隣の生徒は戦闘員

【第6章：嵐前の静けさ-3】

甲殼じじが作った野菜粥を食べ終わった後、私はしばらく寝ていました。目が覚めた時には、悠月と交代していた林愛紗はもう帰っていた。

影豪が特許を得て30分の小休憩をとっているので、静かにリビングを通り過ぎ、外で怪人たちのトレーニングの様子を見に行きました。

「コモド！休憩は十分だろうか、もう一度やってみろ！」

「今回は俺の投技を見せてやる、絶対に記録を更新するぞ！」

投擲のトレーニングを続けるイカ怪とコモドニはますます興奮し、お互いの連携もますます完璧になっていました。

特にコモドニは驚くべき進歩を遂げ、以前よりも優雅で柔らかい姿勢に変わり、筋肉の協調能力が大幅に向上しているのを見て、怪人の優れた身体機能に感心しました。

ビニール袋を持った悠月が外から中庭に入ってきたところ、私に向かって急いできて尋ねました：

「おい！調子はどう？」

「大丈夫だよ、ヒーローの激しい攻撃に耐えられるなら、怪人は人間よりも遙かに強いはずだから、訓練の負担は受け入れられる範囲内だと思う。」

「あなたのことを指していたのよ！」

私は悠月が自分のことを心配していることに気づかず、数秒後になって理解しました。

「あ、あああ！全然大丈夫、ただ寝不足だけだよ。」

「…それならいいけど、なんでそんなに必死なのか知らないけど。」

悠月は袋から缶コーヒーを取り出して私に手渡し、自分も缶を開けて飲み始めました。

私は缶コーヒーを受け取り、冷たくて気持ちのいい感触を手に感じました。この季節には熱いコーヒーが飲みたいけれども。

「もちろん必死になるさ、世界を征服する夢のためだもん。」

言葉が終わると、悠月の口から出たコーヒーが一気に吹き出し、私の脚をびしょ濡れにしました。

「うわわ汚い！」

「本気か！？仮に宇宙人が実在するとしても、この町を占領するのは難しいだろう。」

「そういう意味じゃないんだよ、宇宙人じゃなくて怪人って言ったでしょ。」

私はパンツの裾にこぼれたコーヒーを拭き取りましたが、時すでに遅しで、こぼれたコーヒーがシミにならないことを祈るばかりです。

「世界征服とか不可能すぎるよ、あなたにはもっと別の夢がないの？」

「ごめん、これだけだ。これは自分だけのためだけでなく、同じ目標を持つ仲間たちのためでもあって、彼らの努力や悔恨の涙を見て、久しぶりに失った情熱を取り戻したんだ。」

おそらく私の決意を揺るがせないと判断したのか、悠月は肩をすくめてうなずき、静かにため息をつきました。

「とにかく、倒れないように気をつけて、何か助けが必要なら遠慮なく頼んでね。」

私は悠月の手を握りしめ、興奮気味に言いました。

「これを待っていたんだ、じゃあ影豪の国語もお願いするよ！」

「だから、なぜ周影豪の宿題を教えることが世界征服と何か関係があるんだ！？」

夜の六時、私は高架橋の下の街灯の光を頼りに、久しぶりに復習していない英単語のカードを取り出しました。

あの決闘以来、私は自分の時間をあまり使わなくなっていました。

影豪が目標を達成したとしても、自分の成績が低迷すれば、叔父さんの不満を招くことになるでしょう。

犠牲を払って得た勝利は許されない。全面的な圧制が必要だ。

「ごめん、遅れてしまった！」

グリーン系ワンピースを着た林愛紗が、息切れしながらこちらに向かって走ってきた。

「すみません、初めてだから…服選びに時間がかかったわ…」

私は単語カードをポケットにしまい、首を傾げて尋ねました：

「初めて？前に大型スーパーに来たことがないの？」

「大型スーパー？」

林愛紗は私が指している方向を見て、ちょうど横にはスーパーがあります。

「今晩一緒に買い物に来てくれないかって聞いてたんだけど？」

「言ってない！あなたってば言ってない！」

怒りっぽい林愛紗は顔を赤らめて腕を伸ばし、私の頭をバシバシと叩き続けた。

驚きましたが、全く無傷でした。

私は後頸を軽く引っかいて、謝罪の意をこめて頭を下げました：

「ごめん、私のせいだ。」

さきほどの言葉を思い返すと、確かに誤解を招きやすい表現だったようです。

林愛紗は先に店に向かって歩き出しました。立ち尽くす私に向かって叫びました。

「もう、待ってあげないから。」

「はい、今行く！」

私は急いで林愛紗に追いつき、彼女と一緒に店に入り、自動ドアが開くと、明るい空間とともに迎えられ、気分が良くなりました。

軽快な音楽に導かれて、彼女の顔はすぐに晴れて、かごを取り上げて私の隣を歩いて、興味津々に尋ねました。

「今日は何を買うの？」

「なべ物の材料、明日買いに時間がない。」

「いいね、明日の夜、家で鍋を食べるの？

「私の家じゃなくて、ストレイズだ。」

「基地でなべ物を作るの？なんで急にそんなことするの？決闘が終わってからじゃだめか？模擬試験もまだ終わっていないよ。」

「2日後には決闘だ、でもストレイズのメンバーはまだお互いに慣れていない。だからみんなの知り合いを深めるためにやるつもりさ。」

私の視線は調味料の棚を探り、ついでに母のためにストックを買って帰るかどうかを考えていた。

「親父が言ってたんだ、誰かと仲良くなりたかったら、夜にその相手と賑やかななべ物を食べればいいって。」

林愛紗は左手をあごに軽く当て、この言葉を少し考え込む。

「なるほど、じゃあ最初は『愛紗』と呼ぶことから始めるのか？」

「何、何を言っているんだ！？」

慌てふためいた私は後ろに下がり、後ろの棚にぶつかりそうになった。

林愛紗はいたずらっぽい笑顔を見せ、さらに追撃を仕掛ける。

「ふふふ、照れているね、私は気にしませんよ、それとも悠々みたいに私を愛紗ちゃんって呼ぶの？」

「すみません、愛紗って呼んでいい…」

彼女を愛紗ちゃんと呼ぶなんて、心臓が耐えられないばかりか、クラスの男子たちに知られたら余計な危機を引き起こしかねません。

「うんうん、じゃあ私も『山陸』と呼ぶね～」

まあ、身の危険は避けられないようです。

どうやら危機は避けられないようですね

何かを思いついたような愛紗が急に足を止めて言った。

「でも基地にはそんなにたくさんの人が入りきれないでしょ？元々もうすごく混んでいるし、台所を見たことあるけど、適切な鍋がないみたい。」

「物を全部移動させれば空間ができるようになるし、ちょっと前にムクさんに電話したんだ。彼はちょうどいい鍋を持っていて、それを運んでくれるって。」

「なるほど、それなら何を買えばいいのかしら、山陸は怪人が何を食べるか知っているのかしら？」

私は少し前に影豪と涼亭での会話を思い出しました。

─なぜバッタを捕まえるのか？

─親戚が好んで食べるので。

ここでは虫は買えませんし、鍋に入れて煮ることもできませんね。

「餃子が食べられるなら、他の食べ物も問題ないはず。確実なのはイカ怪は海老が好きで、コモドニは肉食だ。甲殼じじは野菜が食べられるはず。」

「つまり何でも買えばいいってこと？」

「うん、私は肉を選んでるから、助かるなら野菜をいくつか取ってきてくれ。」

「了解、参謀！」

愛紗が手を挙げて敬礼し、野菜の方向に向かって進んでいった。

わたしは恥ずかしそうな笑顔を見せ、彼女が遠くに行った後に背を向け、冷蔵庫に陳列されている商品を見つめ、指で眼鏡を押し上げ、陰険な笑みを浮かべました。

「ふふふ、わずかな冷蔵庫の肉製品、これを見極めるのは私の数年の買い物のスキルを発揮するときだ、君たちの色と輝きを鑑定してやろう！」

「ママ、あのお兄さんが肉と話しているよ。」

「シー！彼に近づかないで。」