6.異世界エルフ温泉 〜辺境のユグドラシルの森で温泉旅館の聖水に浸かり、のんびりスローライフ生活〜 (2000文字)

●タイトル

世界せかいエルフ温泉おんせん ~辺境へんきょうのユグドラシルのもり温泉おんせん旅館りょかん聖水せいすいかり、のんびりスローライフ生活せいかつ


●あらすじ

女子じょし高生こうせいだった主人しゅじんこう転生てんせいしてハイエルフになっていた。ユグドラシルのもりのエルフ温泉おんせん旅館りょかん領主りょうしゅ一人ひとりむすめでメイドをしていた。ここの温泉おんせん聖水せいすいであり治療ちりょう効果こうかがある。そうしてぜん世界せかいから湯治とうじきゃくがくるはずなのだけど、ちよっと様子ようすへんだった。

そんな十さいのある重大じゅうだい発表はっぴょうがあった。なんと旅館りょかん赤字あかじなのだという。おうちがなくなっちゃったら大変たいへんだ。主人しゅじんこうピーニャは奮闘ふんとう開始かいしする。たして無事ぶじ赤字あかじ解消かいしょうできるのか。


●本文

 日本にほんだい都会とかい東京とうきょう

 毎日まいにちいそがしく電車でんしゃ高校こうこうかよ女子じょし高生こうせい、それがわたし

 はなじらう女子じょし高生こうせい。セーラーふくにスカートひらり。

 ところがえきからのかえみち、トラックにかれてんでしまったんだよ。これが。

 あぁ、わたしんでしまうとはなさけない。


  ◇


 ちいさいころはよくおぼえていない。

 物心ものごころついたいまは十さい少女しょうじょになっていた。

 わたしはどうやら転生てんせいしたらしい。

 前世ぜんせ記憶きおく一部いちぶ朧気おぼろげながらもおぼえている。


 ここはユグドラシルの大木たいぼくがある辺境へんきょうだというはなしだった。

 金髪きんぱつ碧眼へきがん綺麗きれいなロングのかみわたし自慢じまんだった。

 そしてとがったみみ


 ――ハイエルフ。


 わたし両親りょうしんもユルドラシルのした代々だいだい生活せいかつしているハイエルフだった。

 まちへとていった仲間なかまたちもいた。かれらはひとぞくともざりい、いまでいう普通ふつうのエルフになり、さらにうすまったものたちをハーフエルフなどという。


 さてそんな辺境へんきょうもりなにをしているかというと、実家じっか温泉おんせん旅館りょかんだ。

 ユグドラシルのあつまって地下ちかのマグマにあたためられたみず温泉おんせんとなる。

 そのお聖水せいすいであり、治療ちりょう効果こうかがあったのだ。

 ということで湯治とうじをしにぜん世界せかいからひとあつまってくる。


 怪我けがはポーションやヒールでなおりやすい。

 また手足てあしうしなってそのきずだけポーションでなおしてもあたらしくえてくるわけではなかった。

 一方いっぽう病気びょうきはというと流行はややまいはハイポーションなどでなおすことができるものの、慢性的まんせいてき病気びょうきなどは治療ちりょう効果こうかひくかった。


 そんなふう治療ちりょうしきれない症状しょうじょうひとたちがわらにもすがおもいであつまってくるのが、ここエルフ温泉おんせんなのだ。


「いらっしゃいませ~」


「あら、可愛かわいらしいメイドさん」

「えへへ、ようこそエルフ温泉おんせんへ」


 わたし挨拶あいさつをすると、おきゃくさんたちは大抵たいていニコニコとして、たまにあたまでてくれたりする。


 今日きょう一組ひとくみ冒険ぼうけんしゃパーティーのお客様きゃくさまがやってきた。

 筋肉きんにくしつのリーダーの男性だんせい。二十五くらいだろうか。

 それにおなじくらいの年齢ねんれいだとおもわれるが、それよりはわかえる美人びじん女性じょせい二人ふたり


 三にんともうでなどに古傷ふるきずすこのこっていた。

 やすいポーションで急激きゅうげき回復かいふくさせると完全かんぜんにはもどらず、あとのこってしまうことがよくあるのだ。


 複数ふくすう女性じょせいしたがえた男性だんせい冒険ぼうけんしゃというのはよくあるパターンだ。

 このくにでは重婚じゅうこんみとめられているし、貴族きぞくにだってだい夫人ふじんだい夫人ふじんというふうに複数ふくすう女性じょせい結婚けっこんすることもある。

 それだけの甲斐かいしょう経済けいざいりょくがあるということなのだろう。


 冒険ぼうけんしゃパーティーは館内かんないはいっていく。

 わたしはもうすこ玄関げんかん掃除そうじだ。


 このあたりはかぜくとユグドラシルのちてくるので、あつめててないといけないのだ。

 このてちゃうユグドラシルのにも聖水せいすいのように回復かいふく効果こうかがあり、よくせんじて風習ふうしゅうがあった。


 客室きゃくしつでおしするウェルカムティーがそうで、全室ぜんしつユグドラシルののおちゃとなっている。

 てるくらいいっぱいあつまるので、お土産みやげコーナーで販売はんばいもしている。


 翌々日よくよくじつあさ


「ありがとうございました~」

「あら、このあいだのメイドさん。とってもよかったわ。おはだもこのとおりつるっつる」

「ありがとうございました。またおしください」

「またつかれがまったらたいわね。一泊いっぱくかえ予定よていが二はくもしちゃったわ」

「ありがとうございます」

「ばいばい~」

「ばいばいです、おねえさん」


 冒険ぼうけんしゃパーティーは、素肌すはだのこっていた古傷ふるきずがすっかりえていた。

 そしておはだもこのとおり、つるつる、すべすべになっている。

 大満足だいまんぞくしてくれたようで、笑顔えがおかえっていった。


「あら、ピーニャちゃん、お見送みおくり?」

「はい、シルビアおばあさん」

「えらいわね」

「えへへ」

「さて、わたしあさからお風呂ふろはいってくるとしましょう」

「いってらっしゃいませ」

「うふふ。ってきます」


 シルビアおばあさんだ。

 腰痛ようつうひどいといって、馬車ばしゃでやってきたおきゃくさんだった。

 当初とうしょ、一週間しゅうかん予定よていだったのだけど、もう一かげつくらいいる。

 裕福ゆうふくなご家庭かていなのか、おかね問題もんだいがないみたいだった。

 ゴルイドおじいさんとご夫婦ふうふ一緒いっしょにきて、毎日まいにちなかがよさそうだった。


 そんなこんなで毎日まいにち温泉おんせん旅館りょかん手伝てつだっている。

 これがわたし、ピーニャ・ラビエリス・ブロッケンシュタイン男爵だんしゃく令嬢れいじょう

 あ、そうそうおとうさんは温泉おんせん旅館りょかんなんだけど、一応いちおう男爵だんしゃくでこのもり領主りょうしゅねている。


 そんなかんじで、色々いろいろひとがきてたのしいまいおくっている。

 つぎはどんなお客様きゃくさまがくるだろうか。

 たまに難題なんだいりかかることもある。


「ピーニャ、重大じゅうだい発表はっぴょうだ」

「なんですかおとうさん!」

じつはな、うちの旅館りょかん今月こんげつ赤字あかじでな、このままだとつぶれてしまうかもしれない」

「そんな!」

「まだ、貯金ちょきんがいくらかある。すぐにはだい丈夫じょうぶだが、改善かいぜんしていかなければさきはないだろう」

「わかりました、わたしなにかんがえます」

「よろしくたのんだぞ、ピーニャ」

「はっっいいいいい」


 温泉宿おんせんやどのメイドさんは今日きょう頑張がんばってはたらきます。

 赤字あかじ解消かいしょうする方法ほうほうかんがえないと。おうちがなくなっちゃったら大変たいへんだ。

 それではエルフ温泉おんせん、はじまりはじまり。

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