あやかしバトル夜十時
しぇもんご
第1話 喜多ミチカ
このふわふわにプッツンプッツンと針を刺すのが最高に気持ちいいんだよね。このふわふわは羊さんの毛だったよね? ありがとう羊さん。わたしはあなた達のおかげでイヤなことを忘れられますよ。
なんか五年生になってから一気に勉強が難しくなった気がするんだよね。特に算数! 分数の計算とか人生に必要ですか? 必要ないよね。あと英語、ナニイッテルカワッカリマセーン! そんで総合学習のプログラミングだっけ? あれがもうまじでほんとに意味わかんない。あ、でも先生はほめてくれたっけ。「喜多さんは直感的というか、天才的なところがあるから、
プッツン、プッツン。
ああ、気持ちいい。それにしても
プッツン、プッツン。
ふー。いやされるー。あっやば。そろそろ十時だ。寝ないとお母さんに怒られちゃうよ。でもあとちょっとだけ。もうそろそろ完成なのですよ、喜多ミチカの
プッツン……プッツン!
よし、完成! うんうん、いい感じだ。さっすがわたし、やっぱり天才かもしれないわ。知ってるんですよ、こういうの芸術的って言うんでしょ? 将来は羊毛フェルトチャンピオンかしら。そんなのあるか知らないけど。しかもぴったし十時。じゃあ寝ますかね。
「おやすみね」
へへ。五年生にもなってお人形におやすみなんて言ってたら、笑われちゃうよね。
「うむ、おやすみなのじゃ」
あ、あれ? なんか聞こえなかった? お母さん……じゃないよね。お父さん……は帰ってきてないし。ていうかお父さんはこんな可愛らしい声じゃないもんね。ああ、やばい、プッツンしすぎて
「おやすみなのじゃ、ミチカよ」
うっ。ど、どうしよう……。気のせいじゃないかも。なんか名前呼んできたし。
「あら? おーい? 聞こえておるのじゃろ? 喜多ミチカよ」
ぎゃー!! きもちわるい人形がしゃべってるんだけどー!!
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