第11話 鎧甲の覇者ドゥルガニス(後編)

「ほう……ようやくその気になったか」


ドゥルガニスの口元が微かに緩む。悠斗は武器を構える


「いくら貴様でも私に傷をつけることはできませんよ」


「それはどうかな?」


ドゥルガニスが再び突進し、手甲剣を振り上げる。しかし悠斗は素早く攻撃を避けた。そして矢を放ち反撃に出る


「ふんっ!」


ドゥルガニスは攻撃を受け止めようとしたが、次の瞬間には腹部に衝撃が走った。悠斗の素早い一撃が彼の装甲をわずかに斬り裂いたのだ


「ぬう……!」


その威力にドゥルガニスは思わず後退する


「貴様……!」


ドゥルガニスの目が鋭く光ると、手甲剣を振り回し、さらに攻撃を仕掛ける。しかし悠斗はその動きを冷静に見極め、攻撃を回避しながら反撃を続ける


「くっ……小賢しい!」


ドゥルガニスの攻撃が徐々に速度を増していく。だが、それでもなお、悠斗は冷静さを失わず、その攻撃を巧みにかわしていく


「(なぜだ……なぜ当たらない)」


「ふん!」


「ぐあっ……!」


ドゥルガニスの腹部に再び傷がつくと、彼は苦痛の声を上げた


「貴様……」


ドゥルガニスの眼光がさらに鋭さを増し、手甲剣を高く振り上げた


「もう許さんぞ……!」


ドゥルガニスの猛攻が始まる。悠斗はその攻撃を冷静に見極めながら回避し続ける


「まだだ……まだ私は本気を出していない」


ドゥルガニスは怒号を上げながら攻撃を仕掛けるが、それでもなお悠斗は冷静さを失わず、その攻撃を巧みにかわしていく


「(無駄だよ…ドゥルガニス)」


が、それでもなお悠斗は冷静さを失わず、その攻撃を巧みにかわしていく


「(お前の動きは散々ゲームの中で見てきたんだ。それに属性攻撃には脆弱な面がある)」


悠斗は敵の攻撃を冷静に見極め、そのパターンを把握していく


「(マスターである僕には勝てないよ…ドゥルガニス)」


ドゥルガニスが何度も攻撃を仕掛けるが、それでもなお悠斗は冷静さを失わず、その攻撃を巧みにかわしていく


「すごい」


「鈴音達が、あんなに苦戦していたのに」


「……」


悠斗の戦う姿に龍香と鈴音は驚いているが、愛奈は


「(確かにすごいが、なんだこの……相手の動きが初めからわかっているような躱し方は…)」


悠斗の動きに疑問を抱きながら見ている


「ふんっ!これで終わりにしてやる!!」


ドゥルガニスが大きく手甲剣を振り上げると、悠斗はその攻撃を素早く回避する


「(今だ!)」


そしてその瞬間を狙って矢を放った


「っ!?」


放たれた矢は真っ直ぐに飛び、その軌道が一直線になると、見事に命中した


「……ぐあぁぁぁぁ!!」


矢が腹部に直撃すると、ドゥルガニスは悲鳴を上げて膝をついた


「貴様……よくも……!」


ドゥルガニスの表情が怒りと屈辱で歪んでいく


「お前はもう終わりだ」


「この私が負けるだと……?そんなことがあってたまるか!」


ドゥルガニスは叫びながら立ち上がる


「こうなったら……私の最強の技を使うしかないようだな……ハァーッ!! 」


ドゥルガニスが手甲剣を握り締めると、周囲の地面が振動し、体から黒のオーラが立ち昇る


「な…何!!」


「何が始まるの?」


「あわわ……」


龍香達が驚愕する中、悠斗は状況を分析し…理解する


「(あれは……使うのか)」


背中からヘラクレスオオカブトの角のような巨大なエネルギーが出現し、それが輝きを増していき、体に重なるように纏われた状態なる


「これが私の最大の必殺技!」


狙いを定めるドゥルガニス


「この一撃に全てをかける!ギガント・ブレイク!!」


高速で突進しながら、悠斗に向かって一直線にその姿が見えなくなるほどの速さで突っ込む


「……」


「悠斗さん!!」


「危ない!」


「避けろ!」


龍香達が叫ぶ中、次の瞬間、ドゥルガニスの必殺技の一撃によって、角のエネルギーが爆発し、強烈な衝撃によって地面が大きく陥没し、大きなクレーターが出来た


「……」


衝撃的な破壊力に言葉を失う3人


「どうだ……私の最大の必殺技は……」


ドゥルガニスが勝利を確信していた………が、


「……なっ!!」


地面に悠斗の姿はなかった


「どこだ!!」


「ここだよ」


声がした方に視線を向けると、そこには無傷の状態で立っている彼の姿があり、彼は静かに弓を構えていた


「そんな…私の必殺技が……なぜ!?」


「避けたからに決まっているからだよ」


「ば、馬鹿な……」


「(ドゥルガニス……お前の必殺技は、破壊力は圧倒的だが、直線的なんだよ)」


ドゥルガニスの必殺技はすごかったが、敵が素早いと外れるリスクがあるのだ。さらに魔力の消費が大きいため、連続使用は不可能な上、少しの間は動けないリスクもある


「言っただろ?お前はもう終わりだと」


次の瞬間、悠斗は弦を力強く手前に引き絞る


疾風影裂弓しっぷうえいれつきゅう


放つ瞬間に強力な風が発生し、敵に向かって複数の影の矢が同時に放たれる


「ぐわぁぁぁぁ!!!」


矢は風によって予測不可能な動きをし、敵を次々と貫く。断末魔の叫びと共に矢が爆発し、ダメージを与える


「そんな……この私が……勇者様……オーマ様…お許し…を……」


そして、そのままドゥルガニスは光となり、消え去った


「(……ドゥルガニス)」


ドゥルガニスの最期を見届けた悠斗は、そしてそのまま倒れた


「悠斗!」


愛奈が叫ぶと同時に龍香達が彼の元へ駆け寄った


「悠斗さん!大丈夫ですか!?」


「……ああ」


「……勝ったんだ…私たち」


「うん……」


龍香の言葉に愛奈が頷く


「……三人とも」


悠斗が三人に声をかける。その声は穏やかだった


「……どうしたの?」


「帰ろう」


その言葉に三人は笑顔で頷くのだった

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