秋
六歳くらいだった私はその人と山で松ぼっくりを拾っていた。
「松ぼっくりなんて拾ってどうするの?」私は訊ねた。
「松ぼっくりは、火の燃料になるんだよ」その人が言った。
「何で?」
「知らない。でも、よく燃えるんだって」
「そうなんだ」
「だからいっぱい拾おうね」
「わかった」
私は屈んで足元に落ちていた松ぼっくりを拾った。風が吹いた。頭の上で木々が葉を揺らした。顔を上げると、その人が笑っていたが、逆光のためよく見えなかった。
夜になり、火をおこし、一緒にカレーを作った。夜空を眺めながら星を見て、星座もいくつか教えてもらった。
カレーはとても美味しかったのは覚えている。でも、教えてもらったはずの星座は一つも覚えていない。
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