前のエピソード――第21話　エルフちゃんと夏休み

■第（だい）２２話（わ）　エルフちゃんと海水（かいすい）浴場（よくじょう）

　夏休（なつやす）みに突入（とつにゅう）した。

　ということで俺（おれ）たち四人（よにん）は海水（かいすい）浴場（よくじょう）へ繰（く）り出（だ）すことにする。

「えへへ、七夕（たなばた）でも乗（の）りましたけど電車（でんしゃ）ですぅ」

「こっち来（き）たときもタクシーだったから乗（の）る機会（きかい）があまりなかったのか」

「そうですねぇ」

　空港（くうこう）で外務省（がいむしょう）の人（ひと）と落（お）ち合（あ）ってその人（ひと）の運転（うんてん）で先（さき）に外務省（がいむしょう）の施設（しせつ）へ寄（よ）ってそこからタクシーだったらしい。

　電車（でんしゃ）の電子（でんし）カードは前（まえ）にバスに乗（の）ったのと同（おな）じものなので問題（もんだい）ない。

　とくに今（いま）までいたどこそこの外国（がいこく）では通勤（つうきん）仕様（しよう）の電車（でんしゃ）に乗（の）る機会（きかい）は少（すく）ないかもしれない。

　椅子（いす）が壁際（かべぎわ）にのみ設置（せっち）されていてボックス席（せき）のないタイプだ。

　だからみんなで一列（いちれつ）に並（なら）んで座（すわ）っている。

　俺（おれ）を挟（はさ）んでララちゃんとハルカが左右（さゆう）から俺（おれ）を見（み）ている。

　今日（きょう）はアキラもいるけど右側（みぎがわ）のララちゃんの向（む）こうで一人（ひとり）スマホをいじっている。

　電車（でんしゃ）が揺（ゆ）れると二人（ふたり）のお胸（むね）も揺（ゆ）れるので、結構（けっこう）ばるんばるんする。

　まったく電車（でんしゃ）の揺（ゆ）れって何年（なんねん）経（た）っても改善（かいぜん）されないのかね。

　電車（でんしゃ）はそのまま東京都（とうきょうと）へとつながっていて地下鉄（ちかてつ）へ。

「地下鉄（ちかてつ）ですぅ」

「おお東京（とうきょう）の地下（ちか）は地下鉄（ちかてつ）の迷路（めいろ）だよな」

「私（わたし）でもよく分（わ）からないもの」

「ハルカもか」

「ええ、ララちゃんじゃ迷子（まいご）になってしまうから離（はな）れちゃダメよ」

「気（き）をつけますぅ」

　まあララちゃんの勘（かん）をもってすれば帰（かえ）ってこれるかもしれないけどね。

　スマホを頑張（がんば）って使（つか）うとか。

　ララちゃんも外務省（がいむしょう）が用意（ようい）したスマホを普通（ふつう）に使（つか）っている。

　日本語（にほんご）の読（よ）み書（か）きもできるので俺（おれ）たちと違（ちが）いはない。

「ここで乗（の）り換（か）えだから、降（お）りるぞ」

「はっ、はいっ」

　慌（あわ）ててみんなで東京（とうきょう）都内（とない）のターミナル駅（えき）で乗（の）り換（か）える。

　ここから先（さき）は神奈川（かながわ）方面（ほうめん）へ向（む）かう。

　人（ひと）がぞろぞろと並（なら）んでいるので、はぐれないようにするので精（せい）いっぱいだ。

　人（ひと）の列（れつ）に身（み）を任（まか）せつつ、迷子（まいご）にならないように祈（いの）りながら乗（の）り換（か）えた。

「ふぅ、セーフだな」

「なんとか乗（の）り換（か）えできましたぁ」

「ああ、ララちゃんよくやった」

「やった、褒（ほ）められちゃいましたぁ」

「あはは」

　電車（でんしゃ）は横浜（よこはま）を通過（つうか）して向（む）こう側（がわ）へ。

「海（うみ）、見（み）えましたっ、海（うみ）ですぅ」

「おお、よく見（み）える、よく見（み）える」

　そこには大海原（おおうなばら）、太平洋（たいへいよう）の相模湾（さがみわん）だと思（おも）う海（うみ）が見渡（みわた）せた。

　ヨットや遠（とお）くに大型船（おおがたせん）、漁船（ぎょせん）なんかも見（み）える。

「船（ふね）もありますねぇ」

「そうだね」

「海（うみ）は飛行機（ひこうき）で上（うえ）から見（み）ましたけど、横（よこ）から見（み）ると壮観（そうかん）ですぅ」

「ああ、なるほどなぁ」

　この水平線（すいへいせん）までギラギラと輝（かがや）く海（うみ）が続（つづ）いているのがすごいんだよな。

　そうしていよいよ電車（でんしゃ）を降（お）り海岸（かいがん）へ向（む）かう。

「海（うみ）の家（いえ）ですぅ」

「ああ、ここで今日（きょう）はお世話（せわ）になります」

　着替（きが）えをささっと済（す）ませてしまう。

　ごくり。そのときはついにきた。

「おおぉおおお」

「えへへ、どうですか、ビキニ、恥（は）ずかしいですぅ」

「なんで私（わたし）まで」

　そこには丸（まる）く大（おお）きく熟（じゅく）すまで育（そだ）ったメロンが四（よっ）つ。

　緑（みどり）のビキニタイプの水着（みずぎ）を着（き）たララちゃんとハルカがいる。

　ララちゃんも恥（は）ずかしそうにしているが、ハルカのほうはこれでもかというくらい顔（かお）真（ま）っ赤（か）だ。

「えへへ、ケート君（くん）」

「ああ、似合（にあ）っているよ。ララちゃん。ハルカも」

「褒（ほ）めてもらいましたぁ、うれしいです。ありがとうございますぅ」

「ありがと……」

　まったく。文句（もんく）を言（い）いつつハルカもまんざらではないようで俺（おれ）が視線（しせん）を向（む）けるとニコッと笑顔（えがお）を向（む）けてくる。

　メロンちゃん。４Ｌの超（ちょう）大玉（おおだま）が二（ふた）つと３Ｌの大玉（おおだま）メロンが二（ふた）つだ。

　ビキニの生地（きじ）が丸（まる）く膨（ふく）らんでぴちぴちになっている。この張（は）り具合（ぐあい）がたまらない。

　そしてビキニ特有（とくゆう）の丸出（まるだ）しの下乳（したちち）。丸（まる）みを帯（お）びた曲線美（きょくせんび）が素晴（すば）らしい。

　ハルカがジト目（め）になりララちゃんのおっぱいを狙（ねら）う。

　ララちゃんが察知（さっち）して胸（むね）を隠（かく）す。

「おっぱい狙（ねら）っちゃやだですよぅ。ハルカさん」

　そう言（い）いながら自分（じぶん）で胸（むね）を持（も）ち上（あ）げる。

　すげぇぽよんぽよんと持（も）ち上（あ）がる。めちゃくちゃ柔（やわ）らかそうに揺（ゆ）れる。

「ぐっ」

　それを見（み）たハルカも衝撃（しょうげき）を受（う）けて自分（じぶん）の胸（むね）を触（さわ）ってみて持（も）ち上（あ）げてみる。

　こちらも揺（ゆ）れるがアレほどではない。惨敗（ざんぱい）。

「脅威（きょうい）の格差（かくさ）社会（しゃかい）」

「もう、なにやってんだか。それは初（はじ）めから分（わ）かってたろ」

「そうだけど、目（ま）の当（あ）たりするとつい」

　やれやれ。

　気（き）を取（と）り直（なお）して、やり直（なお）しだ。

　アキラに視線（しせん）を向（む）けると手（て）をあげて彼（かれ）もやれやれとポーズをとる。

「よし海（うみ）だぁ」

「わあああい、海（うみ）だあああ」

　俺（おれ）たちが海（うみ）に向（む）かって走（はし）っていく。体（からだ）に波（なみ）が打（う）ち返（かえ）してきて波（なみ）しぶきが上（あ）がった。

　そのまま海（うみ）の中（なか）へ。しばらくその辺（へん）で泳（およ）ぐ。

「しょっぱいっ、本当（ほんとう）にしょっぱいんですぅ」

「だろ。しかもえぐい」

「すごく不味（まず）いですぅ」

「あははは」

　海水（かいすい）の塩分（えんぶん）濃度（のうど）って信（しん）じられないほど高（たか）くて不味（まず）いよな。

「体（からだ）が浮（う）く感（かん）じがしますぅ、これなら胸（むね）も楽（らく）ちんですぅ」

「あ、ああ」

　ララちゃんのおっぱいが海水（かいすい）にぷかぷか浮（う）かんでいた。

　目（め）の前（まえ）にするとすげぇ。

　確（たし）かにあの錘（おもり）をずっと感（かん）じているなら肩（かた）も凝（こ）るというものだ。

「ここ潮干狩（しおひが）りもできるんだって」

「潮干狩（しおひが）り？」

「うん。砂（すな）を掘（ほ）ってアサリを採（と）るんだ」

「へぇ」

「海（うみ）の家（いえ）で全部（ぜんぶ）貸（か）してくれる」

「やりましょう」

　ということで折（お）れたスプーンみたいな熊手（くまで）で砂（すな）を掘（ほ）る。

　するとどんどん出（で）るわ出（で）るわ。アサリちゃんがざっくざく。

　近年（きんねん）数（かず）が減少（げんしょう）しているというところも多（おお）いらしいが、ここは数（かず）が回復（かいふく）しているんだそうで、こうして俺（おれ）たちも恩恵（おんけい）に預（あず）かっている。

　採（と）れたアサリはバケツに移（うつ）していく。

「すごいですね。こうやってアサリって採（と）るんですねぇ」

「うん。業者（ぎょうしゃ）の人（ひと）はもっと大（おお）きい熊手（くまで）を使（つか）うらしいよ」

「へぇ」

　器具（きぐ）を返却（へんきゃく）するとアサリはビニール袋（ぶくろ）に移（うつ）してもらった。

　そうして海（うみ）の家（いえ）であんまり美味（おい）しくない伝統（でんとう）の焼（や）きそばを食（た）べたり、かき氷（ごおり）を食（た）べたり、砂（すな）のお城（しろ）を作（つく）ったり、借（か）りたボールで遊（あそ）んだり、と充実（じゅうじつ）した海水浴（かいすいよく）を楽（たの）しんだのだった。