メンヘラたちの所見
てると
メンヘラたちの所見
僕の傍を通り過ぎて行ったメンヘラ女たちを思い返して、色々と思うことがある。それをエッセイ風に綴ってみるし、そこからなにか示唆を与えられたらいいと思う。
まず、なぜ彼女らが僕とお関わり合いになるのか。それは簡単だ。僕もそうだからとしか言いようがない。
あるときは、ただ僕が前に出て喋っただけで一発で、「この人は絶対にいい人だ」などと思い込まれたことがあった。僕をよく知っている友だちは真っ向から否定していた。まず一つ、メンヘラは他者の過剰な自信にあまりにも弱い。
僕もそういうところがあるから、わかる。絶対に謝罪も自己否定もしない教授にくっついて行ったのも、そういうことだ。一見すると、メンヘラはメンヘラ商売をしている教授に付きそうだが、本当に心の果てまで弱った人は、絶対的な自信が損なわれない天才性か、或いは神秘主義まがいの人物なんかに惹かれるものだ。僕と一緒に都内で何回か遊んだ量産型の女子も、神秘主義まがいの人物に引っかかって卒論を選定していた。まだ、メンヘラ商売に引っかかったり、そういうキャラクターを楽しんでいるうちは、重症化していない。とにかく、弱った人はたとえ間違っているとよく知っていても、もっと健全な解決策があると知っても知らずも、もうその即効性のある解決策に手を伸ばさないといけない、ギリギリのところで生きている。恥が邪魔している。精神分析的に言えば、父の視線が、他者のまなざしがそれ自体厄介なものとして機能してしまっている。過去は、忘れるべきだが、忘れるためには、書き換えないといけない。つまり、そのことは意識で自覚せずとも自ずと実行している。だから、すぐに人とくっつく。そして失敗を繰り返す。
現象はこうだ。本当は、一人の時間に解決していったほうがいいことはよくわかっていて、それを実行したいが、それだけではどうしようもなく苦しい。だから人と関わる。その体質で一度調子の合う人に関わると、一挙に距離を詰めて一人の時間など持てなくなる。なぜか。見捨てられるのが不安で、想像力も狭いから、どうしてもメランコリーな予期不安ばかりが先行して、ほどのよい想像力で落ち着くことができないからである。こうなるとまた悪循環が始まる。
そしてまた一つ、不安型の人ほど気丈に笑顔で振舞いたがる。単純な話で、それが一番相手を繋ぎとめておくという想像が勝手に構成されているからである。これはやめたほうがいい。母親もよく笑う人だったよ。感情の振れ幅が激しくてどこかに行ってしまったけどね。
但し、逆に感情表現が貧しいタイプのそれもいることは、経験則上よく知っている。このタイプは落差が激しいから、深入りでもすると途端にたいへんな過剰表現をしてくることが多い。そしてこっちは予後が悪い。知っている女性で言えば、今は同性と同棲していると聞く。
「誰かが1ミリオン行くように強いるなら、一緒に2ミリオン行きなさい。」イエスの言葉である。一人で歩けるようになるまでは、3ミリオンでも10ミリオンでも行かないと、本当じゃないだろう。1ミリオンで責任を果たしたと口で言うやつは、それだけでも、無責任だ。
メンヘラたちの所見 てると @aichi_the_east
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