35.ブドウ狩り

◆35.ブドウ


 十三にち今日きょうのおひるにリアルでは丁度ちょうど四十八時間じかん経過けいかする。

 美味おいしいあさはん、パンとウサギにく沢山たくさん使つかったシチューだった。

 しばらくこの宿やどでもいいわ。


 あさからひまなので、付近ふきんを三にん散歩さんぽをする。

 へい内側うちがわなのにちいさなブドウばたけがあった。


 そのぐちにおばあさんが椅子いすすわってはたけながめている。


「おばあさん、おはようございます。おばあさんのブドウばたけですか?」


「そうだよ。前回ぜんかいまではおじいさんと二人ふたり収穫しゅうかくしていたんだけど、そろそろきつくてね。今回こんかいからはあきらめるよ」


わたしはミケといいます。わたしたちでければ、収穫しゅうかくのお手伝てつだいをしましょうか?」

「ほんとうかい。それはたすかるね」


 サクラちゃんとクルミも名乗なのって同意どういしてくれる。

 おばあさんは「フラン」という。


 おばあさんのいえかえって、収穫しゅうかくようハサミをってきた。


 ブドウばたけ日本にほんしきたなになって天井てんじょうになる方式ほうしきじゃなくて、ヨーロッパふう地上ちじょうにブドウの直接ちょくせつえてるタイプだ。

 地球ちきゅうというか現実げんじつではブドウを収穫しゅうかくようのカゴをってそれをいっぱいにする。

 わたしたちはストレージ、別名べつめいアイテムボックス、インベントリ、魔法まほうのかばんを使つかうことで、カゴなしでも収穫しゅうかくできる。


 おばあさんは、ブドウの収穫しゅうかくをデモしてくれて、わたしたちがまねしてみる。

 採取さいしゅスキル補正ほせいはかかっているんだろうか。からない。


 とりあえず、収穫しゅうかく時期じきになっているふさえらんで次々つぎつぎ収穫しゅうかくしていく。


本当ほんとうたすかるね。わかひとたちはパワーがあっていいね」


 せまはたけとかおもって、すみませんでした!


 三にんっても、かなりのじゅう労働ろうどうだとおもう。

 まだ半分はんぶんしかわっていなかった。


「どれ。すこ休憩きゅうけいにしよう」


 おばあさんは途中とちゅうなくなっていて、もどってきて休憩きゅうけいげた。


 わたしたちのぶんふくめて、サンドイッチをくれた。

 それは、ブドウジャムのサンドイッチで、フルーティでとても美味おいしかった。


「このジャムは、自家じかせいですか?」


「もちろんさね。ここではほとんどのブドウはこうやってジャムかジュースにするさね」


 このまちにはワイン工場こうじょうがないので、ワインにはしないそうだ。

 ブドウジュースもいただいた。


 ちょっと確認かくにんしてみたところ。スキル「園芸えんげい:Lv1」がいていた。

 なるほど、これは「採取さいしゅ」ではなく園芸えんげいあつかいか。

 ゲームによっては、農業のうぎょう栽培さいばい、などとばれるスキルだ。


 結局けっきょくあさから夕方ゆうがたまでずっとはたらかされた。

 しずみかけたころ、システムメッセージがながれた。


南西なんせいもりのエリアボス「オオオオカミ」が討伐とうばつされました。ゲームない時間じかんで二週間しゅうかんよるもりのオオカミがれなくなります。』


 ボスは複数ふくすういた。

 このゲームではむら東西とうざい南北なんぼくにある。そしてもり北東ほくとう南西なんせいひろがっている。

 ボスは両方りょうほうもり生息せいそくしていて、それぞれのもり支配しはいしている。

 もう一方いっぽうもりもようやく四日よっかおくれで退治たいじされて、よるもり平和へいわにするだろう。


 三にんでなんとかはたけ全体ぜんたい収穫しゅうかくえた。


 ものすごい疲労ひろうかんがある。うそです。ゲームなのでそこまで疲労ひろうはなかった。

 達成たっせいかんはあった。


「みんな、よくやってくれたわ」


 おばあさんに大変たいへん感謝かんしゃされて、わたしたちは夕食ゆうしょくをご馳走ちそうになった。

 夕食ゆうしょくはパンと野菜やさいたっぷりのスープ、またウサギにく串焼くしやきだった。


 それから、おばあさんは「しばらくいえまっていきなさい」と命令めいれい口調くちょうい、おじいさんも「そうだそうだ」といい、ことわれず、ご厄介やっかいになった。


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