第5話 サルッサ王国エメラルディア王女

 魔王を倒した直後のサルッサ王国。王国は歓喜に沸いていた。勇者ダンとポミがはじまりの町の外の森に住む数年前の話だ。


 私、エメラルディア・F・サルッサは憂鬱と少しの高揚感と戦っていた。


 うちの父サルッサ王は勇者を迎え入れどうしても私と結婚させたいらしい。王族とは血筋だ。強くてかっこいい子が欲しい。私はそれだけの為に今夜初夜を迎える。


 私としては相手がカッコよければ半分は良い。もう半分は彼が王族になっても一切私を束縛しない事を契約させたい。私は女であり王族でありたい。


 そうこうしている内に勇者ダンとそのペットの魔物が王国に入り宴を行った。そして私の大切な夜。


 

 勇者ダンは私の寝室に呼ばれて私はネグリジェ。殿方という者はどんな夜伽を聞かせてくれるのかしら?? と思ってたら。





 勇者ダンは私のベットの隅で枕を持って怯えて固まっていた。


 私だってこんな事は言いたく無い。


「勇者!! 私を抱きなさいッ!!」


 私はネグリジェ姿でダブルベッドに飛び込む。 首元が少しはだける。


 勇者は拒んでベッドの隅で震えている。私はバカらしくなって来た。


「何よッ!! キモいわねェッ!!!! 私に恥を搔かせる気ッ??!!」


 勇者ダンは枕に顔を埋めて震えている。噂と違うじゃ無いッ??!! なんなのよ!! これ!! 私は気を取り直して優しくアプローチしてみる。


「勇者…………。ダン? 私を抱いてッ!! これはこの国の為なの? 分かる? 私は貴方の子を産まないといけないの? ダン? 私は覚悟は出来てるわ!!」


 私の精一杯の一撃!! 王女の私にここまでさせるなんて!! 結婚した後見てなさいよ!!


 それでも勇者は震えて動かない。


 私はもう諦めた。


「あーあ。もう良いわ。勇者は逃げました。私は頑張った。勇者ダン。私はあなたを一生許さないから!!」


 私はそう言うとベッドの上のダンを蹴っ飛ばし。メイドを呼んで勇者を部屋から放り出した。


 ダブルベッドで一人で寝る私。私は初夜を失敗した。私は心の中で泣いた。布団にうずくまり頬を濡らした。


                   続く


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