3. 村での生活

●3. むらでの生活せいかつ


 三日みっかあさはんべて、ピーテとおっちゃんのところけんならいにく。ちなみにあさはんはマコモの塩焼しおやきとサラダだった。


今日きょうたな。感心かんしん感心かんしん昨日きのうすぐへばってたからもうないのかとおもったぞ」


 おれ信用しんようないな。まあ、異世界いせかいじんですし、へんみみですもんね。

 木刀ぼくとうり、昨日きのうのように素振すぶりをする。まずはたてりの素振すぶりからだ。


いちさん……」


 あれ、なに昨日きのうかんじがちがう。昨日きのうけんなぎもヘロヘロでがっていたが、今日きょうっすぐ素直すなおれる。一回いっかい一回いっかいちからめられているがする。ピーテが横目よこめでこっちをてニヤニヤしている。


「なんか、今日きょうけんすじ昨日きのうよりいいかんじですね。才能さいのうあるかもしれません」


 そういってめてくれる。教官きょうかんのおっちゃんは、昨日きのうべつ子供こどもたちのけんて、あーだ、こーだっている。

 おれ調子ちょうしって回数かいすうかさねていく。今度こんどはおっちゃんもこっちをてくれるようだ。


「たかが素振すぶりとおもうなよ。これのかさねが重要じゅうようなんだ。どれどれ、さまになってきたではないか。すばらしい! グレイト!」


 おっちゃんもおだててくる。おれすこ気恥きはずかしくなってきた。


おれなんてまだまだですよ」

謙遜けんそんするな。おれめてばすタイプなんだ」

「てことは、やっぱりまだまだですね」

「うん、まあ、そうだな」


 おれ頑張がんばったので素振すぶひゃっかい楽々らくらくこなした。


今日きょう余裕よゆうがあるな。じゃあ、たて以外いがいよこななりなんかもぜてみよう」


 おっちゃんが見本みほんせておれとピーテがそれにつづく、それを何回なんかいかえした。

 回数かいすうかぞえていなかったので何回なんかいかはからないがかなりやったとおもう。おっちゃんは途中とちゅうから見本みほんをやめてまた子供こどもたちのほうへった。てみると、子供こどもたちが休憩きゅうけいはいっても、おっちゃんだけが一人ひとりたのしそうに素振すぶりをつづけている。


訓練くんれん訓練くんれん、また訓練くんれん


 おっちゃんはもうそれ以上いじょうつよくならなくてもいようにおもう。

 このはさらにすこけんっただけで、わりになった。


「このあとなにする予定よていなの?」

今日きょうりにこうとおもいます」


 ピーテのいえもどり、今日きょう弓矢ゆみやわりに竿ざおつ。えさはなくて、疑似餌ぎじえがくっついている。リールもなく、竿ざおさきからすうメートルのいとはりがあるだけのものだ。


昨日きのうとは反対はんたいがわかわがあって、そこでります」


 ピーテについてかわまでかう。かわ比較的ひかくてきはばせまゆるやかなながれだった。水深すいしんはそこそこあるようで、紺色こんいろをしている。

 二人ふたりっているおおきいいしうえち、そこから竿さおみずのほうへやる。ピーテがお手本てほんせてくれる。適当てきとう竿さおななめにしてピクン、ピクンと上下じょうげうごかす。しばらくすると、突然とつぜん竿さおがしなりっていかれそうになる。きがよわくなったタイミングで竿さおうえげると、先端せんたんはりさかないていた。

 おれさかなくわしくないのでよくからないが、イメージてきにはニジマスみたいなかんじの銀色ぎんいろ透明感とうめいかんのあるさかなだ。


「ね、簡単かんたんでしょ」

「はあ、とりま、やってみる」


 おれもピーテにつづいてりに挑戦ちょうせんする。おれ海沿うみぞいのまちんでいたが、りをしたことはなかった。おや友達ともだちれてってくれなかった。なぜだ。

 一生懸命いっしょうけんめい微妙びみょう上下じょうげうごかしながらやっているが、全然ぜんぜんヒットしない。

 あー、きてきたな。コンビニだけのようだったのでスマホもってきていなかった。

 布団ふとんはいってぬくぬくしてネットしたいなー。


 いきなりグッと竿さおおもみがかかった。おれ可愛かわいいおさかなちゃんキター。


ましたよ。慎重しんちょう竿さおげてください」


 ピーテも竿さおげるジェスチャーをしつつ、こっちをてくる。

 えいやーと、おれ竿さおげる。

 かっていたのは、さかなだった。三十さんじゅっセンチくらいある立派りっぱやつだ。ピチピチねて元気げんきがいい。


「やりましたね。しかし……」

「しかし?」

「このさかなべられるにはべられるんですが不味まずいんです」

「あ、そうなんだ。がす?」

普通ふつうそくリリースです」

「あ、はい」


 おれは、しょんぼりして赤魚あかうお放流ほうりゅうする。


元気げんききろよ。さらば」

つぎはきっと、美味おいしいのがれますよ」


 気持きもちをえて、おれ再度さいどりに挑戦ちょうせんする。

 すると今度こんどはほどなくしてつぎかる。今度こんどなにかな。


赤魚あかうおです」

「あ、はい」


 またつぎねらう。ランダムのアイテム取得しゅとく試行しこう回数かいすう勝負しょうぶなんてゲームの基本きほんだ。


「また赤魚あかうおです」

「あ、はい」


 けない。おれけない。絶対ぜったいにだ。最後さいごつのはおれだ。


 つぎかったのは、なにやらきがいままでよりよわい。さぐられているかんじだ。とくつよ抵抗ていこうもなしに、おれ竿さおげる。

 おれりあげたのは、最初さいしょたニジマスモドキであった。


「ちょっとちいさいですが、白魚しらうおです。ちょっとちいさいですが」

「これはリリース?」

「ぎりぎり、オーケーなサイズだとおもいます」

「よっしゃ」


 結局けっきょくおれはつ釣果ちょうかはこのちょっとちいさい白魚しらうおのみだった。

 一方いっぽうピーテは、白魚しらうおのちょうどごろのサイズが三匹さんびきだった。これで家族かぞくにんぶんべれるね。やったね。


 このばんはんは、もちろん白魚しらうおっぱづつみのきにサラダだった。もちろんおれさかなだけサイズがちいさかった。あとサラダきだなこのむら

 この竿ざお、ピーテちちははおもしなで、よく二人ふたりりデートをしたという。ちちかわちたり、まったくれなかったりと色々いろいろおもおしえてくれた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る