第2話

後日、王女は父親である国王に呼ばれ便殿(ピョンジョン・王と臣下が政務を取り仕切る建物)を訪れた。


中には国王だけでなく、母親である王妃ユン氏も来ているではないか。


王女が両親とこうして顔を合わせるのも珍しいことだ。

王女は恭しく挨拶を済ませる。


「良く来ましたね、純輝(スンフィ)」


王妃が王女の顔を見て目を細めた。


「お変わりございませんか、母上」


「えぇ。安寧に過ごしていますよ」



ホホホと王妃が笑う。


「今日は、純輝に話があるのだ」


「はい。何でしょうか」


「うむ。お主の縁談についてだ」


国王の言葉に、王女は目を丸くする。

王女も十八になり、婚姻をしていてもおかしくない。


「え、縁談でございますか!?」


「私はまだ婚姻したくはありません」


王女がささやかな抗議をすると、国王は僅かに眉を顰めた。


「なぜだ?」


「そ、そういう気持ちにならないだけです」


「好いている者でもいるのか?」


そう聞かれて、王女は懸命に否定する。


「違います!そんなことはありません!」


「なら良いではないか」


「そうですよ、純輝。そろそろ婚姻を考えなさい」


両親に言われ、王女は困ってしまう。


自分は世子(セジャ)ではなく、ましてや王子でもない。


しかし、国王の娘というだけで婚姻を急かされなければいけないのかと。


「はい、分かりました」


その時はそう言ったが、内心では嫌だった。

もし嫁ぐとしても、本当に好いた相手の元に嫁ぎたいのだ。

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