第4話 男女の友情(甘い言葉囁き)を確かめていたら弱点を見つけた件
「ただ触り合うだけじゃなくてさ。ドキドキするシチュエーションも慣れておくべきだと思うんだ」
「じゃん! 友達の美咲から借りた『ドキドキシチュエーション10選』」
「私もまだ読んでないんだけどね。ここにはね。女の子がドキドキする行為がたくさん載っているみたいなんだ」
「ここに書いてあることを実践して耐性を付けちゃおうよ!」
「一緒に読も?」
有紗は本を持ちながら俺の脚の間に腰を下ろしてくる。
そのまま俺の背中に体重を預けてきて上目遣いで視線だけ合わせてきた。
「じ、自分で近づいてアレだけど、すでにこの体勢でドキドキしますな」
「そ、そのうち慣れる……よね? じゃあ、この体勢で本を読ませて頂きます」
「えーっと……『甘い言葉を耳元で囁こう。正面から抱き着きながら囁けばドキドキポイントプラス100です』」
「……美咲さぁ」
「ま、まぁ、いいや。じゃあ洋ちゃん。これ、やってみよ?」
「えっ? 何を囁けばいいのかわからない?」
「んー。確かにいきなり言われても難しいよね」
「あっ、じゃあさ。告白シチュエーション試してみようよ。耳元でお互い気持ちを伝えあうの」
「ドキドキすると思わない?」
「も、もちろん偽りの告白ってことはちゃんと分かっているから」
「じゃ、じゃあ、私からいくね」
有紗の顔が耳元に近づいてくる。
吐息交じりのボイスが俺の鼓膜を刺激する。
「『いつも傍にいてくれてありがと。私を甘えさせてくれるキミが大好きだよ。ねっ……私達ってさ……付き合っているで……いいんだよね?』」
「なーんちゃんって、なーんちゃって!」
「こ、これ、言う方が照れるな。次は洋ちゃんが言う番——って、どうしたの!?
「えっ? 元々耳が弱かったの?」
「ほほほほぉ。良いこと聞いちゃったな」
「うりゃ!」
突然有紗に張り手をかまされ、仰向けに倒される。
そのまま手首を掴まれて拘束された。
「ぬっふっふ。抵抗できまい~。洋ちゃんはこれから有紗ちゃんに好き放題やられちゃうのです」
「いつもいつも私ばっかり辱めを受けているんだから。たまにはお前も恥ずかしい想いしてみろってんだ」
「さぁ~って、洋ちゃんの弱点をどう意地悪しちゃおっかな~」
「ま~ず~は~……こんなのはどうだ!」
耳元で息を吹きかけられる。
「あはは! 口が半開きになってるぞ?」
「次は~……そ~っと……」
//SE:耳の中を優しく触られる。
「洋ちゃん。息が荒くなってるぞ?」
「言っておくけど有紗ちゃんはこの攻勢のチャンスをこれだけで終わらせる気ないからな?」
「ぬふふ。今日こそは完全勝利で終わらせてやるぜぃ」
「覚悟してね? 洋ちゃん」
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