[総ルビ]留学生は同棲JKエルフちゃん

第13話 エルフちゃんと体育

■第（だい）１３話（わ）　エルフちゃんと体育（たいいく）

　今（いま）は五（ご）月（がつ）。ララちゃんはゴールデンウィーク明（あ）けてすぐくらいに家（いえ）にやってきた。

　サクラの時期（じき）ではないのは残念（ざんねん）だという話（はなし）はした。

　さて留学（りゅうがく）してきて早々（そうそう）、体育（たいいく）がある。

　うちの学校（がっこう）には女子（じょし）更衣（こうい）室（しつ）の教室（きょうしつ）があり女子（じょし）はそちらで着替（きが）える。

　ただしクラスの時間（じかん）割（わり）の関係（かんけい）で男女（だんじょ）が一緒（いっしょ）に体育（たいいく）を受（う）ける制度（せいど）になっている。

　男女（だんじょ）別（べつ）に分（わ）かれている学校（がっこう）もあるらしいとは聞（き）くし、中学（ちゅうがく）はそうだった。

「じゃあね。行（い）ってきます」

「ああララちゃん。ハルカ頼（たの）んだ」

「任（まか）せてよね。じゃあララちゃん行（い）きましょう」

「はいっ」

　ハルカに手（て）を引（ひ）かれてララちゃんを女子（じょし）更衣（こうい）室（しつ）に連（つ）れていく。

　何（なに）も知（し）らせないで放（ほ）っておくと教室（きょうしつ）で着替（きが）えてしまいそうだったので、ちょっと危（あぶ）ないところだった。

　男子（だんし）たちの前（まえ）でブラしているとはいえおっぱいとパンツ丸出（まるだ）しとかナシですよ、ララちゃん。

「さて着替（きが）えるか」

　男子（だんし）は普通（ふつう）に教室（きょうしつ）で着替（きが）える。

　女子（じょし）更衣（こうい）室（しつ）にはシャワーまで完備（かんび）されているらしいが、詳（くわ）しくは分（わ）からない。

　女（おんな）の子（こ）だけの秘密（ひみつ）の花園（はなぞの）の話（はなし）を男子（だんし）はしにくい。

　あそこは女子（じょし）トイレと並（なら）んで聖域（せいいき）だといってもいい。

　男子（だんし）にはきゃっきゃうふふとかないのでただ上着（うわぎ）を脱（ぬ）いで着替（きが）えるだけだ。

　まあ変（へん）なことしてくるやつが皆無（かいむ）ではないが。

「おい景都（けいと）、景都（けいと）、ララちゃん。楽（たの）しみだよな体操服（たいそうふく）」

「そう言（い）うな彰（あきら）。あれでも本人（ほんにん）だって気（き）にしてるんだから」

「そっかな。結構（けっこう）順応（じゅんのう）してるように見（み）えるけど」

「視線（しせん）は間違（まちが）いなく集中（しゅうちゅう）するだろうからなぁ」

「あぁ……守（まも）ってやりたいが何（なに）もできん。正直（しょうじき）すまん。その他（た）大勢（おおぜい）の俺（おれ）は無力（むりょく）だ」

「どこがその他（た）大勢（おおぜい）なんだよ。学級（がっきゅう）委員（いいん）だろ」

「その手（て）があったか。強権（きょうけん）を発動（はつどう）していいのか」

「それはダメ」

「なんだよ」

　体操服（たいそうふく）は体育（たいいく）服（ふく）とかいろいろな呼（よ）び方（かた）があるらしい。

　とりあえずレオタードのことではなく白（しろ）くて袖（そで）と襟（えり）に青（あお）いラインが入（はい）ってる動（うご）きやすそうな服（ふく）のことだ。

　このバカ友達（ともだち）は山川（やまかわ）彰（あきら）。

　俺（おれ）の数少（かずすく）ない友達（ともだち）っぽ何（なに）かだ。

　学級（がっきゅう）委員（いいん）をやるくらいにはみんなに信頼（しんらい）されている。

　バカだとはもっぱらの噂（うわさ）だが勉強（べんきょう）はできる。

　なお眼鏡（めがね）は掛（か）けておらず、俺（おれ）だけ知（し）ってる秘密（ひみつ）だがコンタクトをしている。

　眼鏡（めがね）は真面目（まじめ）に見（み）えすぎてダメだそうだ。

　教師（きょうし）からの信頼（しんらい）力（りょく）は上（あ）がるのだろうが女子（じょし）受（う）けが悪（わる）かったらしく高校（こうこう）で変身（へんしん）した。

　モテる……のだろうか。見（み）たことがないが。

「なに黙（だま）っちゃって」

「いや、アキラのプロフィールを反芻（はんすう）してた。アキラってそういえばモテるの？　眼鏡（めがね）してないのってそういう理由（りゆう）だろ」

「うっ、そのことには触（ふ）れてはいけない。キスはおろかおっぱいを触（さわ）ったことすらないぞ」

「あ、ごめん、なんか」

「おまっ、それ、ひど」

「わりい、わりい」

「景都（けいと）だってこの前（まえ）まで童貞（どうてい）丸出（まるだ）しだったのに、なんだよ。今（いま）は左右（さゆう）から挟（はさ）まれてるだろ」

「それは言（い）ってはいけない。俺（おれ）だってどうしたらいいか分（わ）かんないんだから」

「だよな、真面目（まじめ）そうな顔（かお）してたハルカちゃんまですっかり色（いろ）ボケに」

「色（いろ）ボケとか言（い）ってやるな。可哀想（かわいそう）だろ」

「まあララちゃんの天然（てんねん）に引（ひ）っ張（ぱ）られてるということにしてやろう」

「事実（じじつ）そうなんだろう、あれ」

「だろうな」

　俺（おれ）たちの分析（ぶんせき）が終（お）わる。

　ハルカのおっぱいもだいぶ目立（めだ）つ方（ほう）だが、ララちゃんは……。

　さてどうなるか。俺（おれ）は心配（しんぱい）しつつも少（すこ）し楽（たの）しみな自分（じぶん）がいることに自分（じぶん）を軽蔑（けいべつ）しそうだ。

　外（そと）に出（で）る。今日（きょう）は午前（ごぜん）中（ちゅう）から外（そと）でトラックを走（はし）ってひたすらランニングらしい。

　男子（だんし）の中（なか）にはガッツポーズを決（き）めている人（ひと）もいたが、お前（まえ）らホント好（す）きだよな。

　そそくさと体育（たいいく）服（ふく）になった俺（おれ）たちは靴（くつ）を履（は）いて外（そと）に出（で）る。

　女子（じょし）たちも着替（きが）えてポツポツと出（で）てきて集（あつ）まっていた。

　まだララちゃんとハルカはいないか。

　集合（しゅうごう）場所（ばしょ）で女子（じょし）勢（ぜい）と落（お）ち合（あ）う。

「おい、あっち見（み）てみ」

「お、おう。ララちゃんだ」

　男子（だんし）たちが靴箱（くつばこ）をちらちら見（み）ていた。

　そこには金髪（きんぱつ）の巨乳（きょにゅう）の子（こ）が一人（ひとり）。

　どっからどうみてもララちゃんがいた。

　耳（みみ）も尖（とが）っているがおっぱいの前（まえ）ではどちらのほうがインパクトがあるか迷（まよ）うくらい。

　ララちゃんが歩（ある）いてくる。

「ほほう」

「ふむ」

　おっぱいソムリエのむっつりスケベたちが一挙手（いっきょしゅ）一投足（いっとうそく）を凝視（ぎょうし）してる。

　ごめん、ちょっと真剣（しんけん）すぎて気持（きも）ち悪（わる）い。

　俺（おれ）たちを見（み）つけるとララちゃんが俺（おれ）に手（て）を振（ふ）って走（はし）ってくる。

「おぉぉおお」

「揺（ゆ）れる揺（ゆ）れる」

「地震（じしん）かこっちは揺（ゆ）れてないぞ」

「すごい」

　おっぱいが揺（ゆ）れている。慣性（かんせい）の法則（ほうそく）の実験（じっけん）みたいだった。

　遅（おく）れて揺（ゆ）れるんだ。一（ひと）つ勉強（べんきょう）になった。

　先生（せんせい）がきて授業（じゅぎょう）が始（はじ）まった。

　男女（だんじょ）に一応（いちおう）最初（さいしょ）は反対（はんたい）側（がわ）に分（わ）かれてトラックを走（はし）る。

　男子（だんし）たちがガッツポーズをしていたのはこれだ。

　女子（じょし）たちは少（すこ）し恥（は）ずかしそうだ。

　男子（だんし）は荒（あら）い息（いき）を吐（は）きながら好（この）みの女（おんな）の子（こ）の胸（むね）が揺（ゆ）れたり全然（ぜんぜん）揺（ゆ）れないのをちらちらチェックしていた。

　まったくそのスピードで走（はし）ってよくそこまで余裕（よゆう）あるよ。これだから運動（うんどう）部（ぶ）は。

　俺（おれ）は帰宅（きたく）部（ぶ）というか実質（じっしつ）病院（びょういん）部（ぶ）なので体力（たいりょく）にはそれほど自信（じしん）がない。

　うっわ、ララちゃんのおっぱいすげえ揺（ゆ）れる。あれ大丈夫（だいじょうぶ）なのかな。

　あんまり大丈夫（だいじょうぶ）ではなさそうだけど。

　でも体力（たいりょく）はあるみたいで結構（けっこう）スピード出（だ）して走（はし）っているのには感心（かんしん）する。

　ハルカは息（いき）が上（あ）がってその後（うし）ろを一所（いっしょ）懸命（けんめい）に追（お）いかけていた。

　ララちゃんのほうはアレが重（おも）そうなのに、よく走（はし）ること。

　たぶん異世界（いせかい）の冒険者（ぼうけんしゃ）とかいうので体力（たいりょく）があるんだろう。

　なんとか無事（ぶじ）全員（ぜんいん）が走（はし）り終（お）わった。最後（さいご）オマケしてもらった子（こ）もいるみたいだけど。

　男女（だんじょ）一緒（いっしょ）に整列（せいれつ）をし礼（れい）をして授業（じゅぎょう）は終（お）わりだ。

　ララちゃんがささっと俺（おれ）に近（ちか）づいてきて笑顔（えがお）を向（む）けてくる。かわいい。

「えへへ、疲（つか）れちゃいましたね」

「おおう、ララちゃん大丈夫（だいじょうぶ）だった？」

「なにがですか？　これくらいなら平気（へいき）ですよ」

「それならいいんだけど……ごにょごにょ」

　さすがに胸（むね）が揺（ゆ）れて大丈夫（だいじょうぶ）かとか聞（き）くほど俺（おれ）もバカではない。

　聞（き）く方（ほう）がどうかしてるだろう、さすがに。

　視線（しせん）はそれなりだったようだが、俺（おれ）が知（し）る由（よし）もない。

　本人（ほんにん）が気（き）にしていないなら本当（ほんとう）に大丈夫（だいじょうぶ）なのだろう。

　俺（おれ）は一安心（ひとあんしん）しつつ、教室（きょうしつ）に戻（もど）った。