第2話 義理の姉妹との邂逅、記憶喪失の仮面を被って

「ん?」


目を覚ますと、廃墟の中にいた


「(……ここは)」


体を起こすが、痛みはなくなっていた


「(……夢だったのか?)」


だが服には血が付いていた。夢では無かったのだ


「……一体ここは…」


「(あなたが……ですね」


「!!」


声が聞こえ、悠斗はびっくりし、周りを見渡す


「(……約………了……)」


が誰もいない上に、声もよく聞こえない


「!!」


地面が光りだした


「……なんだ……っ!!」


と声を出そうとした瞬間、再びあの意識が遠のく感じがした……だがさっきとは違う感覚だった……これは……………………


「(……この光は、知っている?)」


そう思った瞬間、光に包まれていた


「うっ!……」


再び目を開ける。すると今度は白い天井が目に映った


「……っ!」


起き上がろうとすると、胸に痛みが走った


「……ここは?」


上半身を起こし、周りを見るとシンプルな部屋の病室にいた。そして服は白い病人服に変わっていた


「……」

状況が呑み込めず、考え込んでいるとドアが開き


「……あっ」


入ってきたのはネイビーブルーのブレザー制服を着た一人の少女が入ってきた


「目が覚めたんですね?」


少女が悠斗に近づく


「……ここは?」


「ここは病院です。あなたは廃墟で倒れていたんですよ」


「倒れて……っ!!」


少女の言葉に、あの時の出来事を思い出した


「そうだ!!僕は襲われて……けどなんで……」


自分が作った軍団の戦闘員に殺されかけるという現実を受け入れられずにいた


「無事で良かったです……」


少女は安心したように、笑顔を見せる。その笑顔に思わず見とれてしまった


「……君の名前は?」


「私は白崎龍香しらさき たつか!」


少女……いや、白崎の自己紹介を聞いて


「……失礼ですけど、何歳ですか?」


「……18歳です」


その容姿を見た。チェリーピンクのセミロングと薔薇色の瞳。そして大きな胸


「……そうか……僕は神楽木悠斗だ」


「よろしくお願いしますね!悠斗さん」


龍香は手を前に出してくる


「……よろしく……」


悠斗も手を出すが、思わず手を握ってしまった。龍香の柔らかい手につい握り返してしまう


「あの……手を離したほうが……」


龍香が顔を赤くしながら、言ってきた。悠斗も自分のやっていることに気が付き、慌てて手を離す


「ごっごめん!」


恥ずかしさのあまりに龍香の顔を見ることができなかった


「いや、大丈夫ですよ!……それよりなんで廃墟で倒れていたんですか?」


「……それは」


自分が置かれている状況を話そうとしたが


「(別の世界から来たなんて言っても信じてくれないだろうし、漫画で読んだ…記憶喪失のフリをしよう)」


記憶喪失を装って彼女の話をすることを決めた


「実は、よくわからないです」


「えっ?」


「というよりも、自分の名前以外何も覚えていないんです!」


「えっ……えぇぇぇぇっ!!」


龍香は悠斗の言葉に驚き、大声をあげてしまった。その声が病院中に響き渡った


「しっ!静かに」


悠斗は慌てて白崎の口を手で塞ぐ


「……すみません……」


「いや、僕の方こそ大声出してごめん」


「それで……本当に何も覚えていないんですか?」


「うん……気づいたら、廃墟の中だったからね」


「……そうなんですか。大変でしたね」


龍香は悠斗に同情するように言った


「ありがとう……」


そんな会話しているとドアが勢いよく開いた


「姉上!どうしました?」


「お姉ちゃん!どうしたの?」


二人の少女が入ってきた


「ああ、ごめんね……何でもないよ」


「この人たちは?」


「この二人が廃墟で倒れていた貴方を見つけて、病院に運んだですよ」


「そうなんだ……ありがとう…ええと」


「私は白羽愛奈しらは あいなです!」


と言う黒色のツーサイドアップとベーゼブラウンのツリ目の少女


「鈴音は飛鳥鈴音あすか すずねだよ」


という紅色と黒のインナーカラーのボブカットと蜜柑色の瞳の少女


「神楽木 悠斗です」


「それより姉上……さっき大声を出していましたが、一体何が?」


「うん、悠斗さんが記憶喪失みたいで……」


龍香が悠斗の経緯を話した


「記憶喪失ですか……それは大変ですね。しかし姉上」


「どうしたの?愛奈ちゃん」


「病院の中だということを忘れないでください」


「あはは……ごめん」


「あの~」


「どうしました?」


「さっき、姉上やお姉ちゃんって……貴方達って姉妹なんですか?」


「そうですよ」


「そういっても、姉妹の契りを交わした義理の姉妹ですけど」


「けど、本当姉妹に負けないぐらい特別な絆で結ばれているよ」


「そ…そうですか」


「それより愛奈……この人、やっぱりスート兵に襲われたことで記憶が…」


「そうかもしれないな…鈴音」


「っ!!スート兵!!」


という単語に思わず驚きの声を上げる


「あなたはスート兵の事を知っているですか?」


「知っているも何も……」


自分が作成した戦闘員だと言おうとしたが、ぐっと堪える


「そいつ襲われて……」


「記憶が戻ったんですか?」


「あっ…いや……襲われてことは思い出しただけです」


「……そうですか」


「(やっぱり夢じゃなかったんだ)」


「スート兵も許せないが、一番許せないのは妖魔軍団インデックスの……」


「ちょっと待て!!」


悠斗は龍香の言葉に驚き、大声をあげてしまった


「な、なんですか?」


「今、って…なんであなたがその名を」


「知っているも何も」


「私達の世界の敵です」


「敵……」


「その軍団のせいで鈴音達の住んでいた場所……」


悲しい表情する鈴音


「私達の両親をも殺した憎い敵です」


怒りの表情をする愛奈


「(……うそだろう)」


信じられない表情をする悠斗


「どうしたんですか?」


「……いえ……続けてください」


「はい……すべては6年前のあの日からです」


龍香が静かに語りだした


「妖魔軍団インデックスのボス……オーマと名乗る者が現れました。彼は宣戦布告し、私達の世界に侵略を始めました」


「スート兵の大軍、4つの軍団がそれぞれの国に襲い掛かりました」


「そしてそれに対抗する為、闘いました」


「しかし結果は残酷な惨敗なのです……」


「それでどうなったんですか?」


悠斗が聞くと


「4つの国がありましたが、5年で3つの国が滅亡、多くの人が殺され、住んでいた所も壊滅……私達のいる国も滅亡寸前でした」


「っ!!」


あまりの事に言葉が出ない悠斗


「しかし、スート兵だけを残して、4つの軍団が、突然撤退したんです」


「撤退?」


「なんで撤退したのかわかりません」


「けど、スート兵だけなったことで、滅亡を免れたんです」


「そうだったんですか……それで今はどうなっているんですか?」


悠斗は龍香に聞く


「それぞれの国で生き残った人たちと力を合わせて、国の再建をしています」


「そして妖魔軍団インデックスを倒す為に、星屑聖騎士スターダストパラディンを結成したんです」


「星屑聖騎士?」


「私たちはそれに所属しています」


「強くなって……」


「……仇を討つためなのです」


3人の眼に強い意志が宿っていた


「3人共強い意志を持ってるんですね」


悠斗の言葉に、微笑む3人


「はい……ですが……まだまだ私たちは弱いです」


「そうなんですか?」


「はい……死んだ両親や先輩達と比べたら……」


3人は顔を下にむける


「すいません……少し席を外してもらっても?」


「はい、大丈夫です」


悠斗は病室から3人を出し、一人になった


「……」


話を聞いて、悠斗は考える


「(……僕が作った軍団がなぜ、この世界に?…あれはゲームの中の存在はずなのに)」


そう…妖魔軍団インデックスがこの世界を襲っていることはわかったが、自分が作成した軍団がこの世界でなぜ実体化している上に、襲っているのかがわからなった


「(……それにってゲーム内での僕のプレイヤーネームじゃないか……いったいどうなっているんだ)」


疑問が尽きず、悠斗は頭を悩ますのであった


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