隣の生徒は戦闘員

【第7章：必要な休息-1】

昨日は一体何があったのか、疲れすぎて見間違えたのかもしれませんか？

いいえ、昨日の午後は十分に休憩しましたし、私が見間違えることはありません。

冷徹な母がなんと笑った。しかも、その笑顔は優しく温かかった。

私は一生の中で、母があんなに笑うのを見たことがありません。結婚記念日に親父から贈られたダイヤモンドリングでも、彼女はあんなに喜ぶことはありませんでした。

「山陸、聞いてよ。昨日、試験の問題を書いている途中で、自分の祖先が周公瑾かもしれないって感じたの。」

「影豪、お前の脳みそによく分からない発言があったおかげで、夢を見ているわけではないって確信できたよ。」

座席に座り、紙パック入りの牛乳を握る影豪は不満そうに私に呟きました。

「どうしたの？お父さんが買った宝くじで一等賞が当たったの？」

「いいえ、母が優しい笑顔を見せたんだ。」

「…それは本当に珍しいことだね。最近、家ではどう？壁にかかっている絵や写真は落ちていない？」

「家とは関係ないよ、悠月が昨夜やってきたからだ。」

「どういうこと？彼女たちは知り合いなの？」

「知らないよ、それよりお前、元気すぎだろ。こっそり寝ていないだろうな？」

「お前の指示通りに朝まで勉強していた。元気というより、こういう話をしないでいるとすぐに寝てしまうんだ。」

「寝る前には必ず終わらせてから寝るようにして、答えを確認することを忘れずに。また、口の中の水で試験用紙を汚すなよ。」

「皆さん、席に戻って座ってください。」

試験を監督する徐琳先生は不機嫌そうな顔で前のドアを足で押し開け、厚い革の紙袋を抱えて入ってきて、机に置きました。

「最初はピンクリボン監考だね。」

「影豪、お前は後で寝ない方がいいと思うよ、彼女はこっちを凶悪な目で見ているよ。」

試験が始まると、影豪は本当に座って打瞌睡をしていました。幸いなことに最後になんとか目を覚まし、試験は危なげなく終わりました。

私たちは食堂でおにぎりを買い、騒がしい教室を出て、涼亭にやってきて食事をしました。

これだけの出来事があった後、最後にここで食事をしたのはかなり前のことのように感じます。

「林愛紗と白悠月は？今日も来るの？」

「愛紗は理科が心配だから、家で復習するつもりで、後で直接基地に行くって。」

視線を感じた私は、影豪が微妙な笑顔でじっと見つめているのに気づきました。

「え～『愛紗』って？」

「勘違いしないで！これは仲間同士の信頼の証明だ。」

昨夜の出来事以来、私たちはお互いの名前を呼ぶようになりましたが、それが何を意味するかはわかりません。

もちろん、私は胸の中に広がる優越感を否定するつもりはありません。可愛い女性の同級生と仲良くなることは、確かに嬉しいことです。

「見つけた、今日の試験の解答が配布されています、確認してみてくれ。」

解答本を持っていた悠月が突然飛び出してきて、影豪が横に置いた2つ目のおにぎりも手に取りました。

「食べたいなら自分で買いに行ってくれ。」

「何度も宿題を教えてあげたんだから、ちょっとごちそうしてもいいんじゃない？」

「あなたはすでに基地の餃子やお菓子をいくら食べたんだ！」

「最近、なんでそんなに時間があるの？前は彼氏とのメッセージのやりとりに忙しいって言ってたじゃない。」

「彼のことね─先日、別れたの。」

悠月は軽く話し、私はそれに驚きました。

「まじかよ！？彼を文武両道の優れた素晴らしい人だと褒めてたじゃないの？」

「そうなんだけど、その人はつまらなくて、長く一緒にいると飽きちゃうし、趣味も全然分からないの。初デートでなんと動物園に行こうって言ってきたんだもん。」

顔をしかめる悠月は両手を抱え、困ったような表情を浮かべました。

「パンダは明らかに可愛いんだから、パンダを見下すなよ。」

親父が持っている唯一の普通のTシャツは、記念品店で買ったのです。

「あの丸くてふわふわした毛玉は、一体どこがいいんだろう？とにかく、私たちは別れたんだから、笑うつもりなら、今のうちだよ。」

彼女もわかっているんだ、自分が恋愛に夢中になっている顔がどれだけ嫌われるか。

「私はそれほど退屈ではない、誰と付き合ったり別れたりするのはお前の自由だし、批判する資格は誰にもない。」

「…本当？」

「本当だよ。」

ぷっ！ 笑っちゃいけない笑っちゃいけない笑っちゃいけない！

「……それなら良かった。」

「山陸、山陸！ 英語は6問だけミスで、他の科目も前回より向上してるぞ。」

興奮気味な影豪が解答を高々と掲げ、私たちの会話に強引に割り込んできた。

「ははは、よくやったな影豪！さすがストレイズの戦士だ！」

私は影豪の背中をひたすら叩き、彼は受けるような驚きの表情で私を見つめていた。

「山陸、お前どこがおかしいんだ、こんなに喜ぶことか？」

一分一秒も無駄にしないために、昼食が終わると、私と悠月は直接トレーニングの集合場所に向かいました。途中で彼女が好奇心旺盛に尋ねました。

「周影豪は一緒に来ないの？」

「彼にはまだ2つの科目の準備が残っているし、明日の結果が出るまで、約束通り組織の活動には参加できないんだ。」

影豪に関するトレーニングは準備完了していますが、明日まで半日しか時間がないため、効果があるかどうかは大きな問題です。

「それじゃあ今からどこに行くの？」

「うちに帰るよ、お前何も知らないままついてきたの？。」

母に会いたいから、親父の前で女の子を家に連れてくるなんて全くしたくない。

「あなたのお母さんはとても美しいですね、30代後半には見えません。」

もし彼女が私に話してくれなかったら、私は母があと 2 年で 40 歳になることを忘れていた。

家の前に到着すると、見覚えのある黒人と、もう一人が坊主頭の男性が街灯の下で話しているのが見えました。

黒人はイカ怪の擬態で、もう一人はおそらくコモドニでしょう。

「ごめん、待たせちゃった。」

私たちが帰ってきたことに気付いて、怪人たちはそれぞれ手を挙げて挨拶しました。

「悠月ちゃんなら、いつまで待ってもいいよ～」

「この二人は誰？」

元気いっぱいな黒人が、明るい歯を見せて悠月に説明しました。

「私はイカ怪、彼はコモド。怪人が街中を歩くとき、不必要な事故を防ぐために、時々こうして人間の姿に擬態することがあるんだ。」

悠月は目を輝かせて興奮気味に尋ねました。

「かっこいい！ なんで黒人なの？ それになんで坊主頭？」

黒人のイカ怪は指を弄り、どもどもと答えました。

「…ちょっと色設定のミスがあった。」

要するに、頭がおかしいってことだろ。

コモドニは後頭部をかくしながら、恥ずかしそうに答えました。

「小さい頃から張泰山のバスケットボールを見て育ったから、アイドルのような設定になっちゃったんだ。」

張泰山の髪型は最初から坊主頭じゃなかったのに、模倣しなくてもいいんじゃないの、気に入ってるのか？

「時間がないんだ、イカ怪これを。」

イカ怪がは私が渡したUSBメモリを受け取り、困惑した表情でそれを見つめた。

「これが機密訓練なの？なんでこんなに神秘的にやるんだよ。」

「聞くな、早く基地に戻って中のプログラムを実行しろ。中身を一字一句見逃さず読み終えて、明日500字の感想レポートを提出しろ。」

「訓練の時間もないし、まったく心得報告なんて書く余裕はないよ。」

「8本の手があるんだから、時間をかけずに早く戻って実行しろ。」

イカ怪を促すと、コモドニと悠月を連れて庭に入りました。庭で鉢植えを動かしている親父が私たちを見て、喜んでアマリリスを置いて近づいてきました。

「おおお、やっと帰ってきたな。」

今日の親父のTシャツのデザインは、ハムがマグカップで入浴しているもので、これらの服は一体どこで買ったのですか？

「おじさん、久しぶりです。」

悠月は丁寧に頭を下げて挨拶し、親父は驚いた表情で言いました：

「これは悠月じゃないか！？何年かぶりだけど、こんなに大きくなったんだな。最近、お前のお父さんはどうしてる？」

「彼は元気です。最近囲碁にはまって、いつもオンラインで対局しています。」

簡単な挨拶が終わると、コモドニが前に進み出て、お辞儀をして自己紹介しました。

「こんにちは、コモドと言います。今日はお世話になります。」

「これがお前が摔角を学びたいと言っていた外国人か？良いね、体格はかなりいいじゃないか。前もって言っておくが、俺のトレーニングは腰痛だけじゃないぞ。」

久しぶりの摔角の話題になると、親父の目はキラキラと輝きました。

「はい、粉々に砕け散ったの覚悟であります。」

「よし、それではまず7キロ走ってウォーミングアップしよう！」

「2キロで十分だよ、親父、力を使い過ぎないでくれ。」

年を取った人は、元気すぎるのも心配だ。

「ははは、心配するな、俺はもちろん自転車に乗るんだ。コちゃん、出発だ！」

「了解です！」

2人がジョギングに出発すると、私は勇気を振り絞って家の扉を開け、深呼吸して叫びました：

「お母さま、悠月を連れて帰ってきました！」