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８．白キノコの加工

◆８．白（しろ）キノコの加工（かこう）

　夕方（ゆうがた）ちょっと前（まえ）。村長（そんちょう）宅（たく）に無事（ぶじ）帰（かえ）ってくることができた。

　また私（わたし）が代表（だいひょう）して村長（そんちょう）と話（はなし）をする。

「キノコ、四十個（こ）になっちゃいました」

「なに、構（かま）わんよ。二十個（こ）分（ぶん）だけ提供（ていきょう）してくだされ。残（のこ）りは自分（じぶん）たちで使（つか）うと良（よ）いのじゃ」

「白（しろ）キノコは何（なに）に加工（かこう）するんですか？」

「これは、５級（きゅう）ＭＰポーションじゃな。五個（こ）で一つのポーションになる。そしてスープにすると美味（おい）しいぞ。しっかり火（ひ）を通（とお）さないと毒（どく）があるので注意（ちゅうい）じゃ」

「手伝（てつだ）わせてください」

　二十個（こ）で四つ作（つく）れるので、まず村長（そんちょう）が手本（てほん）を見（み）せてくれる。

　まず、キノコ五個（こ）を水（みず）に入（い）れる。その水（みず）を沸騰（ふっとう）するまで温度（おんど）を上（あ）げて、そのまま十分（ぷん）程度（ていど）茹（ゆ）でる。

　そうすると水（みず）が紫色（むらさきいろ）になってくるので、瓶（びん）に入（い）れたら完成（かんせい）だ。

「ちなみに、生（なま）か乾燥（かんそう）キノコを水（みず）に入（い）れて一日（にち）置（お）いて、毒（どく）ポーションになるぞ」

「それは、どうやって使（つか）うんですか？」

「飲（の）んだらダメージがあるのじゃ。飲（の）まなきゃ大（だい）丈夫（じょうぶ）じゃ。敵（てき）も同（おな）じ」

「使（つか）い道（みち）が思（おも）いつきませんね」

「まったくじゃ」

　まず私（わたし）がやってみて、クルミ、サクラちゃんと順番（じゅんばん）に作（つく）った。

　●５級（きゅう）ＭＰポーション

　　白（しろ）キノコで作（つく）ったＭＰポーション。味（あじ）はシイタケのダシ味（あじ）に似（に）ている。

　　種別（しゅべつ）：ポーション、飲（の）み物（もの）

　　レア度（ど）：１　　ランク：２

　　ＭＰ回復（かいふく）：１分（ぷん）で５０上昇（じょうしょう）

　　満腹（まんぷく）度（ど）(水分（すいぶん）)：４上昇（じょうしょう）

　私（わたし）はポーションを作（つく）る途中（とちゅう）で、気（き）になったことを言（い）う。

「あの、食（た）べておいしいなら、料理（りょうり）でもＭＰ回復（かいふく）しませんか？」

「その通（とお）りじゃ。お主（ぬし）にはポーションは基礎（きそ）だから教（おし）えたのじゃ、料理（りょうり）にしてみるかい？」

「はい！」

「料理（りょうり）はばあさんが専門（せんもん）でな、わしは良（よ）く知（し）らんわい。できるなら自分（じぶん）でしてみるのじゃ」

「分（わ）かりました」

　代表（だいひょう）で私（わたし）が作（つく）ることになった。

　リアルで料理（りょうり）スキルがあるのはこの中（なか）で私（わたし）だけだ。

　材料（ざいりょう）がないのと、スキルを伸（の）ばすには誰（だれ）か一人（ひとり）が三人（にん）分（ぶん）作（つく）った方（ほう）が、伸（の）びがいいということに気（き）が付（つ）いたのだ。スキルごとの分業（ぶんぎょう）制（せい）にしようということになった。

　佃煮（つくだに）みたいなものをイメージしている。ここにある食材（しょくざい）だけで作（つく）る必要（ひつよう）がある。

　私（わたし）はまず、少量（しょうりょう）の水（みず）と拝借（はいしゃく）した醤油（しょうゆ）、砂糖（さとう）、そして白（しろ）キノコを入（い）れて煮（に）る。

　鍋（なべ）にこびりつかないように、気（き）を付（つ）けながら、キノコを煮詰（につ）めた。

　無事（ぶじ）、佃煮（つくだに）もどきのような物（もの）が完成（かんせい）した。

　●白（しろ）キノコの佃煮（つくだに）

　　醤油（しょうゆ）味（あじ）のキノコの佃煮（つくだに）。あまりしょっぱくないように工夫（くふう）されている。ある程度（ていど）保存（ほぞん）がきく。

　　種別（しゅべつ）：食（た）べ物（もの）

　　レア度（ど）：２　　ランク：２

　　ＭＰ回復（かいふく）：３分（ふん）後（ご）、１分（ぷん）で５０上昇（じょうしょう）

　　満腹（まんぷく）度（ど）：１０上昇（じょうしょう）

　冷（さ）めてきたら、村長（そんちょう）提供（ていきょう）の、葉（は）っぱのお皿（さら）に包（つつ）んでしまう。

　レア度（ど）が２になっている。オリジナルだからかな。

　二十個（こ）のキノコから佃煮（つくだに）が五個（こ）できた。ポーションより個数（こすう）が一個（こ）多（おお）いのがうれしい。

「うむ。三分（ぷん）後（ご）というのが曲者（くせもの）じゃな。ポーションと違（ちが）い、すぐには回復（かいふく）しないのじゃな」

「そうですね。でも効果（こうか）は同（おな）じみたいです」

　さっそく一つを四人（にん）で分（わ）けて食（た）べてみる。

「ミケさん、美味（おい）しくできています」

「うん、ミケ。よくやった。わはー」

　サクラちゃんとクルミにも好評（こうひょう）のようだ。

　続（つづ）いて囲炉裏（いろり）を借（か）りて、ウサギ肉（にく）二十個（こ）を干肉（ほしにく）にする。

　無事（ぶじ）全部（ぜんぶ）完成（かんせい）し、２０ｘ３で干肉（ほしにく）が六十個（こ）できた。ランクはまだ２だ。

　スキルを確認（かくにん）してみると「料理（りょうり）：Ｌｖ３」になっていた。

「そういえばじゃ、ウサギ肉（にく）は解体（かいたい）して手（て）に入（い）れた方（ほう）がいいぞ。ランクが上（あ）がるわい」

「解体（かいたい）するにはどうすればいいのでしょう？」

　いつもアイテム取得（しゅとく）係（がかり）のサクラちゃんが質問（しつもん）した。

「まず、ナイフか包丁（ほうちょう）のような解体（かいたい）用（よう）装備（そうび）が必要（ひつよう）じゃ。そうすれば解体（かいたい）できるようになる」

「ありがとうございます。さっそく購入（こうにゅう）してみます」

「なに、わしの古（ふる）いのを上（あ）げよう」

　●ナイフ(村長（そんちょう）用（よう）)

　　村長（そんちょう）のお下（さ）がりの普通（ふつう）のナイフだ。武器（ぶき）にもなる。意外（いがい）といい品（しな）だ。

　　種別（しゅべつ）：武器（ぶき）(ナイフ)、解体（かいたい）道具（どうぐ）

　　レア度（ど）：１　　ランク：４

　　攻撃（こうげき）力（りょく）：８

　　耐久（たいきゅう）：６０／１００

　ちなみに、初心（しょしん）者（しゃ）の槍（やり）は攻撃（こうげき）力（りょく）：１０、私（わたし）の初心（しょしん）者（しゃ）の杖（つえ）は魔攻（まこう）力（りょく）：１０となっている。

「ありがとうございます。村長（そんちょう）様（さま）」

「研（と）げば、まだまだ使（つか）えるじゃろう、どれやってみるかい？」

「はい、やらせてください」