第9話 鎧甲の覇者ドゥルガニス(前編)
「はぁ~まさか、あんな事を言われるなんてな」
悠斗は用意された部屋で休んでいた
「(女子たちと交流して孕ませろ!ってこっちに来るまで絶対に言われないことを言われたぞ)」
そしてに鏡子が言った言葉について考えていた
「(女子と交流して孕ませろって……まあ、この世界の常識や状況を考えたら……あり得るのか)」
貞操観念が男女逆転世界、さらにインデックス達の襲撃により、男子が少なくなっている状況
「(引きこもりだった僕にそんなこと無理だよ……はぁ~)」
この世界に来るまで、引きこもり気味だった自分にそれはハードルが高いと思う悠斗であった
「(そういえば3人はパトロールに行ったらしいけど、大丈夫かな)」
悠斗はパトロールに行った龍香、愛奈、鈴音の3人を思い浮かべる
「(何もなければいいけど……)」
夕暮れが迫る中、龍香、愛奈、鈴音の三人は町のパトロールをしていた。時折スート兵が現れるため、警戒は欠かせない。普段から警備を強化することで、町の安全を守るのも彼女たちの役目だ
「ねぇ、二人とも、悠斗さんのことどう思う?」
歩きながら、龍香が軽く話題を振る
「姉上、どう思うってのは?」
愛奈が言う
「その、先生が悠斗さんに言っていたことを思い出してね」
「……あれですね」
二人は鏡子が悠斗に任命したことを思い出していた
「一緒に戦ってくれるのは、心強いけどですが……種馬まで任命されるとは」
「そうですね」
「別にいいんじゃない」
「鈴音ちゃん」
「鈴音は、お兄ちゃんことが好きだし、何人でも子供を産んでもいいのだ!二人は違うの?」
大胆な発言をする鈴音
「そういう訳じゃ…」
「……うん」
「なら!」
「けど、悠斗は記憶喪失のせいでまだわからない部分が多いから……そこを含めて私たちがサポートしましょう」
愛奈と鈴音は、その言葉に同意するように頷いた
「すみませんが…」
その時、ふいに背後から、男性の声が聞こえてきた
「ん?」
三人が振り返ると、そこには黒髪のショートヘアーで、どこか無骨な雰囲気が漂う男が立っていた。筋肉が際立っているが、体つきは引き締まっており、軽装のジャケットとズボンを着ていた
「君たちに少し聞きたいことがある。悠斗という男がいるだろう?」
男は控えめながらもどこか自己陶酔的な雰囲気を漂わせている
「悠斗さんがどうかしましたか?」
龍香が表情を変えずに答える
「彼に用があってね。少し話をしたいんだが、どこにいるか教えてくれないか?」
男の声には妙に柔らかい響きがあったが、愛奈はその口調の裏に何かが隠されているような違和感を感じ取った
「すいません。どこにいるかまでは……」
「(愛奈ちゃん?なぜ嘘を)」
「お兄ちゃんに、何の用事なの?」
鈴音が冷静に聞き返す
「彼とは…個人的な用があるだけさ」
男は微笑みながら答えたが、その視線には冷たい光が浮かんでいるように見える
「姉上、鈴音」
愛奈が小声で二人に耳打ちした
「この人、ちょっと怪しいです……尾行してみましょう」
龍香と鈴音は愛奈の言葉に頷き、三人で密かに男を尾行することに決めた
「……」
彼の足取りは優雅で、周囲の視線を集めていることに気づいているような様子で、時折、自分の顔を確認するように髪を整えたりする仕草もあった
「ナルシストね…」
愛奈はその様子を見て眉をひそめた
「でも、油断は禁物よ」
龍香と鈴音も、隠れるようにしながら慎重に男の後を追いかけた
「3人ともどこにいるんだろう」
部屋で休んでいた悠斗だが、心配になって龍香達を探していた
「君が悠斗だね」
視線を向けると、男が立っており、にやりと微笑んだ。その笑みにはどこか不気味なものがあった
「なっ!!」
悠斗はその姿に驚いていた
「お前は!!」
忘れるはずがない……
「ドゥルガニス!!」
自身が創造した召喚獣を
「おや……私の名前をご存じですか」
「なんでお前がここに!?」
「どうでもいいですよ……私はただ、君に興味がある」
男は悠斗の質問を無視するように言った
「君の…その魔力がね」
「俺の魔力?」
「そう。君の魔力をいただきたくてね」
男はまるで宝石を見つめるかのように、悠斗の体をじっと見つめた
「俺がわからないの!?ドゥルガニス!!」
「わかりません……よ」
その瞬間、ドゥルガニスの手から、白いトランプが数枚投げられた
「貴方の事なんて!!」
そこから、複数のスート兵が出現した
潜んでいた愛奈、龍香、鈴音も、男が悠斗に接触し、スート兵を召喚したのを見て、すぐさま行動を開始した
「やっぱり怪しい人だったね!」
鈴音が焦りながら言う
「急いで悠斗を助けないと!」
龍香が先陣を切り、悠斗の元に向かう3人
「「「魔人武装!!」」」
3人は魔人武装し、スート兵に立ち向かう
「はあぁぁぁ!!」
「うりやぁぁ!!」
愛奈は敵の隙を突くように素早く動き、軽やかな身のこなしで敵の攻撃をかわしながら攻撃を仕掛けた。鈴音も鋭い眼差しで相手の動きを見極め、一撃一撃を確実にスート兵に叩き込んでいく
「悠斗さん…大丈夫?」
龍香は悠斗を守るように、前に立つ
「……龍香」
そしてある程度スート兵を倒した愛奈と鈴音も来た
「これは予想外でしたね」
ドゥルガニスは戦況を見ながら薄笑いを浮かべ、自分の召喚したスート兵が次々と倒されるのを見てもなお、余裕の表情を崩さない
「あなた、一体何者なの?悠斗をどうするつもり?」
愛奈が男に向き直り、鋭い視線を向け、強い口調で問いただす
「ふふ、何者か?私を知らないとは、不運なものだ」
男は自信満々の笑みを浮かべ
「いいでしょう…教えてあげましょう」
右足を引き、右手を体に添え、左手を横方向へ水平に差し出すようにお辞儀する
「私は、ガルムクラブ団ランク2!
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