二作品目・アルカナガールエスケーパーズ
【タイトル】アルカナガールエスケーパーズ
【キャッチコピー】第三章始動! アルカナVSアルカナ! 交錯する思惑とエントの深淵
【作者】プレーンシュガー
【URL】 https://kakuyomu.jp/works/16816927862103478177
【あらすじ】
人々が突如として光とともに消えてしまう現象『神隠し』
高校生活最初の夏休みが始まろうとしていた相沢憐人はその神隠しに巻き込まれてしまう。
神隠しにあった憐人は、空が青くない、周りに何もない、荒野が続くだけの空間で奇妙な霧とその中から現れた怪物に命を狙われる。
偶然居合わせた同級生の我妻愛美と逃げ惑う中、怪物と戦う少女と武装集団が現れる。同じ頃、憐人と愛美にも変化が現れ……
【拝読したところまでのストーリー展開】
高校の終業式の後、主人公の
そこでは白い霧が立ち込めるとともに『コブリン』、『マグニ』――共に主人公が転移させられた世界『ミストピア』に生息する怪物が跳梁跋扈しており、主人公と、主人公と同じ『神隠し』に居合わせたクラスメイト、
【世界観描写解説】
主人公が元いた世界は2024年の日本ということなので、ここではもう一つの世界『ミストピア』について解説します。
とにかく現代日本とは違う、異質な世界です。記述から、大気、空の色、風が特に変わっているとあるので、そこから。
・大気
地球の大気組成は78%が窒素、約21%が酸素、1%以下がアルゴン、約0.05%が二酸化炭素、ネオン、ヘリウムなどで構成されています。(Wikipedia参照)吸っている空気に異常がある(かつ、息苦しさはない)ということから、ミストピアは何かしら地球とは大気組成が異なる可能性があります。
・空の色
空の色が変化する理由は、太陽の角度によって、人間の目にとどく光の色が変わるため(参照:https://explore-curiosity.com/home/1144)です。
それを踏まえて、薄ピンクと濃いイエローのマーブル模様の空を考えると……近いのはオーロラでしょうか。(私は物理専攻じゃないので正しい回答は出来かねます。申し訳ございません。)
・風
ねっとりとした生暖かい風ということなので、湿度が高いのでしょうか。主人公の在住も考えると、日本ではあり得ない湿度である可能性があります。
ミストピアで霧が立ち込めると、『マグニ』『コブリン』といった怪物が現れます。生物らしい描写もないので、ゲームのようにスポーンしてくると考えてよいでしょう。
それらを撃退するため、『神隠し』に遭った人を保護するため、ミストピアでは『アルカナガールエスケーパーズ』通称『AGE』と、その支援部隊『AGE-ASSIST』が結成されています。
【キャラクター解説】
・相沢憐人
家庭環境的、性格的、学力的にも、至って普通の男子高生です。
序盤、名字に対し人並み外れた執着を見せています。そう考えるのも、彼の名前が『相沢憐人』であることが原因でしょう。まぁ、あってもおかしくはないという感じですかね。
肝っ玉が据わっています。『神隠し』に遭った状況下でも、動揺しているシーンは少なく感じました。
・吾妻愛美
容姿端麗、心に芯の詰まった凛とした雰囲気の女子高生です。
正義感が強いです。ミストピアの怪物に襲われかけていた少女を前にして、自身の犠牲を顧みず保護に向かいました。
奥手な雰囲気はなく、わりかし大胆な物言いをします。また、緊急時でも精神状態を狂わせることはありません。
『神隠し』に遭った状況下でも、憐人に軽い冗談交じりに話すシーンが見受けられました。
【タイトル・キャッチコピー・あらすじの批評】
タイトルはあまり興味を惹かれません。ミストピアにある平和維持部隊・AGEに、憐人と愛美が参入することからこのタイトルにしているのでしょうが、初見の方はそのシーンが来るまで訳の分からないまま読み進めるわけで。
私もレビュー企画を開催しなければ、この作品を読むことはなかったでしょうし。
初見の方に配慮がないという点で見れば、キャッチコピーはその最たるものです。世界観も知らず、ましてや一章の話なんて全く頭に入っていない中3章の話をするのは、新規を増やすということだけ見れば『論外』かなと。
あらすじは……まぁどういうことが起きているのか理解は出来るのでいいんじゃないですかね?
前述したタイトル、キャッチコピーと同様にヒキも弱いですが。
【世界観の批評】
世界観で特に違和感を感じることはなかったです。別世界転移ならばどれだけ現代と乖離した世界でもファンタジーとして解釈できるので、世界観を尖らせたのはいい判断かなと。
【キャラクターの批評】
キャラクター、人の語りにリアリティがないです。正直、このせいで読むのがしんどくなったと感じました。
一部、行間を読みやすくして抜粋します。
突然の光、その中で一瞬見えた虹色の光、停電。
「そんなまさか!?」
誰かがそう叫んだ。
何人かが店の外へと走り出す。僕も鞄と買い物かごを放って後に続く。
非常灯の薄暗い中なので見えにくいが、みんな険しい表情をしているのがわかった。
大丈夫! そんなわけない! と、自分自身に言い聞かせながら外へと出ると、僕はにわかには信じられない光景を目の当たりにした。それと同時に絶望も……
『そんなまさか?!』と叫んだ人は、一瞬の虹色の光だけで神隠しが起こったと判断しているわけです。それも、ショッピングモールという建物内、(時間の移動がなければですが)高校の終業式が終わり、買い物をしている日中にも関わらず、です。
いくら神隠しが身近に起きているからといって、察しがよすぎる気がしました。
その後、険しい表情をしていたという表現も違和感を覚えました。
『険しい』表情というのは、言い換えれば『不快感・不満が表れた』表情を指します。
おそらく周りの人が皆、恐怖や寂しさ、悲しさに支配されていることを表現したくてこの言葉を選んだのだと推測しますが、『険しい』ではあまりに広義的だと感じました。『険しい』には、面白くない、厳めしい、とげとげしいという意味もありますし。
あと、主人公とヒロインの肝が据わりすぎではないですか?
訳の分からない異世界に飛ばされてしまったのに、主人公はそういう性格だからといって『麻婆豆腐……食べたかったな』と呑気に考え、その後会ったヒロインを前にして、『女の子と二人でショッピングセンターを歩き回るって、なんだかデートしているみたいでちょっと照れる。こんな状況じゃなければ、そんな風に思えたかもしれないんだけどなぁ……』とモヤモヤさせている。
ヒロインも『こんな時なんだから節約しないと。ほら、早くエスコートして』と言う始末。
個人的には、うーん……といった感じですね。
それに、後に出てくるAGEの先輩の説明が長すぎます。説明するにしても、情報を絞って、小分けに説明してほしかったです。
【まとめ】
全体的に話に入りづらく感じました。リアリティが薄く、言わせたい台詞を言わせている感が否めません。ですが設定は面白いなと思います。構成とキャラクターの掘り下げを頑張っていただきたいです。
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