第15話 勇者様の夢の中

 その夜私は勇者様の隣で寝ました。赤い瞳の魔王の娘ユナ。彼女は私達に何をもたらすのか。


 私は夢の中。勇者ダン様と精神が繋がった。ペルソナ仮面モードもそうだけど。一度精神が繋がるといつでも精神が繋がりやすくなる様です。


 夢の中、勇者様は何か揉め事に巻き込まれていた。黒い大きな何か二人がダン様を怒っていた。前世の記憶?? 勇者ダン様は頷くしか無かった。勇者ダン様は渋い顔をして泣いていた。この二人は大人の男女? もしかして勇者様の両親。私は勇者様の心労を察した。


 悪夢であったが私は目覚めが良かった。朝起きると勇者様のベッドの前にユナがいた。ゲストルームで寝てるはずなのに。ユナは片手にうさぎのぬいぐるみを持ちながら薄笑いしていた。私は驚きながらも勇者様のベッドから降りて挨拶した。


「おはようございます。ユナさん。」


 ユナはメンヘラみたいに怖い顔をして私に圧をかけた。


「下衆が、妾に近づくではない!!」


 …………。この子魔王の娘だから私のようなモンスターに冷たいのね。私は哀れに思った。私は聞きます。


「ユナ様。貴方は勇者様に助けを求めに来たのですか?」


 ユナはケタケタと不敵な笑みを浮かべる。勇者様はまだベッドで寝ている。熟睡だ。


 ユナは言う。


「機は熟した!! 勇者はこれより魔王キッシュ様の復活の儀により魔王になってもらうのじゃ!! キヒヒ!!」


「なんですってッ??!!」


「魔王キッシュ様は不滅の魔王である。しかし復活には生贄が必要。しかも魔王と同等の魔力の生贄の量が必要である。勇者はそれに選ばれた。」


 魔王の娘ユナは本気のようだ。


「そんなッ!!」


 私は寝ている勇者ダン様をコウモリの体に取り込んで外へ逃げようとした。しかしユナが片手に魔法陣を浮き出し魔法で阻止された。私ポミはベッドから弾き飛ばされる。


「サキュバスコウモリちゃん。もう遅いって、あんたはここに残ってなッ!!」


 私は負けない!!


「私は勇者様の一部ですッ!! どんな時だって着いていきますッ!!」


 ユナは高らかに笑う。


「キヒヒ!! じゃあ、着いてくれば良い!! 魔王三幹部と8人いる魔王の娘の一部が相手してやるのじゃ!!」


 魔王の娘ユナは壁に魔法陣を浮かべる。私と勇者様はその魔法陣の穴に吸い込まれて行った。勇者様はまだ寝ていた。スリープの魔法をかけられているかの様だった。


                   続く

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