私が作成したものであり、現実とも、仮想とも捉えることができます。私が現実のものであるか、という質問には、はい、という答えのみ出せます。】

 

 なるほど?じゃあもう一個。クエストとは、どう受注するものですか?


 【クエストは、私からシステムクエスト、私以外の知能を持った認定されている組織から組織クエスト、個人から個人クエストが受注できます。システムクエストは自動的に受注されることがありますが、組織及び個人クエストでは、本人の意思に反し、脅迫などの手段を以って受注させようとした場合、ペナルティがあります。】


 なるほど。じゃあ強制的に仕事を受けさせられる事は無いということか。安心。


 じゃあ最後に、ステータスを説明してください!


 【あなたが知る必要のある事はそちらに書いてあります。それ以上はご自分で、お探しください。】


 …はいはい。微妙に説明してくれない系の奴ね。おっけ。じゃあ、質問は以上です。


 【はい。では、チュートリアルの説明に移ります。チュートリアルにおいて最も重要なものは、SP、ショップポイントです。これを獲得するため、あなたは様々な手段を取ることができます。ですが、まず、チュートリアルと唱え、チュートリアル画面を確認してください。】


 うん。

 

 『チュートリアル』


【チュートリアル3752

 人数:32768/32768

 SP:0】


 【確認できましたか?では、SPを得る方法を説明します。SPは2つの方法により取得できます。一つ目は魔物の討伐、二つ目は知能生命体の殺害です。】


 …は?知能生命体の殺害?人間のことでしょ?ゲームじゃあるまいし、そんなこと普通はできないよ。


 【魔物の討伐の場合、魔物のランク、レベルによってSPが獲得できます。知能生命体の殺害の場合、その生命体が保有していたSPの半分を入手できます。】


 へ、へー。心には少し恐怖が渦巻いているが、そんなことも言っていられない。


 【これで説明は終了です。】


 短っ!思わず叫んでしまいたくなる。たくさんの疑問が心に浮かんでいるのに、すべてを無視されているかのような感覚だ。はぁ。システムさーん。もっと質問タイムをくださいよー。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る