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３９．ポーション量産計画

◆３９．ポーション量産（りょうさん）計画（けいかく）

　薬師（くすし）の師匠（ししょう）は、村長（そんちょう）もニコライドおじいさんもいるから、他（ほか）にも何人（なんにん）もいると思（おも）われる。

　ただ、そこまでたどり着（つ）く人（ひと）が圧倒（あっとう）的（てき）に少（すく）なかった。

　このゲームでは、ただクエストを受動（じゅどう）的（てき）に処理（しょり）するだけではだめで、何（なに）か自分（じぶん）からお願（ねが）いしたり、人間（にんげん）としてちゃんと接（せっ）しておかなければいけない。

　そうしないと生産（せいさん）系（けい）のスキルを取得（しゅとく）するのは難（むずか）しいみたいだった。

　警（けい）ら隊（たい）がお使（つか）いから帰（かえ）ってきた。

　薬草（やくそう）二百個（こ）、空（あ）き瓶（びん）六十個（こ）しめて、２１，２００セシル払（はら）う。

　薬草（やくそう）は今回（こんかい）だけ特別（とくべつ）で、今度（こんど）から大量（たいりょう）に欲（ほ）しい時（とき）は注文（ちゅうもん）制（せい）と言（い）われたそうだ。

　スポットでは三十個（こ）程度（ていど）しか売（う）ってくれないとのこと。

　ツグミは全部（ぜんぶ）で六十個（こ）ぐらい手元（てもと）にあり、ポーション一つで四つ使（つか）う。

　渋（しぶ）み控（ひか）えめを十四個（こ）、ツグミ味（あじ）を十三個（こ）、ブドウ味（あじ）を十三個（こ）作（つく）ることにした。

　ヒカリちゃんが起（お）きてきて、調薬（ちょうやく）作業（さぎょう）を眺（なが）めている。

　クルミとサクラちゃんは、別（べつ）の部屋（へや）でペンダント作（づく）りに夢中（むちゅう）だ。

　ツグミの実（み）も、薬草（やくそう）も足（た）りない。

　ツグミは良（よ）く分（わ）からないけれど、警（けい）ら隊（たい）曰（いわ）く雑貨（ざっか）屋（や）で売（う）っていない。

　おじいさんに相談（そうだん）したら、どちらも知（し）り合（あ）いの農家（のうか）が専門（せんもん）に栽培（さいばい）しているので、掛（か）け合（あ）ってくれるそうだ。

　水（みず）をぐつぐつ沸騰（ふっとう）させ、冷（さ）ましている間（あいだ）に、葉（は）っぱをすりつぶす。

　そして、葉（は）っぱをお湯（ゆ）に入（い）れて、抽出（ちゅうしゅつ）する。

　ヒカリちゃんが途中（とちゅう）から手伝（てつだ）ってくれた。

　センスがいいみたいで、可愛（かわい）い鼻歌（はなうた）を歌（うた）いながら、薬（くすり）をすりつぶしてくれた。

　ツグミ味（あじ）にするには、後（あと）でツグミの実（み）をすりつぶしてポーションに混（ま）ぜて、コス必要（ひつよう）がある。

　ブドウ味（あじ）もだいたいは同（おな）じ作業（さぎょう）だ。

　忘（わす）れていたスキル確認（かくにん）をする。薬師（くすし）：Ｌｖ５のまま、釣（つ）り：Ｌｖ２そして園芸（えんげい）：Ｌｖ２に上（あ）がっていた。

　ヒカリちゃんに確認（かくにん）すると「薬師（くすし）：Ｌｖ１」「鼻歌（はなうた）：Ｌｖ３」だった。

　鼻歌（はなうた）とかスキルなんだ。どんな効果（こうか）か気（き）になる。

　ヒカリちゃんに鼻歌（はなうた）について確認（かくにん）する。

　しかもすでに、過去（かこ）にも歌（うた）っていたようでＬｖ３になっている。

　知識（ちしき）データベースにはスキルについても記述（きじゅつ）があった。

　でもあまりはっきりしたことは書（か）かれていない。

　鼻歌（はなうた）は『上手（じょうず）な鼻歌（はなうた）は術者（じゅつしゃ）および周囲（しゅうい）のキャラクターの集中（しゅうちゅう）力（りょく）を高（たか）める効果（こうか）がある』と書（か）かれている。

　集中（しゅうちゅう）力（りょく）とは、なんだろうね。命中（めいちゅう）補正（ほせい）とかかな。生産（せいさん）ならランクが上（あ）がるとかだったらいいな。

　私（わたし）の補助（ほじょ）という扱（あつか）いにちゃんとなっているらしく、ヒカリちゃんは初（はじ）めてだけれど、ランクは４のままだった。

　それとも、ヒカリちゃん補正（ほせい）なのか？　そうなのか？

　おじいさんの知（し）り合（あ）いの農家（のうか）との交渉（こうしょう）は警（けい）ら隊（たい）の人（ひと）たちにお願（ねが）いした。

　何件（なんけん）か回（まわ）ってもらった。

　ツグミの実（み）百個（こ）＠７０セシル、薬草（やくそう）四百個（こ）＠７０セシルで融通（ゆうずう）してもらい３９，０００セシルの出費（しゅっぴ）。

　額（がく）がちょっと高（たか）いのは、ツグミの木（き）の苗（なえ）と薬草（やくそう）の種（たね）も一緒（いっしょ）に売（う）ってもらえたから。

　空（あ）き瓶（びん）も追加（ついか）で六十個（こ）買（か）ってきてもらった。こちらも１，２００セシルの出費（しゅっぴ）。

　ヒカリちゃんと私（わたし）で協力（きょうりょく）してポーションにする。

　追加（ついか）分（ぶん）はツグミ味（あじ）を二十五個（こ）、ブドウ味（あじ）を二十五個（こ）、普通（ふつう）のを残（のこ）り三十個（こ）新（あたら）しく作（つく）る。

　その間（あいだ）に、警（けい）ら隊（たい）にまたお願（ねが）いして、苗（なえ）と種（たね）を畑（はたけ）に植（う）えてきてもらう。

　おじいさんが、空（あ）いている畑（はたけ）があるから、使（つか）っていいと言（い）ってくれたので、私（わたし）たちはただで畑（はたけ）を借（か）りた。

　収入（しゅうにゅう）ができたら、おじいさんたちに還元（かんげん）しようと思（おも）う。

　どうやら、この世界（せかい）では、植物（しょくぶつ）は驚（おどろ）くくらい早（はや）く育（そだ）つという。

　ＮＰＣの畑（はたけ）は普通（ふつう）で、プレイヤーの畑（はたけ）だけ一日（にち）とかで育（そだ）ったら不（ふ）公平（こうへい）だろう。

　ブドウも一年（ねん）に一回（かい）の収穫（しゅうかく）ではなく、何回（なんかい）も取（と）れる。

　うわ大変（たいへん）そう。農家（のうか）舐（な）めてました。

　まだ、人（ひと）がいないので、すぐに売（う）れないのが問題（もんだい）だけど、今日（きょう）は全部（ぜんぶ）で百二十個（こ）のポーションを量産（りょうさん）した。