第23話 エルフちゃんと山キャンプ

だい23 エルフちゃんとやまキャンプ


 夏休なつやすみはまだまだつづく。

 今度こんどやまでキャンプをしようということになっている。

 今回こんかいとまりがけだがアキラはおやすみだ。おんなとまりがけなど絶対ぜったいゆるされないらしい。アキラはどちらかというとちゃらんぽらんな性格せいかくなのだがいえ厳格げんかくだったりする。


 参加者さんかしゃおれとハルカとララちゃん。それからハルカのおとうさん、源二げんじさん。

 夏休なつやすみをもらったそうなので、くるま運転うんてんっててくれた。

 正直しょうじきキャンプ道具どうぐって電車でんしゃとか無理むりっぽいので大変たいへんたすかる。

 くるまはゲンジさん所有しょゆうさんナンバーのワゴンしゃだ。


 かうさきまえ予定よていとおり、おれのおじいちゃんいえのすぐちかくとなっている。

 普通ふつうなら駐車場ちゅうしゃじょうがすぐ満車まんしゃになって無理むりなのだが、近所きんじょであるおじいちゃんいえくるまだけめて荷物にもつ河川敷かせんしきっていけば利用りようできるという特別とくべつ待遇たいぐうだった。


「おじいちゃん、おばあちゃん、きたよー」

「おおぉケートよくきたなぁ」

「ケート、はやくあがりなさい」

「「「おじゃまします」」」


 おばあちゃんとおじいちゃんがニコニコ笑顔えがおむかえてくれた。


「すみません、むすめともどもお世話せわになります」

「なぁに、ハルカちゃんのおとうさんならもう親戚しんせきみたいなものだよぉ」

「そうですね、よろしくおねがいします」

「ご丁寧ていねいにどうもぉ」

「ララちゃんだっけぇ、外国人がいこくじんさんは金髪きんぱつあお、すごい美人びじんだぁ。よくきたねぇ」

「あはは、お世話せわになりますぅ」


 ララちゃんがあたまげたあとも、ゲンジさんとおじいちゃんとおばあさんがぺこぺこしあっている。

 こういうところはどちらも大人おとなだ。

 そっか親戚しんせきか。もう結婚けっこんするつもりでいるんだ。はやいがおれかんがえたことがあるので、なんともいえない気分きぶんだ。

 というか、なんだかなまりのある祖父母そふぼとララちゃんが会話かいわしてるとみょう異世界いせかいかんがある。

 これはこれでながめているぶんには興味深きょうみぶかくて面白おもしろい。

 よくえた麦茶むぎちゃとトマトを御馳走ごちそうになり、一休ひとやすみしたところでかわかった。


 設置せっち仕方しかたとかはゲンジさんがくわしいのでたすかった。協力きょうりょくしてテントをる。

 二人ふたりひとつなのでゲンジさんとハルカ。おれとララちゃんになった。

 男女だんじょべつというもあったが、女子じょしだけよりはどちらのテントにも男子だんしがいたほうが安全あんぜんだろうという判断はんだんらしい。

 むすめはまだやらん、という意味いみかもしれないが。


 よるはん鉄板焼てっぱんやきで焼肉やきにく御馳走ごちそうになる。出資しゅっしはゲンジさん。たすかりますありがとうございます。

 かわはいるのは色々いろいろ面倒めんどうなので明日あしたということに。


「それじゃあ、ちょっとはやいけど、おやすみなさい」

「おやすみなさい、ケートくん

「あ、ああ」


 ドキドキする、としかいようがない。

 真横まよこにおっぱいがある。

 それから半分はんぶんひらいたつやつやのくちびるととのったかお綺麗きれいなまつ。エルフみみ

 エルフみみだけはほかひと体験たいけんしたことがないだろう。

 こうしてているとたまにみみがぴくぴくうごく。

 人間にんげんなかにもみみうごかせるひとはいるらしいが、エルフちゃんのははっきりうごく。

 それからなんだかおんなあまにおい。


「んんっ、んっ、どうしました? ねむれませんか?」

「あ、うん。ララちゃんは?」

わたし暑苦あつくるしくて。エルフのさとなつでもそれほどあつくなかったので」

「そっか、おもったよりあついよな」

「はい」


 なんだかララちゃんとこころつうじたみたいでうれしい。

 ララちゃんがまえにいる。すうじゅっセンチまえ一緒いっしょている。

 おれ緊張きんちょうしまくりんぐ。

 寝袋ねぶくろだから大丈夫だいじょうぶだけど、ララちゃんが寝返ねがえりなんてうってこっちにころがってきたら、おれはララちゃんのむねにぎゅっとしつぶされてしまう。


すこはなしましょうかぁ」

「うん」

「ふふふ、なんだかテントだと一緒いっしょ冒険者ぼうけんしゃをしているみたいですねぇ」

「そうだね」

わたし前衛ぜんえい攻撃こうげき、ケートくん後衛こうえい補助ほじょ支援しえんでしょうか」

ぎゃくじゃないの?」

「あ、そうなんですか。ケートくん戦闘せんとうスタイルをらないので」

おれ戦闘せんとうしたことないからからないけど」

「そうですよねぇ」

「まあ補助ほじょかもしれん、うん」


 うふふとララちゃんが微笑ほほえむ。

 携帯けいたいランプのかりにらされたかおはめっちゃかわいい。


「あのわたしとロイヤのペアは古代こだい遺跡いせき探検たんけんをしていたんです」

「あ、うん」


 突然とつぜん昔話むかしばなしになった。おれ緊張きんちょうしつつもはなし体勢たいせいになる。

 あせ首筋くびすじながれていく。


調査ちょうさみの部屋へやだったのですが、発見はっけんのギミックがあったのです。わたしたちはそれを偶然ぐうぜん発見はっけんし、そして起動きどうさせてしまいました」

「あ、それが」

「はい。転移てんいゲートでした。いたときにはすでに起動きどう術式じゅつしき完成かんせいしていて、なんとかギリギリ魔法陣まほうじん圏外けんがいだったロイヤをのこしてわたしはたった一人ひとり地球ちきゅうへ……こうしてばされてきたんです」

「そっか、そんなことが」

はるわりごろだったので季節きせつ連動れんどうしているようですね。カレンダーもそっくりそのままふたつの世界せかい表裏ひょうり一体いったいのようにているところがおおいです」

「なるほど」

「いまごろはこうでもロイヤが調査ちょうさをしてくれているとおもいます。もしかしたらふたたびゲートが起動きどうして、ロイヤもばされてきたりなんて」

「そうしたらうちの居候いそうろう二人ふたりになっちゃうね」

「うふふ、そうですね。両手りょうてはなでいいじゃないですか」

「ハルカもれるとはなかこまれちゃうよ」

「もう、何人なんにんかこうつもりなんですかぁ、わるですぅ」

「いやはや、面目めんぼくない」


 それからとりとめもないはなしをいくつかしているうちにララちゃんがこっくりこっくりするようになったので携帯けいたいランプのかりをす。


「おやすみ、ララちゃん……」

「ケートくん……きですぅ」

「うおぃ、って寝言ねごとか」

「みゃむにゃむ」


 翌日よくじつ、またメロンの水着みずぎたララちゃんたちと透明とうめいかわおよいであそんだ。

 かわおもった以上いじょう水質すいしつ綺麗きれい最高さいこうだった。

 さかなもたくさんおよいでいてララちゃんも大興奮だいこうふんでご満足まんぞくいただけたようだ。


 セミのこえ川辺かわべひびく。とても長閑のどか空気くうきもよくて、またみんなでたいとおもった。


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