第14話 初めては突然にやってくる

 豚肉とかも買いに行かされ、その軟膏が出来上がったのは半年かかった。


 まあ、タツキが喜んでいるのでいいだろう。


 そして、俺の心と身体に異変が起こり始めた。

 風呂でタツキの身体を見ていると、頭がボウっとしてきて股間が熱くなり、チンコが大きくなるのだ。


”そろそろだな。”

”そうね。余談は許さない状況よ。”

”あちらも初めてよね。”

”当然だな。”

”よし、今夜だ。”

「何がだよ?」


 応えはなかった。


 その夜だった。

 俺は水環様に突然、身体の制御を奪われた。


「タツキ。水環です。」

「はい。」

「弥七の身体が、大人になろうとしています。」

「?」


 何の事だよ。

 タツキだってキョトンとしてるじゃねえか。


「男の子の身体というのは、成長に伴って精液を作るようになります。この意味が分かりますか?」

「……はい。ウズメ様から聞き及んでいます。」

「放っておけば、今夜にでも精液を放出してしまうでしょう。」

「……それを受けるのですね。」

「はい。お願いします。」

「わ、私も……その、心の準備が……。」

”大丈夫です。さあ、口づけから……。”


 いつの間にか、水環様は抜けていた。


 俺たちは口づけを交わす。

 ……ああ、股間が熱くなってきた。

 お互いに服を脱いで抱き合い、口づけを繰り返した。

 タツキの乳に触れ、口に含む。

 タツキの口から、アアッと喘ぎ声が漏れる。

 タツキの秘所も熱くなっていた。


 俺はタツキの足を広げて、両足の間に自分の身体をいれた。

 どうすればいいのか、なんとなく分かった。


 俺は、ゆっくりとタツキのナカへ入っていった。

 また、喘ぎ声が漏れ、今度は痛みを我慢するように顔を歪めた。


「大丈夫?」

「う……ん。」


 タツキを傷つけないように、ゆっくりと、ゆっくりと進めていく。

 そして、3度目に奥に入ったところで、ものすごい快感と共に、何かが放出された。


「あっ!」

「出たの?」

「う、うん。」

「気持ちよかった?」

「うん。」

「痛いけど、私はまだよ。」

「痛いの?」

「うん……。」


”タツキの中で、傷ができたのよ。”

「ちょ、ちょっと待って。」


 タツキの中に挿入したまま、俺は神力を巡らせた。


「これで体力が回復できるんなら、これでどうかな?」

「あっ、痛みが和らいでいく……。」

「それと、これでどうかな?」

「大丈夫……かな?ちょっと動かしてみて。」

「う、うん。こう……。」

「あっ、ああん……。気持ちいい。痛みは無くなったわ。」


 傷口の修復と痛みの緩和の術が見つかったようだ。


 それから、5回果てるまで、俺たちは愛し合った。


 翌朝、ハツラツとした俺たちとは対照的に、母ちゃんたちは寝不足のようだった。


「なあ、弥七。」

「なに?」

「音を遮る術とかないのか?」

「何で?」

「あっ……。」


 俺には分からなかったが、タツキは理解できたようだ。

 顔を真っ赤にしている。



「なあ、音って遮れるもんなのか?」

”理屈では可能ですね。”

”部屋の壁を厚くしてもできるのだが……。”

”水の中なら、多くの音は吸収できますね。”

”部屋を一つの空間として切り分けてしまえばできると思うわよ。”


 その日、狩りから帰ってタツキと試してみた。


「じゃあ、途中から空間を切ってみるからね。」

「分かった。」

「いくよ、今日はね……。」

「……。」


 術を解くと、これまで通り、声が聞こえた。


「やった、月音さんの術で成功だよ。」

「じゃあ、今日もできるわね。」

「ああ、いくら声を出しても大丈夫だ。」


 傷の修復と痛みの緩和という術を覚えたので、ひどい傷の人は口止めをして治療をしていた。

 しかし、情報は漏れてしまうもので、治療を求める人は増えていく一方だった。

 タツキも薬を充実させていき、薬を分けてほしいという者まで現れてきた。

 だが、量産というにはほど遠い状況であり、ついには泥棒に入られる事態になってしまった。

 畑の薬草が盗まれる事もある。


 なぜならば、薬は売れるからだ。

 この村にも、月に一度、越後の方からやってきた薬売りが巡回してくれる。

 金銭的に余裕のある家では常備薬を購入したりしているが、貧しい家では無理な話しなのだ。

 だから、怪しげなものであっても、格安の薬が出回っていたりする。


「せめて、傷薬と腹痛の薬と解熱剤くらいを安く販売できればいいんだけど……。」

「この季節だと何があるの?」

「傷薬だとオトギリソウとかなんだけど、作り置きできないのよね。」

「軟膏にできるような薬草は簡単に手に入らないって事だね。」

「あと、丸薬を恒常的に作りたいんだけど、ハチミツが高いのよね。」

”だったら、ミツバチを飼えばいいじゃない。”

”ああ、それ聞いたことあるな。”

”春から夏にかけてなんだけど、巣から別の群れが別れる時があるんだよ。”

”へえ、そんなの聞いた事がないぞ。”

”そんときには、ミツバチが黒い玉みたいになって集まってるんだけど、そこに巣箱を用意してやると入って巣を作ってくれるんだ。”

「それって、巣箱にも作り方がありそうだね。」

”多分、サクヤの記憶にあると思うから、春までに巣箱を準備してみよう。”

「あとは、ミツバチの巣だね。」

”それは簡単だよ。蜜を集めているミツバチの足に糸を絡ませて、巣に返る時に追いかければいいのさ。”

「空を飛ぶミツバチを追いかけるって、大変そうだよね。」

”そんなに速くないから、弥七なら大丈夫だよ。”


 翌日、狩りを早めに終わらせた俺は、境内の花を探して見つけたミツバチに糸を結びつけようとするのだが、なかなかうまくできない。

 10分ほどかけて足に糸を絡ませる事に成功し、あとを追いかけた。

 意外なことに、境内の木の枝に巣を発見したのだ。

 これは、タツキに報告して、神様に監視をお願いしておいた。


 そして村の外に出て、同じように糸を絡め、追跡をする。


 こうして、1週間かけて5個の巣を発見した。


 途中で、デカなんちゃらっていう悪魔と遭遇したが、取り込み中だったので、思わず切ってしまった。

 邪魔をしないでほしい。

 糸を絡めるために集中しているところを狙われたため、多少イラついてもいたのだ。

 その翌日も、同じ場所で悪魔と遭遇した。


「昨日は、同胞デカラビアが世話になったようだな。」

「頼むから邪魔しないでくれよ。」

「救世教の布教を邪魔する外道が何をぬかす。」

「いや、お前らの布教を邪魔するつもりはないんだけど。」

「ふざけるな。主の他に神が存在するなどという主張が邪魔以外の何だというのだ。」

「それは、主張ではなく事実だから仕方ないだろう。」

「ほら見ろ。お前たちの嘘は、世界にとって害悪なのだ。」

「ならば応えろ。お前たちの主やお前たちは何処にいるんだ。少なくとも天界では確認されていないらしいぞ。」

「主も我らも、この世界に存在するに決まっておるだろう。」

「では、自然神と同一レベルで存在しているんだな。」

「自然神など存在する訳がない!世界は我が主が造り動かしているのだ!」

「あはは、ここまでくると滑稽だな。」

「なに!」

「お前の主とやらが風を作り出しているのなら、なぜ俺が風の術を仕えるのだ。水系の術も、土系の術もそうだ。」

「そ、それは……。」

「いい加減に目の前の現実を受け入れろ。」


 何かがおかしい。

 こいつらは、明らかに矛盾した状況を疑問に思わないのだろうか。


”救世教の姿が見えてきたな。”

”ええ。かの経典を確認してみる必要がありそうですわ。”



【あとがき】

 思わぬ形で、傷を修復する術を会得できました……。

Youtube動画

https://www.youtube.com/watch?v=xtoZYlZEOHE

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