第49話 エルフちゃんとゴールデンウィーク

だい49 エルフちゃんとゴールデンウィーク


 ゴールデンウィーク休暇きゅうかになった。

 といっても映画えいがくくらいしかすることがない。


 人気にんき監督かんとくのアニメ映画えいがくことにする。

 となり埼台さいだいえきにある総合そうごう複合ふくごう施設しせつ映画館えいがかんはいっていた。


「えっとカップルなのかな」

ちがうとおもう」


 おれとララちゃんとハルカとエリカなのでカップルけん使つかえない。

 どこからかエリカがもらってきた割引わりびきチケットがあったのでそれを使つかう。


 だい災害さいがいから日本にほんまもるという男女だんじょ恋愛れんあいけいのようなアニメ映画えいがだ。

 主人公しゅじんこう高校生こうこうせい男子だんしはひょんなことから不可解ふかかい事件じけん遭遇そうぐうする。

 そのなぞいかけるうちに一人ひとり女子じょし高生こうせい出会であう。

 女子じょし高生こうせいのヒロインはずっとこのだい災害さいがい発生はっせいふせぐために長年ながねん苦労くろうをしてきたのだという。

 二人ふたり協力きょうりょくあいちからもあってそれでだい災害さいがいのろいを封印ふういんすることに成功せいこうする。

 という筋書すじがきみたいだ。


 映像えいぞうはとても綺麗きれいむかしとはだいぶアニメにかんじる雰囲気ふんいきちがった。

 道理どうりでカップルばっかりだとおもいましたよ。あはん。


 途中とちゅうみぎのララちゃんとポップコーンのたってしまってちょっとれたりした。

 なんだか薄暗うすぐら映画館えいがかんなかヒロインと主人公しゅじんこうがいいかんじになってキスをするシーンとかているとこちらまでおんなたちといいかんじになりそうになったけど、自制じせいした。

 ちょっとをつないだくらいまではゆるしてもらおう。

 怪物かいぶつてくるこわいシーンがあったのだ。

 ララちゃんも反対はんたいがわのエリカもふるえていたからアレで正解せいかいだとおもう。

 ただしそれ以上いじょうはしない。左右さゆうといちゃいちゃしてももう一人ひとりのハルカがだまっていないだろうし。


 アイスカフェラテをかえぎわにごくごくんで、それからハンバーガーをべることに。


 店員てんいんがにっこり笑顔えがおのスマイルでいてくる。


「ご注文ちゅうもんをおねがいします」

「あっえっと、あの、わたしハンバーガーはじめてで」

「あれそうだっけ、ララおねえちゃん大丈夫だいじょうぶ?」

頑張がんばりますぅ」


 がんるでどうにかなるならいいんだけど。

 とりあえずみんなトマトレタスバーガーにしたようなのでララちゃんも「おなじものを」と注文ちゅうもんしていた。かしこい。


 ポテトとハンバーガーともののセットだ。

 さっきもんだので今度こんどはソーダすいにしておく。

 ララちゃんもソーダがきなのでこういうときはソーダすいらしい。


 こうして手掴てづかみでハンバーガーとポテトをもぐもぐする。

 手掴てづかみでポテトをべるのに躊躇ためらっていたけど、みんながそうしてべているのをたら真似まねしていた。

 ごうればごうしたがえとはよくいったものだ。


「えへへ、ポテトはべるんですねぇ」

「そうだよ。エルフィール王国おうこくではべないの?」

「いえ、こちらにきてからフォークとナイフとおはしがあったので」

こうはどうだったの?」

「おにくとかも手掴てづかみでしたよ。豪快ごうかいにこうパクッと」


 そうってつかんでべる真似まねをしてくれる。


おんなでもそうなの?」

「はいっ」

「エルフってもっとおしとやかなのかとおもってた」

「それは偏見へんけんですよぅ」

「そっか、それはすまない」

「いえ、からないですよね。異世界いせかいなんて、あはは」


 こうして映画えいがてハンバーガーをべてそれっぽいことはした。


 よる


「おにいちゃん」

「ケートくんぅぅん」

「どうした二人ふたりして」


 ようとおもったら部屋へや二人ふたりしてやってきた。


「あのね、わらわないでね。あの映画えいがてきた怪物かいぶつこわいですぅ」

「そうなの。怪物かいぶつおもしてしまいました」


 二人ふたりしてふるえておれにくっついてくる。

 さすがにこんなになっているしたりできない。


今晩こんばん一緒いっしょてください」

「えっ、ああ……」


 一緒いっしょる。いままでじつかたくなにけてきたことのひとつだ。

 やまキャンプのときはならんでたけど別々べつべつ寝袋ねぶくろだった。

 それが怪物かいぶつこわくて一緒いっしょてほしいという。

 さすがにふるえているすほどおれ鬼畜きちくではない。


かった。いいよ、一緒いっしょよう」

「ありがとうですぅ」

「やったあ」


 二人ふたりおれのベッドにごそごそとはいってくる。

 なんだか左右さゆうからいいにおいがする。二人ふたりにおいはすこちがう。

 そうおもうと途端とたんずかしくなってくる。

 左右さゆうからやわらかいからだはさまれてぽよんぽよんしている。

 いもうとむねうすいがからだ全体的ぜんたいてきやわらかいのだ。

 人肌ひとはだうすいパジャマしにかんじて、ドキドキしてくる。


「おにいちゃん、おやすみなさい」

「ケートくん、おやすみなさい」


 左右さゆうからほっぺにちゅっとくちづけをされた。

 おれはドキドキのピークでもうそれどころではなかった。

 すぅすぅ。

 左右さゆうから規則きそくただしい寝息ねいきこえる。

 どちらのかお天使てんしのようにかわいい。

 無邪気むじゃきているけれどおれはこのたちに信頼しんらいされているから一緒いっしょているんだ。

 してはいけないとはわれていないしきっとしてもおこられないだろう。

 でも、とおれ最後さいごかべつくる。

 いもうと国際こくさい問題もんだいのエルフちゃんだ。どちらも倫理的りんりてきにはまずい。

 問題もんだいしかない。すのはダメだ。

 それにおれたちはまだ成人せいじんでもない。

 おれ自分じぶんりっして左右さゆうはさまれた天国てんごくねむりについたのだった。

 のだけど全然ぜんぜんねむれねぇ。どうすんのこれ。おれ途方とほうれた。


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