第17話 勇者ダンの過去。異世界転生四人組。
勇者様は異世界からの転生者。地球ってとこではどこにでもいる、中学生男子、15歳。家庭は両親の仲が悪く。友達は少ない。
唯一の友達が三人。中田数人(なかだ かずと)、小水美見(こみず よしみ)、本気笑可(ほんき えるか)。勇者ダン様は木田竜太(きだ りゅうた)と言う名前だった。
四人は仲良しだった。中田と小水は恋人同志のように仲が良かった。本気は運動も勉強も出来る才女でいつも涼やかに笑う。四人はいつも一緒に遊んでいた。
ある夏休み、四人は一緒に遊びに出かけたが都会でトラックに轢かれて四人とも死んだ。トラックの居眠り運転の交差点事故だった。
そして四人は異世界転生。一緒に転生して一緒にパーティを組み、魔王城に向かう。
魔王城に向かう道中の事である。夜に中田達は焚き火を囲い野営をしていた。木田は素振りをしに遠くでクエストをしていた。
中田と小水と本気。たわいない会話を楽しんでいた。中田は言った。
「木田のやつ、また素振りか。あいつ何もスキル無いからなあ。」
小水は恥ずかしげに言った。
「木田ちゃん辞めなよ! 木田君だって一生懸命してくれてるじゃん。」
中田は悪気もなく気だるそうに吠える。女の子が二人もいて昂ってるのだろう。若い。
「俺は世界を分かつ斬撃を習得し、小水は無限とも思える魔法を使える。本気さんは至って全ての行動を読める。俺達は勇者のチート能力を持っている。でも木田は普通だ。木田は普通の能力を普通にしか習得出来ない。これから魔王城だ。どうだろう。木田を置いていった方が奴の為では? 本気さんもそう思わないか?」
小水は辛い顔をした。本気笑可は平然とした態度で言った。
「あいつは必ず役に立つ。私達は皆で勝つんだ。」
中田は嫌な顔を一瞬したが、木田は大切な友達だ。誰かが欠けるのを嫌っている。木田が死ぬ位なら。置いて行った方があいつの為。
「笑可がそういうなら仕方がない。本当なら俺らもこんな冒険はしたく無い。一番苦労しているのは木田のやつだろうしなあ。」
小水は中田を怒った。
「中田ちゃん! 皆で地球に帰るんだって言ったじゃないッ!! 木田ちゃんを仲間ハズレにしないでッ!!」
そこに木田が帰ってくる。今日も凄い素振りとクエストをこなした。この世界は熟練度制なので凄い練習をしている。それでも中田達のチート能力には及ばない。
木田が来ると四人はまだたわいない話を始めた。地球での楽しかった事。夜はふけ、皆寝た。
木田は何のチートスキルも発現しなかった。このパーティではお荷物だ。それでも頑張った。自分にしか出来ない事があると信じて。
その夢を私ポミは追憶として見させられていた。これが勇者様。私の知らない勇者様。私は夢を見ながら泣いていた。
続く
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