第6話 攻守チェンジして男女の友情(キス未遂)を美少女幼馴染に浴びせてみる

「たまにはさ。洋ちゃんから攻めてきてよ」


「有紗ちゃんを好きに弄っていいから私をドキドキさせてみなされ」


「ん? 立つの? いいよ」


「おぉぅ。力強く押してきたね。な、なんか、これだけで結構……い、いや、なんでもないよ」


    ドンッ!


「ひゃぅ!?」


「あっ、壁ドンか。べ、ベタだなぁ。で、でも、そこそこドキドキする……かな?」


「(か、顔近い~!)」


「(ていうか、身体全体近寄りすぎじゃない? 色々触れ合っちゃっているんですけど!?)」

 

「(さ、策略なのかわからない。洋ちゃんって変な所で天然だからなぁ……って、脚絡めてきた!?)」


「(策略だ! こいつ絶対策略だ! 私が顔を赤らめているのを見て楽しんでいるんだ!)」


「(我慢しなくちゃ! ここは『ん~? 壁ドンの後はどうするのかなぁ?』とかいって余裕見せよう)」


「か、壁ドンの後は、ど、どうするつもりなのですか?」


「(なんで敬語になっちゃってるの私~!?)」


    クィッ


「(あ、アゴを持ち上げてきたー!? これが俗にいう顎クイ!? や、やば、これ……!)」


「(待って! ちょっと待って! 少女漫画とかだと顎クイの後に待ち受けているのは……キ、キスじゃないの!?)」


「(えっ!? ま、まさか、するの!? 洋ちゃん!? 私、こんな感じで初キッス奪われちゃうの!?)」


「……んぅ~」


「(受け入れる気満々じゃないか私!? 何を目を瞑って唇尖らせてるのー!?)」


「(……っ! ふ、触れた。今確かに唇に触れた。洋ちゃん、ついに私達——)」


「……ん?」


「洋ちゃん? その2本の指は何かな~?」


「正直に言ってごらん? 今私の唇に触れたのって、何なのかな~?」


 むんずっと俺の2本指が掴まれる。

 有紗はそのまま2本の指の間に唇を押し付けてきた。


「ほらっ! この感触だ! 間違いない!」


「洋ちゃん何か弁明はあるかな?」


「特にありません……と。そっかそっか。じゃあ遠慮なく……ていやっ!」


 2本の指をあらぬ方角に押し曲げられる。

 痛みで蹲り悶絶する俺。


「顎クイまでの流れは完璧だったのに、な~んで最後にヘタレちゃうかな! この幼馴染は!」


「……こっちは準備万端だったのに」


「なんでもないよ! 指の痛み治ったら今度は有紗ちゃんのターンだからね!」


「悪戯野郎には最大級の悪戯を返しちゃうんだから。覚悟してなさいよね洋ちゃん」

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