隣の生徒は戦闘員

【第7章：必要な休息-4】

材料がすべて処理された後、皆は円陣を組み、沸騰しつつある鍋の前に座った。ムクさんが運んできた鍋は腕ほどの直径があり、本当に驚くべきだった。

「悠月、本当に一緒に食べないの？」

「食べないよ！私は帰る。」

私の誘いに対して、怒りっぽい表情を浮かべながら悠月は立ち去った。

「明日の夜は必ず来てね、またメッセージで時間と場所を知らせるから、行ってしまった…」

おかしいな、彼女はなべ物が嫌いなのか？

愛紗は心配そうに扉を見つめ、その後私に尋ねた：

「あなたは彼女を怒らせましたか？」

「何もしてないよ、ただ明日の夜に手伝いに来てほしいって頼んだだけ。」

彼女の態度が180度変わった理由を全く理解していません。もしかして、また誤解を招くようなことを言いましたか？。

「そろそろイカ怪を呼んでみてもいいかな。あいつ、中でどれくらい閉じ込められてるんだ？」

コモドニは美味しそうななべ物を見て、涎を垂らす、手に持った箸が待ちきれずにぶつかり合う。

「呼んでくるよ。それと飲み物も持ってくるわ。」

影豪が部屋の前に歩いてきて、二度ノックして。次の瞬間、ドアが力強く開かれ、怒っているイカ怪が中から飛び出してきた。

私を見ると、彼は触手を伸ばして悪態をつきました。

「このくさい小僧！一体何をやらせたんだ！？」

「恋愛ゲーム。」

「それは普通の恋愛ゲームじゃない！」

イカ怪は荒い呼吸をし、色白の顔が一瞬で緑なり、また赤くになります。

「な、なぜキャラクターがみんな熟女ばかりなんだ！」

私は箸で皿の中のソースを混ぜながら冷静に分析しました。

「前に基地に戻る途中、おまえがずっと道で女子学生に注意を払っていて、相手の後ろに気づかれないように巧妙に回り込んでいたのを見て、もしもこの技術を敵に応用できれば、大いに活かせると思ったんだ。」

「それは若い女の子に限られて、30歳のおばさんにはまったく興味がない！」

「だから、試してみたかったんだよ。新しい方向を開発できるかどうか見てみたくて。」

しばらくして状況を理解した影豪は、私に異様な視線を向けました。

「山陸、お前がこんなゲームを持っているなんて…」

「そんなわけないさ。それは親父の戸棚から借りてきたものだ。」

すでにクリアしたイカ怪は座ると、ゲームプレイの感想を話し始めました。

「全体的に受け入れがたいけど、シングルマザー美恵のルートのストーリーはなかなかいい。特に夫と共有する思い出、そのエピソードや感情の描写。」

ゲームの感想はあまり聞きたくなかったので、トイレに行くことに決めました。しかし、戻ってきたら透明なスープが劇的に変わっているのに気づきました。

「なんでスープがこんなに赤いんだ！？この30秒ほどで何があったんだ！」

犯人らしき愛紗は、無害そうな笑顔で手に持っていた空き缶を掲げました。

「それはさっき加えたキムチだ。」

「一度に缶を全部入れた奴いるか！？君の家族の味覚をあまりにも軽く見すぎたかしら！」

「安心して、このブランドのキムチは全然辛くないよ！」

愛紗は私たちを安心させようとしながら、缶に残っていたスープも鍋に注ぎました。

「それから美恵の悪い息子、彼女の通帳を盗んで…」

まだ食事が始まっていないのに、鍋はまるで地獄のように鮮やかな赤に染まっていました。困惑した私は、この怒りをイカ怪にぶつけることにしました。

「だまれ、くさいイカ。もう少し騒ぐと触手を煮てやるからな！」

「くそっ！やってみろよ！」

甲爺はひしゃくを持ち上げ、スープの味を試してみると、懸念に満ちた表情で尋ねました。

「山陸くん、明日は決戦だ。ここでのんびりなべ物を食べていても大丈夫か？」

彼の心配によって空気は静まり返り、皆がそれぞれの不安を抱え、一致して視線を今のストレイズの最高指導者であり、悪の参謀である私に向けました。

私は余裕を持って箸を置き、微笑みかけながら全員を見回し、真剣な態度で答えました。

「はい、どんな挑戦や困難に直面しても、決意と努力に加えて、最も見落とされがちなのは、必要な休息です。。」

怒りっぽい悠月は夜の街を歩きながら、内心で憤慨していました。

「何か『あなたが必要なんだ』って言って、勘違いさせられて、結局は明日のイベントに参加するだけだなんて。」

こう思うと、彼女の眉間のしわがより深くなります。

「いやいや、違う。山陸の家に行かないと。」

帰宅の途につく彼女は、急いで前の交差点に引き返し、近くの山陸家に向かいました。

山陸家を出てからまもなく、悠月は晴羽から送られたメッセージを受け取りました。その内容は、山陸に黙って彼女に会いに戻るようにとのもので、悠月はメッセージを見たばかりなので、今急いで向かっています。

「誰かいる？白悠月です。」

ドアベルを鳴らすやいなや、大門は同時に開き、悠月は身を縮めて驚きました。

「来たね、ちょうど夕食を終えたところだよ。」

大石は笑顔を浮かべ、悠月に中に入るように手招きします。

「なぜ山陸に知らせないのでしょうか？」

「私はもう局外人だから、あの子は私の力を借りたくないでしょう。」

大石に代わって答えるのは、庭の影から出てきた晴羽でした。

「元々あの子にはこの世界に足を踏み入れさせたくなかったけど、さすが私の息子だ。」

晴羽は満足そうな表情を見せ、魅力的で同時に恐ろしい笑顔を浮かべました。

「この荊棘の道では、強さは必要だ。彼は私の意志を継いでいるけど、力と技術が足りないのが残念だ。」

庭に入った悠月は四方を見回します。午後に敷物を片付けた後、鉢植えを戻すことなく、なぜか空っぽの広場が維持されていました。

「白悠月、あなたは私の後継者として、あの愚かな息子を助けるために協力することになる。」

命令のような言葉は、悠月の魂を直撃しました。

悠月は緊張して唾を飲み込み、山陸が母親に対してどれほど尊敬の念を抱いているかをようやく理解できた瞬間でした。

断れない悠月は、頼みを受け入れることにしました。

「わかりました、具体的にどうすればいい？」

晴羽は右手を振りかざすと、悠月の白い顔に素早く影が掠め、浅い傷跡を残しました。

「まずは、この鞭を私から奪い取りなさい。」

決闘前夜のなべ物パーティーが終わった後、甲殼じじは消化を助ける名目で、一緒に散歩に行くように誘ってきました。

断る理由がなかったので、その招待を受け入れ、一緒に外出して散歩する。

散歩の用意をまだ理解していない間に、私は近くの公園で本物の約束者と出会いました。

「すみません、貴重な時間を割いていただきありがとうございます。」

影豪の叔父、覺欣さんは夜の公園のベンチで私の到着を待っていました。

「甲殼じじが言ってたんですが、あなたが私の代わりにストレイズ を率いているんですね。」

「すみません、戦闘員としてはおこがましいことです。」

「私は気にしない、むしろ頼りない私の代わりに、最後まで組織をリードしてくれることを望んでいるんだ。」

覺欣さんは軽く頷き、椅子から立ち上がりました。

「たとえ私が回復したとしても、組織には戻りません。」

「それはなぜですか？」

質問したのは甲殼じじで、彼の驚いた表情から察するに、初めて聞いたことのようです。

「私は優れたリーダーではありません。怪人を訓練するのは自信がありますが、組織を指導することは全くできません。」

「そんなことないよ、みんな覺欣が頑張っているのは知ってます。」

「頑張るだけじゃ足りないんです。私にはその才能がありません。」

彼は拳を握りしめ、長らく秘めていた心の声を語りました。

「バイオレットが引退した後、私の指導の下で組織は敗れ続け、病弱で戦闘に参加できず、優れた作戦計画を立てられませんでした。ただ傍観するだけで…」

街灯の弱い光が、彼の悔しそうな顔を照らしました。

「怪人たちは私の期待に応えて勇敢に戦ってくれているけど、無力な私は何もできなくて、ただ皆のプレッシャーを増やしているだけだ。」

臆病な言葉、深い絶望がにじんでいる。

「組織が本当に必要としているのは、一緒に戦えるリーダーです。お願いします、山陸、ストレイズを勝利に導いてください！」

これほど重大な依頼をされたら、後方に隠れているわけにはいかないようです。皆と一緒に戦わなければなりません。

「この仕事は自分の意志で引き受けたものだ。事がここまで進んでいる以上、手を引く理由はない。」

内心で既に答えを持っている私は、理解している笑顔を浮かべ、覺欣さんの依頼に応じました。

「それに、ヒーローというものは、本来なら怪人に踏みつけられる存在だ。この事実を世間に知らしめないといけないんだ。」

まるで暗闇の中で光明を見つけたように、覺欣さんは満足そうな笑顔で応じました。

「…やっぱり君はストレイズをリードするのに最適な人だ。」

「それにしても、覺欣さん、お願いがあるんです。」