隣の生徒は戦闘員

【第4章：ヒーロー協会-5】

「私は小さい頃から孤児で、宜蘭の児童養護施設で育ちました。性格の悪い私はいたずらばかりして、誰からも好かれなく、友達もできませんでした。」

「年を重ねるにつれて、他の子供たちが次々と里親に引き取られていくのを見るうち、自分が嫌になりました。親に捨てられたのは自分のせいだと思い、人々に排除されたのも自分のせいだと考えました。」

「ある日、いたずらが原因で叱責された後、私は自宅を飛び出し、誰にも必要とされていない自分はいなくなったら誰もが幸せになれるだろうと考え、一人で海辺に行き、夕方まで海を眺めていました。」

「おそらく、私は以前、海辺で住むことを夢見たことから、児童養護施設の所長が私を見つけ、私と一緒に海を見ました。」

「私は自宅を飛び出した理由を伝え、自分は誰からも必要とされない、誰もが望む子供ではないと感じていると語りました。すると、隣に座っていた所長はこう言ったのです。

「便の価値を知っているか？汚物であっても農作物の肥料として使われたり、沼ガス発電に使われたり、私たちが想像もしない用途がある。」

「この世には必要のないものは存在しない。すべてにはその存在意義がある。便も光り輝くとき、金よりも輝くだろう。」

黃隊長は過去を回想し、林愛紗と私が涙を拭いているのに気付きました。

「うぅ…こんな悲惨な過去があったなんて思わなかったよ…」

「私、これからは便を軽んじません！」

「何で泣いているんですか？話はまだ終わっていません。」

「所長の言葉に感動し、児童養護施設に戻った私は、改心し、助け合いの良い子供になりました。周囲の人々も私を認めるようになり、里親に引き取られなくても、私は真剣に一日一日を生きていました。」

「中学卒業後のある夜、所長が私を事務室に呼び、彼の戦闘服とヒーローの称号を私に手渡しました。私は小さいころからヒーローに憧れており、より多くの人を助けるために宜蘭を去り、一人で台北にやって来てヒーロー活動を始めました。これが私の成長物語です。」

「うん、感動的で励まされるいい話だね…」

林愛紗はティッシュを一枚取り、溢れた涙を拭いました。

「黃隊長、時間も遅いし、私たちをここに呼んだ目的を明らかにするべきではないですか？」

特別に私たちを食事に招待するのはきっと問題がある、特に敵方の総大将だ。

私の言葉を聞いた黃隊長は笑って手を振り、率直に答えた。

「実は何でもないんだ、ただストレイズの状況を知りたかっただけだ。」

「私たちはもう解散する予定なので、敵の情報を探る必要はありません。」

「二十数年間の対立の末、敵の情報を直接聞くのは難しいと思います。」

「だから私たち新メンバーを通じて内部の状況を知りたかったんですね。」

語気を重くした黃隊長は、ティーカップの底を見つめながら、悲しみを含んだ言葉で言いました。

「怪人とヒーローは異なり、生まれつき戦いの運命を背負う怪人は、存在意義を失った場合、どれだけ沈んでしまうか、それは明らかだと思います…」

私は急に胸が痛むように感じ、再び甲殼じじたちの言葉を思い出しました：

─怪人は特殊な方法で育てられ、寿命は人間よりもはるかに短い…

無力感の理由。

─残念ながら、怪人生涯の最後まで戦うことはできないようです

失望の理由。

─最後の戦闘は勝ちたかったんだよ！

後悔の理由。

これらは私が一番理解できるものです。

社会に溶け込んで、退屈な日々を過ごし、夢とは逆行している。

胸の痛みを感じながら、私は小さな声で答えました

「問題ありません…」

「楊山陸？」

私のような一般の人々が失った情熱を取り戻すことができるなら、何よりも、何度も失敗し続けながら諦めない反逆者たちができるでしょう。

─何度倒れても、夢のために立ち上がる、そういうモンスターこそが私の目標だ。

「問題ありません。ストレイズが解散しても、彼らの信念を守り抜くことを約束します。」

私は箸を振りかざし、黃隊長の顔を指差し、興奮した口調で言いました。

「最後の最後まで、私たちは決して降参しません。脖をきれいに洗って待っていてくれ─五色戦隊！」

私の言葉に対して、黃隊長は最初は呆然とし、そして突然、大声で笑いました。

「ハハハ！ただの新入戦闘員はいい度胸だ。それなら安心しました、あなたたちと思い切り勝負できると思います。ちなみに、再戦の申し込みを聞いたぞ。」

協会の手続きは本当に早いですね。短信で一斉に通知しているのでしょうか？

「オーシャンブルーは問題ありませんが、サンレッドの場合、残業手当があると言えばうまくいくでしょう。もう2人については少し面倒です。」

両腕を組む黃隊長は、2人の仲間について言及し、深く眉をひそめました。

「おまかせください、彼らを説得します。再戦の申し込みは私たちからです。」

「わかりました、彼らの連絡先と住所をあなたに渡します。」

「お手数をおかけしますが、私はパンドラを訪れたことがありますし、もう一人は学校の先生です。」

30歳でなお魔法少女と名乗る大人と交渉することを考えると、私は突然早まって答えてしまったのは良くなかったと感じた。

「ムクさん、私たち帰るよ。」

黃隊長と台所のムクさんに別れを告げ、私たちは帰る準備をしました。

「もう行くんですか？もう少し待っていてください。」

店から追いかけてきたムクさんが、大きな袋に詰まった冷凍餃子を持ってきて、私に受け取ってほしいと言ってきました。

「お腹がすいては戦えません。これを持って行って、仲間と一緒に食べてください。」

人間形態を保つムクさんは、頭を垂れて申し訳なさそうに言いました：

「組織が没落して去った自分に対してずっと罪悪感を感じていました。過去を取り戻すことはできませんが、これは少なくとも俺がストレイズを支持する証拠として使えると思っています。」

私はムクさんが手渡す物理的、精神的に重い餃子を受け取りました。この量は3日間で食べきれないでしょう。

「また来てくださいね！」

ムクさんは笑顔で手を振りながら私たちを見送り、店の入り口の看板を「休憩中」から「営業中」に変更します。

「いいですね、晩ご飯も餃子にしましょう。」

幸せそうな林愛紗は、餃子を見つめながら満面の笑顔で言いました。

「基地で夕食をとる気ですか？」

「塗料の匂いがまだ消えていないから、母も夕食を食べてから帰るように言いました。」

「二人は何しているんですか？早く車に乗りましょう。」

帰りもトラックの後ろに座ることを忘れていたし、そんなに食べちゃいけなかったな…

私は無力感を感じながらため息をつき、車に登り、車体をしっかりと掴んでエンジンが始動する音の中で言葉を口にしました。

「職業ヒーローか？復活した後の相手として、これ以上に適しているとはない。」

─絶対にヒーローを倒して、みんなにモンスターのすごさを知らせるんだ。

その通りだ、怪人はヒーローに負けるはずがない。

私の中に燃える闘志が燃え上がり、ヒーロー協会の方向に進めました。

この時の私は、新たな障害が待っていることを予想できず、前方に立ちはだかっていた。