第26話 勇者倒れる

 私ポミは叫んだ!!


「勇者様ーーーーッッッ!!!!」


 魔王キッシュは斬り込みダン様は受け流す。そしてダン様は魔王の下腹部に一撃を入れる。魔王は嗚咽して痛がるもそのスキに離れなかった勇者の腹に利き手じゃ無い方の腕に魔法剣を出現させて刺す。


 勇者様は腹を貫通する程に刺される。魔王の娘達はキャッキャと跳ねて喜び、私は目を見開き驚く。魔王は片手で顔を多い挑発してから。



「アーハッハッハッ!!!! やったぞ!! 勝ったぞ!! この弱虫勇者に!!」


 私は泣きながら叫ぶ!!


「ダン様ーーーーーーーーッッッッ!!!!」


 私は魔王の娘の視界から抜け出て勇者様のお側に向かう。勇者様は血反吐を吐いていた。しかし瞳は諦めていない強い意思だ。勇者様は優しい面持ちで魔法剣を離さない魔王を抱きしめる。


「な?! 何をするつもりだッッ!!??」


 魔王キッシュは女性である。ボーイッシュな出立ちをしているが女心はある。勇者ダン様は魔王を抱きしめながら魔王の耳元で小声で話す。


 それを聞いた魔王は、


「や、やめろッッ!! それだけはッッ!!」


 勇者ダン様はそのあと優しい面持ちでキッシュの頭をそっと触る。勇者様は瀕死の中魔王キッシュの解呪を行う。魔王キッシュの不滅の魔法は魔王自身にかけられた呪いだったようだ。


 解呪は成功。普通の魔王となったキッシュはそのままダン様のアイアンソードで胸を一突き二人は同時に致命傷を負い相打ちとなった。


 死に際、魔王キッシュは清々しい顔で悟った。


「そうか、そういう事か。だから、未来が見えなかったのか。」


 お互いに剣の刺さった勇者様と魔王キッシュ。魔王様が倒れ。次に勇者様が倒れる。私は二人の周りをサキュバスコウモリとして飛び回ってる事しか出来なかった。


 勇者様は倒れる時に全てをやり切った顔をしてました。そして何か私に言いた気でした。優しい面持ちで私に語りかけるような顔で倒れました。



「勇者様ーーーーーーッッッッ!!!!」


 私は泣いて叫ぶことしか出来ません。こんな悲しい結末を私は望んでません。どうかこれも夢であって欲しい。私は魔王城の玉座の間で絶叫しました。



                   続く

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